Ｍｉｓｓｉｏｎ：１１　「Ｄｕａｌ」
　
「静かなモンねぇ。このまま何も無いといいんだけどね。」
　
『そーですねぇ。このままのんびりと行けたらいーですねぇ。』
　
あ、ユーリ弛みきってる。上の空かな、もしかして。
　
「ねぇ、ユーリ。今夜はいい月ね。」
　
月なんか出てないけどさ。
　
『そーですねぇ、いい月ですねぇ。』
　
やっぱし…………仕事にならないんじゃないの、この娘は。ま、実際に何か起きればしゃっきりするだろうけど。しかし、一言声掛けられただけでここまで有頂天になるかね。
好きになるって、これ程のことなのかねぇ。
　
　
一日が過ぎた。と言っても、夜中は寝てたけど…………
でも、まだ１０日以上ある。少し、気を引き締めないといけないかな？
リグに牽引されたコンテナの中で、体を伸ばして調子を見る。んーっ、体調もまあまあ、調子良さそうだ。
今回は長期移動用のコンテナだそうで、中に仮眠ベッドや簡易トイレなんかも付いている。中から出なくてもいいそうだし、出来るだけこの中で大人しくしてようかね。
もちろん、ユーリに言って、操縦席との内線以外は通信を受けない様にしてもらってる。多分平和だろう……その方が。
　
『中にいるんでしょ、護衛のレイヴンが………ちょっと会わせてよ。』
　
『え、あ、いえ、その、ご……ごめんなさい、あの、都合があって、お会いできないんです。本当にごめんなさいです。』
　
外から声が聞こえる。まあ、外部マイクが音を拾ってるんだから当然か。
エルシィ嬢が、『護衛のレイヴン』である所の私に、面会を求めてきたのだけど、ユーリは約束を守って、面会を拒絶してる。うん、いい子だね。
余計なトラブルは避けるのが筋ってモンよね。
　
「はぁ〜。」
　
ユーリが中に入ってきた。エルシィちゃんが戻っていったのは音で分かっているから、もちろん一安心。
　
「おはよう、どうしたの、ユーリ？」
　
「あ、おはようございます。今日もいい日になりそうですね。」
　
「どして？」
　
「え？あ、いやぁ、そんな気がするだけですよぅ。」
　
…………ま、いいけどさ。
　
「あ、そ。んじゃお食事にでもしましょうかね。」
　
中に結構いろんな物があるんで、食べる内容には困らなさそうだ。朝はとりあえずお腹を膨らませるだけでいいし、暖めるだけで食べれるモンにしようっと。
　
「あ、ご一緒していいですか？」
　
「別にいいよ。こんなのでよけりゃね。」
　
選んだ物をユーリに見せて、加熱準備を始める。簡単だねぇ、全く。これで味もまあまあ、栄養的にも問題無しって言うんだから、ある意味理想的な食べ物よね。
　
　
あれから、５日が過ぎた。毎朝恒例の問答もいい加減聞き飽きてるけど、彼女は懲りもせずに毎日やってくる。ホントご苦労様よね。
　
「ふぁ〜、しんどいですぅ。」
　
「毎朝ご苦労様。しっかし、あの人も飽きないねぇ。」
　
「そこがエルシィさんのいい所じゃないですか。」
　
そーなの？ま、ファン心理ってのはよく分からんけどさ、本人が納得してりゃそれでいいか。
　
「で、朝はまたここで食べてく？」
　
「あ、はい、ご一緒します。」
　
ここで一緒に朝食をとるのも、毎日のことになってる。一番のんびりした時間だね。このまま済めばいいんだけどね………
　
　
『もう、一度くらい会ってくれてもいいじゃないの。』
　
『一応、レイヴンのプライバシーに関する事は本人の了承が無いと教えられないんです。本人が出たくないと言ってる以上、会わせられないんです。ごめんなさい。』
　
今朝もやってる。飽きないって言うか懲りないって言うか………私なら殴り倒してるかも知んない。
１０日目…………そろそろアンバー＝クラウンの警戒範囲に入る頃合いだ。何か起こるとしたら今日、かな？
