Armored Core〜the case of Velord Rimdortlm〜
1st case　He made a vow to gain revenge on "Hastler One".

「レイヴンになりたいのか」
そう、聞かれた。
ラナ・ニールセン。レイヴンズ・ネスト所属のオペレータ。
「機体名、スターオブカラミティ。搭乗者名はヴェロード・リムドートルム。
　確かに登録した。これでお前はレイヴンだ。」
殺したいやつがいる。志望理由を聞かれてそう答えた。
名前はハスラー・ワン。
奴の乗るAC、ナインボールに、１５歳の俺は家族を殺された。
全てを奪われたあの日に俺は復讐を誓った。
奴の力は圧倒的だ。並みいるレイヴンの中でもトップクラスの実力。
アリーナの頂点にいる男。奴に対抗する力が必要だ。
父親は腕の立つレイヴンだった。それが幸いした。
小さい頃からACを側で見て来たし、操縦もした。
だから、レイヴンになろうと思った。
最初のミッションは簡単なものだった。
プログテック社にハッキングし逃走中のハッカーを捕らえること。生死は問わない。
「慎重に行動しろ」
ラナからそうアドバイスがあったが、関係ない。
俺の目標はあくまでナインボールだ。
"メインシステム、戦闘モードを起動します"



ハッカーのいる所へは簡単に辿りつけた。
『やれやれ。見つかっちまったか。今出ていくから、撃たないでくれよ。
　・・・ん？ナインボール・・・アリーナのトップがどうして・・・』
ナインボール。俺の敵。
その名を聞いて、俺は振り返った。
そこにいたのは赤黒いAC。奴だ・・。
・・・ドクン・・・
全身の血が逆流するような感覚。
やつの放ったグレネードランチャーによって、ハッカーが殺されたことなど
気にもとまらなかった。
ライフルを撃ちながら突っ込んだ。
・・奴はグレネードを撃った直後だ。隙ができるはず。
ブレードでコアを一撃だ。そう考えた。
しかし・・・
『なんだ、お前は・・・』
奴はブーストで後退しつつ俺の機体に向かってグレネードを構えた。
これは完全に予想外だった。まさか構え無しでも撃てるとは。
『そうか』
グレネードが火を吹く。
一瞬にして吹き飛ばされ、動けなくなった。
「くっ・・・」
『私を追っているというのはお前か。
・・好きにするがいい。だが、いかなる者であろうと、私を越えることなど不可能だ』
「殺す・・・必ず！！
　待っていろ！ハスラー・ワン！貴様がどこにいようと必ず追い詰めて
　この世から消し去ってやる！」
俺はありったけの憎悪を込めてそう叫んだ。
『ふ・・・』
嘲笑を残して、奴は去っていった。

「く・・そ・・」
何もできなかった。何も・・
悔しい・・・憎い。
　ガンッ！！
「うああああああああっ！！」



しばらくたって、ラナから通信が入った。
『・・お前の標的は、ナインボール・・そうか・・』
答える気力もなかった。
『動けないようだな。回収してやるからとりあえず帰ってこい。話がある』





　『ハスラー・ワン。知っての通り、奴は全てのレイヴンの頂点に立つ男だ。
　　今のお前の腕と装備では、奴には到底叶わないだろう。犬死にするだけだ。
　　レイヴンとしての経験を積み、やがて時が来れば、私が会えるようにしてやる。
　　今は力を蓄えることだ。早速だがいくつか仕事を用意した。
　　いずれも簡単な物ばかりだが、今のお前には丁度いいくらいだろう。
　　やってみるがいい。ナインボール相手にお前がどこまでやれるのか、
　　私も少なからず興味がある。では、健闘を祈る。以上だ。』

翌日ラナから届いたメールにはそうあった。
昨日の激しい感情はまだ完全には収まっていなかったが、
多少冷静になった頭で分析して、ラナの言葉も理解できた。
いいだろう。力が足りないのならば、つければいい。
装備が貧弱なら強化すればいい。金がないなら稼げばいい。
奴を倒すために、やるべきことは何でもやってやる。
そして、奴を・・殺す！！

