Armored Core〜the case of Velord Rimdortlm〜
11th case　Unidentified "vermillion" machine's atttack.

その日の夕方。
俺は、食堂で他の子供達と一緒に食事をとった。ここへ来てからはじめてのことだった。
ここの食堂は、毎日献立が決まっていて定刻に全員一緒に食べることになっているが、
俺は何だか人と一緒に食事をする気になれなくて、昨日までは別室でひとりで食べていた。
食堂で食べる気になったのは、カレンさんの勧めがあったからだった。

「・・ね、良かったら今日の晩ご飯、食堂で食べない？」
話が一段落すると、彼女は俺にそう言った。答えに窮していると、
「どうしてダメなの？」と聞いた。俺はありのままを答えた。
「何だか・・・気乗りしないんだ。人がたくさんいるのが嫌だっていうか・・」
「他人が怖いの？」
「え？・・・わからない・・そうなのかも知れない。」
少し考えた後、カレンさんは言った。
「じゃ、私と一緒に食べよーよ。」
「え・・・」
優しく笑って言った。
「ね？私は怖くないでしょ？」
「でも、カレンさんは、他のみんなと・・・」
「余計なことは気にしないの。今日は、君と食べるんだよ。君が今日は、食堂で食べるのと同じ。」
その言葉も、表情も、優しさに溢れていた。
・・・何で、こんなにも優しいんだろう。
首を縦にふりながら、俺はそう思った。





俺が食堂に入ると、子供達が話を止めて、驚いたように俺の方を向いた。
珍しいものでも見るように。一瞬空気が止まったが、
俺がそしらぬ顔で彼らから少し離れた位置に座ると、程なく元のように騒がしくなった。
考えていたよりも、嫌な感じはしなかった。
カウンターの向こうで、白衣を着た人達が動き回っている。充満している食べ物の匂い。
（・・・手作りなんだ。）
昨日まで既製品の弁当を食べていたので、これは少し意外だった。





アイザックシティ監督局・安全管理室は、街の治安を悪いなりにも守る為に、
例えば突然のレイヴンの襲撃などに備えて、シティ周辺を監視している。
本部はシティ外縁部にあり、モニターで随時状況を確認している。
有事の際には住民に避難勧告を出したり、ＭＴなどで出動することもある。、
もっとも、腕利きのレイヴンにとってはそれほどの障害にはならず、充分には目的を果たせないでいるのだが。

一般の人々ならば丁度夕食の時間帯であろう夕暮れ時。
その安全管理室にて、シティに接近する"ある物体"が感知された。


「室長。これ、どう思います？」
「これは・・レイヴンじゃないのか！？ともかく早く対策を・・」
「そうなんですが、どうも変なんですよ。」
「何がだ！」
「レーダーに反応したのは"ＡＣ"じゃないんです。何らかのメカであることは確かなんですが・・」
「ＡＣじゃない？ならＭＴか？」
「わかりません。ＡＣ以外は一括して処理するようになってますから。」
「なら光学観測を・・・この距離じゃ無理だな。」
「ええ・・最大望遠でも、まだ観測は不可能です。更に妙なのが・・」
「まだあるのか？」
「まず、当然ですがこのメカから識別信号は発信されていません。
　この時点で、このメカはシティに違法に侵入しようとしている、ということになります。」
「その通りだが？」
「侵入者の目的として考えられるのは・・都市の破壊、物品の調達、ぐらいでしょうか？
　しかしいずれにせよ、ＡＣを使うわけでもなく堂々と監視網に入り込んでくる、というのは・・・」
「成る程な。よほど頭の悪いバカか、あるいは何か裏があるのか。
　いずれにせよ、部隊への出動要請はしておけ。相手は一機だ。少数でいい。」
「了解です。・・・」