　
　
リグを自動操縦にして、ユーリがブラッドウィドウの整備をしている……と言っても、ここんとこ実際に動かしてる訳じゃ無いんでジェネレータ周りくらいしか消耗してないし、後は間接などの駆動系に油を差す程度かね。
　
「どう、調子は？」
　
「そうですね、主任じゃないから断言は出来ませんけど………特に問題は感じないですね。」
　
「そう？ありがと。」
　
メンテナンス出来る人がいるのは、今回みたいな長期の仕事には非常に役立つ。何せ精密部品があるし、このブラッドウィドウみたいにブラックボックスが多い機体じゃ手間だけ掛かって、その上判断ミスしそうだしね。
　
「でも………この脚部は分からない部分が多いですね。主任から預かったチェックリスト通りに調べただけですから……今一つ自信がないです。」
　
「そうなの？でも、一応そのリスト通りに調べて問題無かったんでしょ？」
　
「ええ、そうなんですけど………」
　
ま、本来は自分で理解してないと気が済まないんだろうな。ってことは、それだけジェフの発想や設計などが並外れてるってことなんだろうけど。
　
　
とりあえず、昼の内はコアに腰を落ち着けてる。いつでも出撃出来るように、だ。
　
「様子はどう？」
　
『今のところ、変化はありませんね。』
　
日を追う毎に、ユーリの反応も普段に近付いてる。ま、いつまでも、初日の状態だったら洒落にならなかったけどね………
　
「注意は怠らないでね。」
　
『分かってます、任せて下さい。』
　
…………センサーをオンにしておこう。念のためにね。
　
　
赤い光点が現れた。ＭＴ部隊が交戦を始めたようだ。
　
「いつでも出れるけど？」
　
指揮車に通信を入れる。
　
『いえ、レイヴンは現状のまま待機していて下さい。』
　
「りょーかい。」
　
とは言ってみたけど、確認しておこうか。
　
「ユーリ、起動準備。それと、現状はどうなってる？」
　
『はい、起動準備出来てます。今のところは出撃の必要は無さそうですけど………』
　
そうかな？第二波、第三波まであるかも知れないよ。
　
　
『レイヴン、お願いします。』
　
「ＯＫ、出撃する。」
　
予想通り、第二波の攻撃が始まった。数もかなりあるようだね。コンテナのカバーが開くと、機体を宙に舞わせる。
上から敵の機体にパルスライフル（ＷＧ−ＸＰ２０００）を叩き込む。
見た感じ、作業用ＭＴに武装と装甲を加えた機体のようだ。４・５発も撃つと動きを止める。まあ、ＭＴだし、そんなモンだろう。
しっかし、数が多い。これじゃ出撃要請されるわけだ。着地前にブースターを軽く噴かして、次の相手を狙い撃った。
とりあえず３機ほど撃って潰してみるけど、第三波を考えるとあまり弾を撃てないかも。
ブレードを利用して切り倒すことにしよう。これなら２撃か……可能な限り被弾を避けつつ５の…６の…７機っと………
おっと、指揮車から通信だ。
　
『高速で接近する反応があります。レイヴン、気を付けて下さい。』
　
高速？まさか………ＡＣ？それとも、戦闘用のＭＴか……………
　
『マリィさん、援護射撃しますか？』
　
「いらない。あくまで自分の安全だけ考えてなさい。」
　
どっちにしろ、私が相手するんだろうな……多数って話じゃなかったし、１機か………やだなぁ。
　
『タイショウデータナシ。』
　
やっぱり、対象無しか。ＡＣのコンピュータが報告してくるけど、聞きたくないぞ、それ。
来たか………砂漠用の夜間迷彩で塗られたＡＣ。左肩にチェーンガン、右手に………榴弾砲じゃないの、あれ？
形態は標準二脚、レーザーは効き難そうだね。近寄らずに肩の垂直ミサイル（ＷＭ−ＳＭＳＳ２４）を使うべきかも…………
まずは、こっちに注意を向けさせないと……牽制に数発撃ち込むか…………