当面の目標は装備を強化することだ。
腕はミッションや、やがてアリーナで戦う中で上がっていくだろう。
５、６のミッションをこなしたところで、ラナからメールが来た。

　『今回、お前をアリーナに推薦することになった。
　　スポンサーはプログテック社。
　　エラン・キュービスという一人の天才的技術者の加入によって、
　　最近急速に力を伸ばしている企業だ。そのためトラブルも多いが、
　　実力は申し分なく、新米レイヴンのスポンサーには充分過ぎるほどだ。
　　詳しい推薦の条件については依頼文を参照しろ。以上だ。』
　
確認すると、プログテック社からの依頼が来ていた。
　
　『我がプログテック社は、あなたのような実力のあるレイヴンをサポートし、
　　アリーナでもその実力を存分に発揮して活躍して頂きたいと思っております。
　　しかし、ただでというわけには参りません。
　　条件は、現在我が社がサポートしているレイヴンの一人との闘いに勝利し、
　　対AC戦闘の実力を我々に示すことです。
　　普段のミッションではわからないあなたのアリーナでの力を、
　　我々に存分に示して下さい。それでは、健闘を祈ります。』

ミッションとアリーナの違い。
敵がAC１機に絞られること。それを撃破できる装備があればいい。
ミッションで稼いだ資金を使い、換装して出撃した。

指定された場所には、予定通り一機のACが待っていた。
『てめえか。新米にしてはなかなかやるみてえだが、
所詮経験が物を言う世界なんだよ・・・』
相手のレイヴンが何か言っているようだが、耳には入らない。
（奴はアリーナの頂点・・こいつを倒してアリーナに登録されれば、
一つ奴に近付くことができる・・ハスラー・ワン・・ナイン・・ボール・・・）
『・・てめえ、何ブツブツ言ってんだ？余所見してっと・・』
敵がグレネードを構えた。
『死ぬぜ！！』
グレネードランチャーの銃口がこちらを向く。
「・・・」
俺の中には、またあの時の激しい感情が渦巻いていた。
刃が立たなかった・・何もできなかった。
だが今は・・・
「違うぞぉっ！！」
自分の口から出た言葉は、狂気に満ちていた。
飛んできたグレネードと爆風をすれすれで回避し、相手に肉迫する。
グレネードをリロードしている相手の直前まで接近し、不意に相手の視界から消える。
『ちぃっ！』
構えが解けた。そして・・
「くらえぇっ！！」
動こうとした相手にバズーカを当てて硬直させ、ブレードで斬る。
「・・死ね！死ね！死ねよぉぉっ！！」
一気に畳み掛けた。見る見るうちに装甲が歪み、剥がれ落ちていく。
『うっうわっ！？何・・「うらぁっ！！」』
単調な攻撃だったが、下位アリーナの下っ端にはそれで充分だった。
俺は・・もはや勝つことなどどうでも良かった。
とにかく、目の前のACを破壊する。
ACを・・・破壊する。
相手はナインボールではない。でもACだ。
AC・・・AC・・形はナインボールと同じ。
少しでも、俺の狂気を、復讐心を、満たしてくれる、もの。
幼稚で短絡的ではあったが、それでもよかった。
だから、相手が降参を口にしても、動けなくなっても、関係なかった。
ひたすら狂気に身を任せ、憎悪を刻み込み続けた。
俺の中の嵐が収まった時、相手のACは原形をとどめていなかった。
コアはもはや存在せず、頭部は変形し、四肢がそこら中に散らばっている。
「はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・」
終わった。敵は倒した。
だがまだ、俺の怒りは収まらなかった。
何処にいる？奴は・・何処に・・・
「くそっ・・」
今回のミッションの任務は完了した。
これでアリーナに参加することができる。奴に一歩近付く。
だがまだ遠い。俺の復讐は、まだ・・・

読者の方々へ

はじめまして。エラミトルといいます。
先日ふと、小説でも書いてみようかなと思い立ち、とっさに思い付いたのがACの小説でした。
小説を本格的に書くのははじめてです。
自分でもわかっているつもりなんですが、非常に稚拙な文章です・・・。
それに情景描写とか、主人公と他の人達との関係を排除して書こうとしてます。
無謀ですね、これは。書いてみてはっきりわかりました。
何とか入れようとは思いますけど・・更に稚拙になってしまいそうです（泣）
素人が書いているんだと思って、大目に見てやって下さい。よろしくお願いします。

エラミトルさん、投稿、感謝です。
復讐、それに囚われた主人公。
自らの身を削るように、目的のために全てを捨てる。
その果てにあるのは・・・。

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