俺が座ってから少しすると、カレンさんも食堂に来た。
「あ、ヴェロ−ドくん。」
彼女は俺を見ると側へ来て隣へ座り、にっこりと笑って言った。
「来てくれたんだ？嬉しいな〜。」
「うん。だって・・・」
俺はぎこちなく笑みを返し、言った。
「カレンさんは、優しいから。」
カレンさんの表情が変わる。
驚いている顔。
一瞬の間の後、微笑んで言った。
「初めて、笑ってくれたわね？」
「え？あ・・・」
「ふふっ。かーわいい。」

笑っているカレンさんの顔。
彼女は優しい。
こんなにも、優しい。
俺はこの瞬間、幸福だったのかも知れない。





───アイザックシティ近郊。
夕暮れの景色の中、Ｂ・Ｏ・Ｃのロゴの入った武装ＭＴが３機、佇んでいる。

『この距離だと、そろそろだな？』
『ああ・・・まぁいずれにしろ大した仕事じゃないだろ。
　・・・おっ。通信可能領域だ。』
『了解。通信開始しますよ。
　・・・アイザック・シティに接近中の機体。こちらは監督局警備部隊です。
　あなたの行動はシティ保安条例第２３条２項に反しており、
　あなたにシティへの訪問は許可できません。そのまま引き返すか、
　正当な訪問理由があれば立ち止まって述べて下さい。』
『”・・・”』
応答はない。レーダーをみても、停止する気配はない。
『・・先輩、どうします？』
『どうするも何も、突っ込んでくるなら応戦するまでだ。
　・・おい！こちら警備部隊！貴様の行動ははシティ保安条例第２４条違反に違反しており、
　我々は貴様を侵入者とみなし攻撃する！・・おいお前ら！行くぞ！』
『わかった。』『了解です。』
３機のＭＴはレーダーの反応する方向に向かって動き出した。


───１分後、監督局ＭＴ・コックピット内。
・・・
『”プログラムに不要なものは、排除する”』


───同時刻、アイザックシティ・安全管理室。

「室長！これは・・・」
「バカな！ＭＴ３機が一瞬にしてやられただと！？」
「パイロット３人は全員死亡・・・相手はＡＣでもないのに、有り得ないことです。」
「光学観測は！まだか！？」
「もう少しです。距離２０、１０・・あっ！」
「何だ！？」
「映像が・・センサーが破壊された模様です！」
「くそっ！全警備部隊に出動を・・・」
「室長！奴はこちらに向かっています！」
「なに！？ここを襲撃するつもりか！」
室長は全館放送のボタンを押して叫んだ。
『総員退避！！正体不明の機体が急速接近中！警備部隊は各自の判断で迎撃にあたれ！！
　繰り返す！これは訓練ではない！速やかに退避を・・・』
「ダメです！間に合いません！！」

直後、アイザックシティ・安全管理室本部ビルは、グレネ−ド弾の直撃を受け倒壊した。





紅い機体は、もうすぐそこに迫っている。

一月半ぶりの第１１話です。
非常にお待たせしてしまい、申し訳ないです。
というより、まだ読んでくれる人、いるんだろうか・・といった感じですが（笑）
この先どう進めていくかで迷い、加えて書く気力の復活に時間が掛かりました。
今は両方とも大丈夫なので、またがんばって書きたいです。

しかし・・・私事ですが、受験勉強中なので、これからますます遅くなっていく可能性もなきにしもあらず、
最初の頃のようなペースが取り戻せるかどうかは微妙なところです。

あと・・一ヶ月くらいパソコンに電源を入れてなかったので、メールの返事も滞ってしまっています。
これもまた、非常に申し訳ないです・・
こんなことしていつつも、やっぱりメールは欲しいです。
遅くなろうが返事率は１２０％です。読んでくれた方の声が聞きたいです。
よろしくお願いします（m_ _m）

それでは失礼します。

遂に…来てしまいましたね…。
何のために、襲来してくるのか、そして止める手段はあるのか？
不安が一杯です。

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