レイブン、それはこの『管理された世界』において唯一つだけその管理から逃れた職業だ。

ここ、（レイヤード）にはレイブンと言われる傭兵が沢山いる。

あるものは企業専属として、ある者は競技場のみで、そしてまたある者は自分の信念で、

自分の商売道具となるＡＣ（アーマード・コア）の力を振るう。

これはそんなレイブンの一人の物語だ。

シークレッド　ブラッティー　　　　管理された世界で１１

「さて・・・何かいい任務はないかな〜？」


ガイギスはそう言うとパソコンを起動させてメールを見た。


「何があるの？」


レイも一緒にパソコンを覗き込んでいてる。


「あるのは・・・『溶鉱炉破壊阻止』、『輸送車襲撃』、『強行偵察』、『ユニオン施設強襲』･･･こんな所か。」

「・・・一緒に行けそうなものは」

「生憎とないな。さて、どれにするかな・・・」


ガイギスはそう言うと腕を組んで画面をにらみつけた。

レイも画面をじっと見ていたがふっと目を逸らすとガイギスのほうを向いた。


「どうした？」

「今回は私がして欲しいと思う様なものは･･･」

「無いか？」


レイはコクッと首を縦に振った。


「了解、なら俺が選ぶぜ････････････これかな」


ガイギスはそう言うと『強行偵察』をクリックした。

雇い主はキサラギで、内容は『クレストの中央研究所のデータ採取に伴い陽動を依頼する。

内容は一定時間指定場所で戦闘をおこなって貰いたい。

さらにもしできるなら研究所の勢力をそちらに集中させてもらいたい。護衛の事は考えずなるべく戦火を大きくしてもらいたい。

なおその際研究所への攻撃は極力避けてくれ。よろしく頼む。』とあった。


「・・・ようは偵察じゃなくて囮か」

「ガイギス、この任務は･･･」

「受けないほうがいいってか？まあ確かにそうなんだが･･･ま、今の腕も試してみたいし今回はこの任務で行くかな」

「そんな・・・」

「安心しろって、俺かてそこまで腕は低くないはずだし、お前の整備も完璧だろ？」

「それは・・・はい」

「それに依頼額を見てみろよ、成功報酬は４１０００ｃだぜ？それにうまく立ち回ればいいだけだし問題ないよ」


ガイギスはそう言うとレイの頭をポンポンと叩いた。

レイは心配そうにガイギスを見ていたが諦めたように溜息をつくと、


「解りました･･･私は全力でサポートに回ります」

「すまないな･･･」


ガイギスはそう言うともう一度レイの頭を撫でた。






「それでは降下します、ご武運を」

「そちらも気をつけてな、また会おう」


ガイギスはそう言うと輸送ヘリから切り離された。

周りはサーチライトと、警報が鳴り響き、地面に着地する前から散発的ではあるが弾丸やミサイルが飛んできた。

ガイギスはそれに舌打ちするとブーストを軽くふかし切り返しを行い、

弾を避けると近くにいるギボンにレーザーライフルを浴びせた。

その間も研究所から警備MTがわらわらと出てきた。


「さて・・・どこまで機体がもつかな･･･」


ガイギスはそう言いながらミサイルを回避、浮遊ガードメカ「ホークモス」にレーザーライフルを当てた。

このホークモスは、形は左右に浮遊用のローターがあり、その中央にパルスガン、左右にロケットが装備されている。

しかし量産タイプであるようでレイの改造したレーザーライフルで爆発した。

そしてガイギスはＥＯを起動、近くにいたギボンはそのマシンガンタイプのＥＯを全弾くらい炎上、

ガイギスはそれを確認するとＥＯをしまい、ジグザグに一時後退、エネルギーを回復に努めた。

マシンガンタイプのＥＯは連射力が高く一瞬である程度のダメージを出せるのだが、

その代わり消費エネルギーも高く出しっぱなしにしたり、回復を待たず連続で出すとすぐに残存エネルギーがなくなる。

ガイギスはある程度までエネルギーを回復させるとまたレーザーライフルでＭＴを攻撃した。

