「番組をごらんの皆さん、お待たせしました。アリーナバトルの時間です。
　射撃戦で余裕の戦いを続けているせいか、賭率が銀行の利息並み、とまで
　言われるようになってきたエルシィです。」

　　単一武装ＡＣではジェーン�TのＡＰを削りきれないのではないか？
　　そんな噂が流れてきたせいで、エルシィに賭けても、配当金は
　　１．１倍を割るほどになってしまっている。
　　初期の頃の大穴扱いはなくなり、荒れ模様の予想も最近は形を潜めている。

「ま、エルシィとしては、ファンが増えてきていることのほうが嬉しいんだろ？」

　　レイヴンは企業からの様々な依頼をこなしている。
　　それにレイヴンの活動によって亡くなる人々も多い。
　　レイヴンが死と恐怖の象徴と言われているのはそのためである。
　　だがレイヴンはＡＣに乗っていない時は、それほど強くはない。
　　そのため、襲撃される危険性を避けるために、個人情報は、
　　明らかにしないことも多い。
　　アリーナに登録されているレイヴンも例外ではない。
　　エルシィのように映像付きで紹介されているレイヴンは貴重であり、
　　そういったレイヴン達にファンが偏るのは仕方のないことかもしれない。

　　中には別の意味で映像紹介されているレイヴンもいる。
　　死刑囚のＮｏ．０３６２７や、賞金首のインヴィジブルＱである。
　　当然だが、彼らのファンは少数派のようである。

「そーね、ファンの人から励ましのメールとかプレゼントを
　もらったりするととっても嬉しいの。」

　　事前に困ったメール、プレゼントをフィルタリングしている
　　アルフも大変である。

「なら、応援している人達に結果で応えないと、な？」

「はーい。
　えっと、今回の対戦相手はアタックホークを駆るストライカーさんです。
　なんだか、最近、単一武装のＡＣが多い気がするんだけど？」

　　それを言ったら、複数武装をしていたのは第１話の地雷伍長と
　　第９話のポワッソンだけである。

「そういう分類をするなら、３０位のエカノーミヤＢより下位が
　単一武装ＡＣというカテゴリーになるな。」

「そこより上は？」

「全武装ポイントを埋めているのが普通だ。今のところ、単一武装ＡＣが
　複数武装ＡＣに勝てることは少ない。やはり臨機応変に武装を変更
　できるほうが強いんだろう。」

「そういう意味ではジェーン�Tは強いほうよね？　武装は３種類あるわけだし。」

「ま、使いこなせれば、という注釈付きだが。」

「もー、意地悪ね。」

ＲＡＮＫ　３３ ＰＩＬＯＴ：ストライカー Ａ．Ｃ．；アタック・ホーク

ＲＡＮＫ　３４ ＰＩＬＯＴ：エルシィ　　　　 Ａ．Ｃ．ジェーン�U

４脚型機体にチェーンガンを 装備した機体を駆り、高速での 戦闘を得意とするレイヴン。休 日の日曜大工が趣味。

一般公募で選ばれた異色の レイブン。収支状態が凹むまで 戦い続けると公約しており、現在 賭けの対象としても注目度Ｎｏ１。

	ストライカー		エルシィ
ヘッド	ＨＤ−ＺＥＲＯ		ＨＤ−０１−ＳＲＶＴ
コア	ＸＣＡ−００		ＸＣＡ−００
アーム	ＡＮ−２０１		ＡＮ−２０１
レッグ	ＬＦ−ＤＥＸ−１		ＬＮ−１００１B
ブースター	Ｂ−Ｐ３２０		Ｂ−ＶＲ−３３
ジェネレーター	ＧＲＤ−ＲＸ７		ＧＢＧ−ＸＲ
ＦＣＳ	ＴＲＹＸ−ＱＵＡＤ		ＦＢＭＢ−１８Ｘ
右腕武器	なし		ＷＧ−RＦＭ１１８
左腕武器	なし		ＬＳ−２００Ｇ
右肩武器	なし		ＲＺＴ−３３３
左肩武器	ＷＣ−ＣＮ３５		ＷＭ−Ｓ６０／６
備考	なし		ＳＰ−ＪＡＭ ＳＰ−ＡＸＬ ＳＰ−Ｓ／ＳＣＲ ＳＰ−Ｅ／ＳＣＲ




	ストライカー		エルシィ
ＥＰ	６４４７／６８１０		５１５２／８２０７
ＬＥＧＳ　ＷＰ	３５０９／４４５０		４６２６／４６３０
ＣＯＲＥ　ＷＰ	１０５４／２７７０		１７４７／２７７０
攻撃力	３３８		２１２０
防御力	３２０１		３６２４
安定性	８２０		１３２０
機動性能	５７００		５８４０
移動性能	３６００		２７２０
旋回性能	１１００		１１２０
上昇性能	１０００		２０００
レーダー性能	１６２４		２１１５
レーダー有効範囲	６３０		１１７０
ＦＣＳの機能性能	９９４		９４５
総合ポイント	１１６８３		１５０１９
評価	ＯＫ		ＦＩＮＥ
ＡＰ	８４４９		８５４４
ＷＥＩＧＨＴ	６１５９		６９３１
ＰＲＩＣＥ	３１３５５０		６７２３００