　
「乗ってきて頂戴よ………」
　
パパッとリング状のエネルギー弾が相手にヒットする。こっちに気付いた様だね。さて、後はこいつを引きつけて離れればいいんだけど………
機動を繰り返しながら一定の距離を保って誘いを掛ける。結構大人しく付いてきてくれるけど…………これって……囮かも……………だとすると………
と、その時、後ろで爆発音が聞こえた。護衛で飛んでいた無人攻撃機・『疾風』が味方のコンテナ車輌の一つにぶつかった様だ。しかし、誰が撃墜したの？
　
『どうする、戻った方が良くないか？』
　
相手からの通信か………やな考えが当たったみたいだね。でも、このやり方ってどこかで見たような？
　
『さて、次は直撃かな？』
　
煽ってやがる………いや、『基本』通りか……………予定通りの『囮』で、『乗せられた』のはこっちだ。でもね………
　
「いいよ、乗ってやる。けどね……相手を間違えたことを教えてやるよ………」
　
『女？まさか………な。どっちにせよ、お前さんはここでゆっくりして貰おうか。』
　
そう言うなり榴弾を放つ。あんなトロい弾には当たりゃしないけど………着弾点が燃えあがる。焼夷弾か………直撃はイヤだなぁ。
けど、あまり時間は掛けられない………距離を詰めるか………
さっきまでの距離より近付いていく、と、ちょっと待て！立ったままでチェーンガンを撃つな！
急速回避！完全には避けられなかったけど、ダメージは重くない。
　
『………思ったより反応がいいな。』
　
こいつ、プラスかい……なら、それなりにやらせて貰う。悪いけど………相方の助けなんて間に合わせてなんてやらないよ。
　
「十字を切りな、スティング………『スコルピオ』の方が分かりやすいか、ボーヤ。私に喧嘩売ったんだからね、覚悟しな。」
　
『？その口振り……それにコードネームまで……お前、いや、アンタまさか………どうして、こんなとこにいるんだ！』
　
ふん、動揺して手がお留守になってるよ。ブースターを全開にして急接近する。
　
『チイッ！』
　
ようやく反応して、動きながら焼夷弾をバラ撒くけど、そんなの当たるかい。こっちはパルスライフルで削りながら接近を続ける。
ようやくチェーンガンに切り替えて撃つけど、遅いよ。ブースターを最大に利用し、機体を上下左右に動かして被弾を減らす。
　
『クソッ、来るなぁ！』
　
「冗談は聞かないよ。勝負を挑んだのはお前だ。前にも言った筈だよ………自分たちの作戦に酔って、相手の力量を把握しないのが欠点だって……ね。」
　
射撃を止めた？左手を構えるのは………悪くはないが、選択ミスだね。今更光波なんかくらうか！
機体を右にずらしながら旋回。パルスライフルで削る。
　
『な、そんな………』
　
こっちを向く前に踏み込んで…………ブレードを当てる！
　
ガン！
　
さらにタイミングを計って斬り続ける。４回目で距離が開いた。這々の体で逃げるスコルピオを追いかける。ただし、レーダー範囲ギリギリで、だ。
　
「そっちの状況はどう？」
　
『あ、マリィさん………何とかＭＴは撃退したんですけど…………味方のコンテナ車が３台壊されました………』
　
「壊された？全壊なの？」
　
『いえ、２台は修理すれば動かせるとは思うんですけど………』
　
「そう、こっちは狙撃手を見つけて撃破するつもりだから、そう伝えといて。後、『お嬢様』は絶対に出撃させないでよ。出たら狙撃されるからね！」
　
前線に無人誘導の部隊を複数に分けて突入させて隙を作り先行者が襲撃、ターゲットか邪魔なヤツを誘導し、狙撃手がターゲットを超遠距離で狙撃して撃墜する。昔からやり方が変わってないね、アンタらは………
　
　
『おい、スコルピオ。どうした？』
　
