俺の名はラディカルドッグ３世（当然、偽名）、これでも地球じゃ
名の通ったレイヴンさ。

俺の爺様も昔はレイヴンとして活躍したらしい。
小さい頃から聞かされた昔話は、随分、楽しみにしてたもんだった。

『機体評価は最低がいい。そうすりゃ仕事はやってくる。』

爺様の口癖だが、レイヴンになって、俺もそれを実感した。
地球じゃ、政府による治安維持が随分と進んじまったせいで、
レイヴンに依頼がくる内容といや、手堅い代わりに見入りが少ない奴か、
誰も引きうけそうにない危険な割には見入りはそこそこな奴くらいだった。

それでも依頼があるだけマシなほうで、自由な傭兵「レイヴン」の
飛べる場所はどんどん少なくなって行った。

俺はがんばったよ。・・・わざわざ評価を落として、使い捨てと言われ
蔑まれてる「ＰＯＯＲ」な評価のＡＣにして、依頼をやりまくった。

・・・おかげで、地球にゃ俺のいる場所はなくなっちまった。

依頼する企業がみんな潰れちまって、今じゃ政府の統制で地球は
平和そのものって奴だからな。

俺は稼いだ金を注ぎ込んで、火星行きのチケットを手に入れた。
火星にゃレイヴンの飛べる場所がある！　その言葉を信じて。

・・・だが、俺は火星の大地を踏んで、それが幻想に過ぎないことに
気がついた。気がついちまった。

レイヴン達は徒党を組んで企業に雇われ、手堅い依頼はそいつらが
全部、持っていっちまう。自由と言えば聞こえはいいが、ようは
支援者のいない孤立無援の自由業、それがフリーのレイヴンなんだ。

おかげで、よほど腕の立つ奴以外は、みんな身を持ち崩して行く。
金が足りず、ＡＣのパーツを売ってなんとか生活を維持する・・・
そんな破滅的な自転車操業をしながら、成功することも期待されないような
依頼に群がり、予想通りに消えて行く・・・
そんな貧しいレイヴン達のことを人々は蔑みの意味を込めて
「ＰＯＯＲ」って呼んでる。

　爺様・・・あんたの言ったことは正しいぜ。

機体評価さえ落とせば、氷河期とも例えられる火星のレイヴン市場でも
ちゃんと依頼は選べる程度にはやってくるんだから。

俺はレイヴンに支給されたＡＣの再構築に取り掛かった。

	チューニング前		チューニング後	内容
ヘッド	ＺＨＤ−ＧＥ／ＯＨＲ		ＥＨＤ−ＧＡＲＤ	頑丈・・・それだけ。
コア	ＥＣＭ−ＸＲ００		ＥＣＭ−ＸＲ００	初心者向き。迎撃銃付き。
アーム	ＥＡＮ−Ｓ０		ＥＡＮ−Ｓ０	初心者向き。
レッグ	ＺＬＮ−ＸＸ０／ＴＰ		ＺＬＮ−ＸＸ０／ＴＰ	初心者向け標準二脚。
ブースター	ＥＢＴ−ＧＥ		ＥＢＴ−ＧＥ	低出力で最安価。
ＦＣＳ	ＤＯＸ−１０５		ＬＯＤＤ−８	サイトは広いがロック数は２。
ジェネレーター	ＧＰＳ−ＶＡ		ＧＰＳ−ＶＡ	最低出力、容量もなし。
ラジエーター	ＲＰＳ−ＭＥＲ／ＳＡ		ＲＰＳ−ＭＥＲ／ＳＡ	最低性能、緊急時も悲惨。
インサイド	なし		なし	−
エクステンション	なし		なし	−
右肩武器	ＥＷＭ−Ｓ６０２		なし	−
左肩武器	ＺＲＳ−５５４／ＢＷ		なし	−
右腕武器	ＺＷＧ−ＲＦ／３７		ＥＷＧ−ＭＧＳＡＷ	１０００発撃てるマシンガン。
左腕武器	ＥＬＳ−２７７２		なし	−
備考	なし		なし	−