ただ相手の全弾を完璧に回避しているわけではなく、少しづつではあるがＡＣのダメージが溜まってきていた。

ＭＴの機種はそのほとんどがギボンとホークモスだった。


「さてさて・・・後残り時間はと・・・」


ガイギスはそう言って画面上方にあるタイマーを見た。そこには１;２０という文字が書いてあった。

ガイギスはその文字を見てため息をつくと目の前の敵に集中した。






ガレージにガイギス用のトラックが入ってきた。

ＡＣはほぼむき出しだが、損傷は最初に任務を受けたときよりは少なかったが、これまでで２番目に被害が大きかった。

ガイギスは少し疲れたようにトラックから降りると、レイは心配そうにガイギスの顔を覗きこんだ。


「大丈夫？｣

「今回は精神的にきつかったよ。倒しても倒してもわらわらＭＴが出てきてな･･･」


ガイギスはそう言うとトラックに寄りかかった。

レイはそれを心配そうに見つめているとガイギスはレイの頭を撫でて、ガレージの事務所へと歩いていった。


「レイちゃんはどうする？ガイギスの所で励ます？」


ロウスはレイの肩にて置いてそう言った。

レイはガイギスが入っていった事務所をしばらく見つめていたが、首を横に振るとガイギスが乗っていたＡＣのほうを向いた。

そのＡＣはまるで疲れたかのように静まり返っていたが、レイはその姿をどこか複雑な顔で見つめていた。








「こんにちわ〜」


ガイギスはそう言うと本屋の店主兼情報屋のアンルにそう言った。


「おう、なんか噂によると彼女とそこまでうまくいってない様だな？」

「一体どこの･･･いえ、発信者はわかってます」

「ま、彼女はそういうゴシップが好きっぽいからな。そういえばキサラギが研究所を襲うそうだな」

「いや、実際にデータ取りはしてたみたいだけど･･･」

「らしいな、けどそのデータでまず研究所を潰そうって事になったらしい」

「潰すって･･･そう言えばあったな、そういう任務」


ガイギスはそう言うと考え事をするように顎に手を添えた。


「それとあわせたのかは知らないがミラージュもクレストの軍事工場をレイブンに襲わせるつもりらしい」

「それでそのクレストはユニオン関係か」

「あそこは管理者に異常に妄信しているからな。その管理者に歯向かっているユニオンが我慢ならんのだろう」

「そしてそっちに気を取られているから他社から襲撃を食らうと」

「だからどうやっても規模は第２位、ま、会社それぞれなんだがそれに付け込まれちゃな」

「それでそっちは任務は取ったのか？」

「いんや、現在ＡＣ修理中」

「そんなに前回の任務は被害があったのか？」

「今までで２番目の被害だったな･･･、けど結構優秀な整備士がいますからもう最終調整ぐらいですけどね・・・」


ガイギスはそう言うとため息をついた。


「どうした？」

「いえ、ちょっと疲れちゃって･･･囮役ってやっぱ俺にはあいそうにないかも･･･」

「そうなのか？」

「実際には囮役が、じゃなくて半永久的にわらわら出てきたＭＴどもの事がちょっと」

「確かに、中堅のレイブンでも相手の数がわからない戦いはしないからな。いや、それ以上のレベルのやつも･･･か」


ガイギスはそれを聞くとがっくりとうなだれた。


「それじゃあ今回の任務を受けた俺って･･･バカ？」

「ま、そこまで内容がわかるって訳ではないんだから、運がないと諦めるしかないと思うぞ？」

「そう言ってもらえば少しはありがたいです」


アンルはそういうガイギスに笑いかけた。


「それで？今日はどうするんだ？」

「まずはこれを。」


ガイギスはそう言うと料理の本をアンルに渡した。


「はいよ、それにしても料理本とは･･･」

「ま、たまには･･･ですね。」

「それだけではないんだろ？」

「いえ、今回はそれだけです」

「そうなのか？」


アンルは拍子抜けしたような顔をした。