『引くぞ、マウス！やばいヤツに追われてるんだ！』
　
『おいおい、お前さんが『やばい』なんて言うヤツがこんなとこにいる筈は無いだろう？』
　
『予定外だ！いいから引くぞ！』
　
『大丈夫だよ。レーダーには捉えた。距離が違うんだ。この試作スナイパーライフルで焼いてやるさ。』
　
「悪いけどさ、聞こえてるよ。アンタらが使う周波数は分かってるからね。割り込ませて貰うよ。」
　
『フッ！来いよ、叩きつぶしてやるからよ。』
　
悪いんだけど、狙撃されるのは冗談じゃない。機体を左右に大きく振って狙わせない。お馬鹿な相手じゃなければ、撃っては来ないでしょ。
更に詰めると、今度は角度の付いたエネルギーの固まりが飛んでくる。これは…………レーザーキャノンか！ブースターを噴かして空中に逃げる。
今度はこっちのレーダーに捉えたよ………空中で例のレバーを引く。脚部変形開始。空中でブースターを小刻みに使って回避を行い、可変時間を稼ぐ。あっちが遠距離戦に徹しているから出来るんだ。
Ｒｕｎｎｅｒ−ＭｏｄｅからＧｕｎｎｅｒ−Ｍｏｄｅ、二脚から四脚へと変形し、地上の移動速度を上げる。代償は旋回速度と安定性、耐久限界の減算だが、重心を低くして移動速度を倍に跳ね上げることが可能なパーツだ。言い換えれば、この状態では全く攻撃は耐えられないってこと。
こっちの射程に入った瞬間から肩のミサイルを、機体を様々に動かしつつ発射。垂直ミサイルは発射時の状態によって軌道が変化するため、この状況ではかなり効果的な筈だ。
案の定、ヒットした爆炎が幾つも上がる。岩山の上みたいだけど……ジャンプで届くかな？でも、まずはこの距離を保ってミサイルを全弾撃ち尽くす。
　
『うおぉっ、なんだ！』
　
『く、くそっ………やるしかねぇか………』
　
マウスの声に、スコルピオも覚悟を決めてこちらに突っ込んで来る。機体を入れ替えるように脇をすり抜け、マウスの方へと向かう。ブースターで飛行体勢に入ると、再び変形。このパーツの売りは変形速度らしいね。シミュレータで使った時も速いと感じたんだからね。
　
『な、何故こっちへ来るんだ？てめえ、一体何モンだ！？』
　
「じゃあね。お休み、ボクちゃん。あの世で待ってなさい！」
　
ブレードで衝撃を与えると、岩山から蹴り落とす……ウリャ！
ブースターで制御して上手く着地しようとするマウスのＡＣの上に飛び降りて、思いっ切り踏む。
　
『な、何しやがる！危ねぇじゃねぇか！』
　
「どのような状況でも油断することは、死に通じる………そう、教えたハズなんだけどね。」
　
そう言いながら、パルスライフルを向けて四脚の脚の一本を撃ち続ける。
　
『な、それは…………そ、それより、何をしてるんだ？』
　
「脚を１本ずつもいであげようかって思ったの。でも、面倒だから止めるわ。弾もそろそろ無くなってきたし。それじゃ、そーゆーことで。」
　
それだけ言って、もう一回踏みつけながらジャンプ。そのまま下を向いてパルスライフルをコアに向けて撃つ。レーダーにもう１機のＡＣを確認すると、わざとマウスの真上をキープ。ブースターを小刻みに噴かして、接触しない距離を保つ。
　
「さ、スコルピオ君、度胸があるなら撃ってごらん？」
　
『な、嘗めるなぁ！』
　
『馬鹿野郎！止めろぉ！』
　
スコルピオは焼夷弾を撃ってきた、真上から………予測通りの行動に、私は今まで軽めに噴かしていたブースターを全開！スコルピオを追い越して上に出る。当然、焼夷弾をかわした上でだ。
　
『ば、バカな！？』
　
「機体の性能と、操縦者の腕の違いよ………お子ちゃまには分かんなかったかな？授業料は、二人の命で払ってね。」
　
セリフを掛けながら、パルスライフルを撃ち下ろす。機体にも…………焼夷弾にも撃つ。
　
ドゴォン！
　