「レーダー、高機能ＦＣＳ、連射速度抜群、威力十分のチェーンガン装備の
　高速移動が得意な４脚ＡＣさん、なのね。」

「射撃戦に限って言えば、かなり気を配ったチューニングと言えるんじゃないか？」

「できれば、近、中距離戦は避けてミサイル戦でケリをつけたいところだわ。」

「ＭＡＰ決定はランダムなのはいつもの通りだ。」

「ドキドキする瞬間ね。」

マップはランダムに選出され・・・雪原研究所マップとなった。



広大な敷地内に大量の建物が点在している。 どの建物も急造、老朽化が激しく、攻撃により 破壊することが可能。その崩壊に巻き込まれると それなりのダメージを受ける。どの建物も高さは それほどないので、上空から降り注ぐパターンの ミサイル攻撃が効果的。


「あれ？　また、あそこ？」

「４脚ＡＣにとっては辛いところだな。」

「そうね。」

「だが、チューンガンは注意したほうがいい。攻撃力はマシンガン系では
　最強クラスだ。」

「前回同様、ミサイル戦中心でいくわ。」

「８４６４／８５４４。」

「４脚には辛いマップだったようだ。もっとも、障害物越しに攻撃できる
　ミサイルを装備していたエルシィ側に有利なマップだったといえるだろうな。
　攻撃兵装がチューンガンのみというのも痛かった。
　直接、視認されないように動くＡＣに効果的に使うのは難しい。」

「８４６４／８５４４。」

「そうだな。相手の放ったチューンガンの弾吹き飛んだ倉庫の
　衝撃に蒔きこまれたせいで、無傷勝利でなかったのが残念だ、と」

「そう」

　いつものように戦闘のリプレイ映像が背後のスクリーンに表示されている。
　開始直後に障害物の影に移動し、最遠距離からミサイル攻撃を開始する
　エルシィ。
　遠慮無く発射される小型ミサイルが障害物に衝突し、移動することも
　ままならないストライカーに対して降り注ぎ、機体を地面に釘付けにする。
　外れたミサイルも付近の障害物（ビル）を吹き飛ばし、ストライカーは
　その衝撃に巻き込まれてしまう。
　結局、どう機動しても、降り注ぐミサイルの雨から逃れることができず、
　建物ごと、エルシィに対してチェーンガンを叩き込んで、ビルの崩壊時の
　衝撃で機体に傷を付けるのが精一杯。
　ビルの崩壊とエルシィの機体が傷ついたのとエルシィがミサイルを全弾
　撃ちきったのがちょうど、同時であった。

　エルシィ　　　ＡＰ８４６４　ライフル２００／２００　ミサイル　０／６０
　ストライカー　ＡＰ２２９７　チェーンガン２１２／２５０

　爆風を身に纏わり付かせながら、エルシィは機体を飛翔させると、
　巧みな機動回避でロックオンすら許さず、ライフル弾を叩き込み、
　ストライカーを沈黙させた。

　エルシィ　　　ＡＰ８４６４　ライフル１５１／２００　ミサイル　０／６０
　ストライカー　ＡＰ　　　０　チェーンガン２１２／２５０

「それにしても、小型ミサイルの使い方がうまくなってきたな。」

「へへぇ。やっぱり装備しているレーダーがちょうどいいの。
　射程ギリギリのところにちょーど印があるから、それを目安にして
　距離を決めてるわけ。」

「だから、いつも放物線を描く小型ミサイルがちょうど、相手に
　降り注ぐことになるわけか。」

「うん♪　それより近い距離だと、相手の頭上を飛び越えちゃうから、
　実は距離がかなり重要なのよね。」


「で、いつも通りミサイル攻撃でできるだけＡＰを削り、ライフルでフィニッシュか。」

「”敵戦力はできるかぎり遠距離で叩く”、セオリー通りでしょ？」

「見ている視聴者はちょっと退屈だったようだな。」

「ファンサービスして、ＡＣが汚れるのは嫌だもん。」

「まぁ、上空からの撃ち下ろし攻撃している時の機動回避がカッコイイという
　リスナーの声もあるから、無理に接近攻撃をする必要はないか。」

「うん♪」

「今回の賞金は２６０００、残金合計は１２４１００。
　ずいぶん、増えたように思うが。」

「始めに資金不足でパーツを揃えられなかったのも、
　かなり昔のことのように感じるわ」

「懐かしい話だな」

「今の機体で不満はないから貯金ね」

「ＯＫ。」

次回予告

雪原研究所と４脚ＡＣはこれほど相性が悪いのか・・・。
圧倒的なパターンで反撃を許さず、一方的に相手を叩き潰したエルシィの
手際の良さに、運命の神もサービスのし過ぎと反省したのだろうか。

ロケット弾を乱射する豪快な戦闘パターンで有名なデス・リーダーとの
対戦ＭＡＰは、水平機動しか許されない鍾乳洞となる。
再び、ミサイルの使えない状況に陥るエルシィ。

次回　第１８話「デス・リーダーの駆るクリムリーパー」
こうご期待♪