	チューニング前		チューニング後
ＥＰ	４７８１／５７８２		４３５２／５７８２
ＬＥＧＳ　ＷＰ	３８８０／４９５４		３５４４／４４７０
ＣＯＲＥ　ＷＰ	１３８３／３３２２		１６４６／２７７０
攻撃力	１７３１		６５
防御力	２８６０		２８３６
安定性	２１８４		２１８４
機動性能	５５３９		５６４４
移動性能	２７４０		２７４０
旋回性能	１１００		１１００
上昇性能	１０００		１０００
ＯＢ性能	２８００		２８００
冷却性能	１３７１		１３７１
レーダー性能	４７０		０
センサー性能	１５０		１５０
ＦＣＳの機能性能	３４０		０
総合ポイント	２４８１１		２２１６３
評価	BELOW AVERAGE		ＰＯＯＲ
ＡＰ	８０６５		７９１７
ＷＥＩＧＨＴ	５７６８		５４３２
ＰＲＩＣＥ	２４１６００		２３６３００

「火星に合わせたパーツだけ合って、地球の常識は通用しない、か。」
　　※ＡＣ、ＡＣＰＰ、ＡＣＭｏＡの常識は通用しないってこと。（笑）

　地球で使われているＡＣ用パーツはどれも、火星じゃそのままじゃ使えない。
　大気組成、重力の違い、産出される鉱石の違いによる材質の違い・・・
　おかげで火星のＡＣは火星のパーツしか使えない。

　機体パーツの表とにらめっこをしながら、組んで行くうちに期待評価の
　落とし方のコツが少しずつわかってきた。それは次の通りさ。

１）レーダーは装備できない。
　　レーダー性能値が上昇しちまうから、駄目なのさ。
　　おかげで、レーダー反応がないってことで、一層、貧弱だ。
　　※チューニングによっては装備できなくもないし、場合によっては
　　　　ないとお話にならない。

２）ブースターは弱出力のモノ以外、装備できない。
　　いくつか選択肢があるが、どれにも言えることは出力が弱いということ。
　　高くすると、上昇性能があがるからな。

３）ビームブレードは装備できない。
　　攻撃力は、武器の攻撃力の合計値で決まる。ビームブレードは
　　最低でも７４８も攻撃力があるから、始めから論外なのさ。
　　※チューニングによっては装備できなくもない・・・が、進化の袋小路。

４）武器は攻撃力が５００以下で納まるものでなくてはならない。
　　３でも語った内容だが、攻撃力の値は低くないとマズイ。
　　幸い、攻撃力は一発の破壊力のことだから、マシンガン系
　　なら、低い値でクリアできる。
　　ここは、色々と変更する余地があるだろうな。
　　※組み方によってここの数値は変動するから低いほうがいい、という
　　　　程度で考えればいい。

５）ラジエーターはＲＰＳ−ＭＥＲ／ＳＡくらいしか装備できない。
　　評価値が上昇しちまうからな。だから、購入できるものは、
　　かなり限られてくる。エアコンの効かないＡＣなんざ、
　　乗ってるだけで疲れるが仕方がない。

な。条件が厳しいだろ？
だが、上の条件以外は逆にいえば変更できるわけだ。

６）ジェネレータは何を搭載しても評価値は変わらない。
　　これは本当に助かった。なにせラジエーターが交換できない以上、
　　弱出力とはいえ、ブースターを使って機動回避しなけりゃ、生き残る術はない。
　　どうしたって、こいつは高性能なパーツにしたいところだな。

７）オプションパーツは何を装備しても評価値は変わらない。
　　これは不思議だったな。おかげで方針は決まったが。

８）シールドは何を装備しても評価値は変わらない。
　　・・・なぜ、変わらんのか理解に苦しむ。
　　もっとも俺も地球じゃ、左腕はブレードって決めてたせいで、
　　ぜんぜん使ったことがない。防御力に不安を感じたら装備することにしよう。

なんとか機体評価値を「ＰＯＯＲ」にしたおかげで、なんとか
仕事にありつくことができた・・・んだが、比較的、楽なほうと
思って受けた依頼はろくでもないモンだった。

次回、第０１話「ＭＴ工場鎮圧」、こうご期待♪