マウスも焼夷弾をかわしたみたいだけど、下の炎に突っ込んだみたいだね。炎が機体に移ってる。
そして、スコルピオの機体が着地直前に再浮上、上を取ろうって魂胆みたいね。でも、操縦下手よ、アンタ。
こっちもＡＣの降下地点を変えるように空中制動を行う。スコルピオの機体とすれ違う軌道を選んで、タイミングを合わせてブースターで最接近してブレード一閃！
ブースターの加速を乗せて、エネルギー最大のブレードを叩き込む………通称『空中斬り』。
最高のタイミングで使えば普通に斬る時の約３倍の威力を誇る、まさに奥の手。
　
『ふざけるなよな………小隊長に……敵うわけ、ねぇじゃん………』
　
「誰に、どうやって頼まれた仕事か知らないけど………相手の確認を怠るのは、自分のミスだよ。同じ事を何回言ったっけ。」
　
『ヘッ……………忘れた、ね。』
　
その言葉を最後に、スコルピオはこの世から消え失せた。
　
『洒落になんねぇな、今のヤツのセリフは本当か？』
　
「さぁね、どう思う？」
　
『そうだとしても、いや………だったら尚のこと、今更引けないぜ。アンタも引かせちゃくれねぇもんな……』
　
「当然だね。それじゃ、死ぬ前に今回の依頼主を教えてくんない？」
　
『教えるのはルール違反……って言いたいが、俺はレイヴンじゃ無いからな。世の中には……あのお嬢ちゃんの存在が目障りな人もいるって事さ。』
　
なるほど、まずはレイヴンの存在を知らしめ、それを一般常識にすると、用済みになった『広告塔』は『廃棄』する、か。
今更とは言え、このやり口には反吐が出る。
　
「アンタは昔のままなんだね………私みたいに変わればよかったのに……ね。」
　
『いや、もう無理だぜ………せめて、アンタを倒して名を上げようかね。少なくとも『裏』の世界では有名人だろうな……『真紅の毒蜘蛛』を消したとなりゃぁな！』
　
「聞きたくも無い事を覚えてるモンだね。口が過ぎるよ………」
　
対峙から、マウスが動き始める。ブレード？そうか、アンタもプラスなのか。
マウスの機体の左腕が構えに入る。エネルギーを充填して、ブレード光波を放つ体勢だ。
相手が四脚型でこっちは今は二脚………ちょっとやりにくいね。でも、負けは無い。
相手の動きは完璧に把握できるからだ。機体が違っても、動きの癖はそれ程変わらない。だから………
機体を上昇させて、光波をかわす。小刻みなブースター機動と左右への機体の動きを駆使して射撃と光波をかいくぐり接近、ブレードを左肩に叩き込みながらすれ違う。
　
『やっぱり……勝てない、か………』
　
「癖が変わってないよ。その上、大きな隙まで作ってちゃ………ダメだよ。」
　
『アンタは………アンタこそ、変わらない………な……』
　
そして、爆炎に包まれて………散っていった。じゃあね、先に地獄で待ってな。とりあえずは、今帰れるところに帰ろう。
　
「こちらマリィ。ユーリ、今から戻るよ。」
　
『了解です。お待ちしてますよ。』
　
さて、行くか。もう、襲撃は無いだろうしね………
　
　
機体をコンテナに乗り込ませると、コアのハッチを開ける。うぁ、汗だくだよ。
　
「ご苦労様でした。」
　
「ん？こっちに居たの？」
　
「ええ、まあ。すぐにチェックが必要だと思ったので。」
　
「そっか…………じゃ、悪いけど少し眠るわ。」
　
「はい、どうぞごゆっくり。」
　
仮眠ベッドに潜り込む。疲れた………気分が重い。くたばるわね、お休み…………
　

戦いが仕事、とはいえ、昔の仲間と殺し合うのはレイヴンゆえか。
全てを葬り一人眠るマリィ。　彼女の心が僅かな間でも休まることを
祈りましょう。

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