「ええ･･･あ、それとも何か情報があるんですか？」

「いや、そんな話すようなもんは仕入れてないが･･･」

「ならＯＫですよ、それでは〜」


ガイギスはそう言うと手を振って本屋を後にした。






前回の任務から二日、この日ガイギスはレイと買い物に来ていた。


「ガイギス、これは？」


レイはそういうと、棚からラーメンの袋を取り出した。ガイギスはその袋を取って、裏面まで見た後首を横に振った。


「レイ、今日明日でこのラーメンを食べるつもりか？」

「え？」

「これの賞味期限は明日だぜ？」

「･･･本当だ」

「これからはよく見てから持ってくるように」


ガイギスはそう言うと礼のおでこをつんとついた。

レイはコクッと頷こうして疲れたので少し痛そうにおでこにて覆いガイギスを睨んだ。


「･･･はい」


しかし睨んでも軽く笑われるだけで効果はなく、シブシブ返事を返した。

ガイギスはそんな様子に笑いながらラーメンの袋を棚に戻した。

その後ガイギスは別の棚から保存食用のレトルトカレーを引っ張る出すとラベルを確認、買い物籠の入れた。

レイは今度はよくラベルを確かめてからラーメンの袋を買い物籠に入れた。

ガイギスはそれを横目に次は何を買おうかと思案に暮れていた。

レイは入れ終わったあと機嫌がいいようで普段よりガイギスに話しかけていた。






「･･･ん？どうしたんだ？」


ガイギスはレイと共にガレージに来るとガレージはにわかに活気付いていた。

レイも困惑気味に一度ガイギスと顔を見合わせると、ガレージの整備員が理由を説明してきた。


「ダルシメルさんが任務中に管理者のＡＣと戦闘になってね、なんとか勝ったみたいだけど損傷が酷くて･･･。

しかもダルシメルさんが怪我をしちゃってイルミさんが一緒に行っちゃったんだよ」

「あ、それでは私も」

「そう・・・だな。今日は俺はここの事務所でのんびりしてるから、レイは皆の支持を煽って手伝ってやってくれ。」

「はい」

「助かります、レイ君それでは･･･」


整備員とレイはそう言いながら損傷しているＡＣ『ディンベル』へと向かった。

その横ではＡＣ『ベルガ・ウォル』が静かに起動を待つように佇んでいる。


「今日はすまないが起動は無しだ、今日もゆっくり休め」


ガイギスはそう『ベルガ・ウォル』に向かって言うとゆっくりと事務所に入っていった。

作者＞やっと、やっとできた。
レイ＞遅いです
作者＞いや、本編書いたのは７月中だし、これからの予定も考えてあるし･･･
レイ＞ではなんでこんなに遅くなったんですか？
作者＞ま･･・色々あってね
レイ＞・・・夏にバイトで郵便局の配達なんてするからです
作者＞････面目ない。あ、今回はゲストはレイ君です
レイ＞こんにちわ〜
作者＞さてと････それで感想は？
レイ＞ガイギスが囮･･･
作者＞これは元々はクレスト任務で相手はユニオンだったけどね
レイ＞それをいじったと？
作者＞その通り。ただあれって倒しても倒してもわらわら出てくるから大変なんだよね･･･
レイ＞なるほど、そしてダルシメルさんが管理者ACと対戦。勝利
作者＞だがま、無傷って訳じゃないけどね
レイ＞・・・
作者＞ダルシメルは任務終わったときに来たから･･･１対１ならたぶんダルシメルはそう傷は負わないでしょう
レイ＞凄い
作者＞さて････こんなもんかな？
レイ＞・・・はい。ここまで読んでもらった読者の皆さん、深く感謝します
作者＞アドバイス等ありましたら遠慮せずメールにてお願いします
レイ＞よろしくお願いします
作者＞それではこれで･･･次はいつになることやら･･･

管理者ＡＣがでてきたり、だんだん世界は焦臭い方向へと進んできましたね。
レイヴンが常に活躍できるような、都合のいい不安定状態を、安定させるのは
やはり無理なようで。（＾＾；）　今後、どうなるのかドキドキです。

さて、読まれた方は、ガイギスさんに感想と気力を送りましょう♪