「あの、お邪魔していい？」
ドアを少しだけ開けて、ユウカがレイの病室に顔を出す。
「……どうぞ」
そう答えながらも、レイは心の中で逡巡していた。
（どうして、許可したんだろう……私、この人のこと……気になってるの？）
「それじゃ、失礼します」
ユウカは、部屋の中に入る。
そこにある見舞客用のイスに腰掛けると、レイに話しかけ始めた。
「あの、綾波さん……先程は失礼しました」
レイは黙って聞いているだけだ。
ユウカは、少し考え込む……
（えーと、何話したらいいんだろ……）
「綾波さん、ＥＶＡの零号機のパイロットですよね……」
「ええ、そうよ……」
「あの、怖くないですか？ＥＶＡに乗るのって……」
「別に……」
（うーん、困ったなァ……迂闊なこと言えないし……）
ユウカは再び考え込む。
「……碇さん」
「え、あ、はい……何です？」
「あなたは……怖いの？」
レイの方から話しかけてきた。
「怖くない……って言ったら、嘘ですね。やっぱり、戦うの……怖いです」
「そう……私は怖くないわ」
「どうしてです？」
「信じてるから……碇司令を……」
「そうなんだ……あの人の事……信じてるのね」
「あなたは、お父さんのこと、信じてないの？」
「信じるも何も、物心ついた時には側にいなかったんだもの……知らない人を信じようもないわ……」
ユウカはレイから顔を背けた。歪んだ顔を見せたくないと思ったからだ。
「でも……あなたの信頼に応えてくれる人ならいいんだけど、ね……」
そう言うと、ユウカはイスから立って出ていった。
ユウカの残した言葉に、レイは逡巡する。
（あの人、碇司令が『私』を見ていないのは知ってる……でも、碇さん……彼女に言われると……どうして、こんなに不安になるの……）
第参話 それぞれの、想い
「退院させられない?」
ミサトが叫ぶ。冬月は耳を塞ぎ、リツコは顰めっ面をする。
「どうゆう事ですか、ユウカさんを退院させることが出来ないって！」
「調査が必要よ。彼女は……はっきりいって異常だわ」
「フム……確かに、あの戦闘は想定できるものとは違っていたが……」
リツコの意見に、冬月も頷いた。
「まさか……解剖とかしないでしょうね？」
「そこまではしないわ。あくまでも血液や細胞を取って調べるだけ。ただ……他の人間に影響が出ないと分かるまでは入院していてもらう事になるわね」
「出るわけないでしょ！私だけじゃなくて、副司令も会ってきたんだからね！」
くってかかるミサトをあしらいつつ、リツコは言った。
「たまたまかも知れないでしょう？」
「まったく……意地悪ね、アンタって……」
「それより、彼女の能力を前提とした基本作戦案や、彼女の訓練スケジュールは作ったの？素人に戦闘技術やなんかを教えるの……大変だと思うけどね」
「いい加減にせんか、君達。明日にも司令が帰ってくるというのに、指示を出す立場の人間がそれでは、下の者が付いてこんぞ……」
冬月が、険悪になりそうな２人の間に入り、その場を納める。
結局、その場はそれでお開きとなった。
翌日────ネルフ本部・第二会議室。
「さて、新規の作業予定は立ったのかな？」
開始の挨拶よろしく、冬月が訪ねる。
「はい、お手元の資料をご覧下さい」
ミサトの指示に、その場にいる、リツコ、冬月、そしてゲンドウが資料を見た。
「諸般の事情により、サード・チルドレンの入院期間が延長されたため、ＥＶＡの操縦と運用に関する教育を入院中に行いたいと思います」
「その間に初号機の調査及び点検整備を行います。これは、技術部を総動員して、最優先で行うつもりです」
「期間はどのくらいだ……」
「５日ほどですが……」
「……よかろう、これで処理したまえ」
それだけ言い残すと、ゲンドウは席を立った。
「……お許しはでたわね」
「そうね……でも、ミサト？誰にさせるつもりなの……教育役？」
「それは……そうね……やっぱ、一番時間ある人がいいわよね……」
「ゴメン……入院、伸びちゃったの……」
ミサトは、ユウカの病室に来るなり、そう言って頭を下げた。
「……それは別にいいですけど……理由は何ですか？」
「え？あ、それはね、機械の不調で、精密検査の結果が飛んじゃったんで、新しい機械を入れてからやり直すんだって話よ……」
ミサトの表情を見て、ユウカは思った。
（嘘だ……理由は分かんないけど、嘘ついてる……）
「そんでね、入院期間が大体……一週間かそこら伸びるって事なんで、チョッチ退屈でしょ？だからね、ついでと言っちゃなんだけど、これ……」
そう言いながら、ミサトは脇に抱えていた紙袋を差し出した。
ユウカはそれを受け取ると、中をのぞき込んだ。
「これ、何ですか？」
「ＥＶＡの操縦とかに関する説明書と、あなたのレベルで使用可能なネルフ関連の施設の運用案内……よく読んどいてね」
妙に分厚いファイルをパラパラと捲っていたユウカは、途中で手を止める。
「ん？どしたの？」
ミサトが声をかける。ユウカは照れくさそうな顔でミサトに尋ねる。
「あ、あのォ……これ、もの凄く読み難いんですけど……」
「どれ……」
ユウカの手からぶ厚い説明書を受け取ってあちこちページを捲っていたミサトだったが……
「……ゴメン、チョッチ頭痛してきた……」
そう言いながら、ユウカの手にファイルを返した。
「どうすればいいんでしょうか？」
「……分かんないとこは、レイに訊いてくれる？あの子もコレ読んでるハズだから……」
額に汗を浮かべながら、ミサトはユウカの質問に答えた。
「はぁ……」
気の抜けた返事を返すユウカ。
「あ、後……明日か明後日くらいに、ウチのオペレーターやってる、日向君ってのが来るから、施設に関しては彼に聞いといてね。退院日が決まったらまた来るから。そんじゃね」
それだけ言ってミサトは帰っていった。
ユウカは、荷物をベッドの脇に置くと、横になった。ウトウトしてくる……いつしか、ユウカは眠ってしまった。
「……ユイ、この子は君によく似ている……」
薄闇に包まれた病室。
静かに眠るユウカの横に立って、ゲンドウがユウカの寝顔を見ている。その顔には、僅かに笑みが浮かんでいた……少しだけ開いたドアから、廊下の光が射し込む……
そして、そこには病室の中を伺うようにして見ていた、レイの姿があった。
（あなたは、その人を見ているの？……それとも……私と同じように、その向こうの誰かを見ているの？）
レイ本人も気付かぬ程の、僅かな隙間が……心に生まれていた。
ユウカの言葉で、その隙間に、ゲンドウへの不信が染み込んでいった……
『でも……あなたの信頼に応えてくれる人ならいいんだけど、ね……』
（信頼……私の……最初から、あの人は応えてはくれていなかった……だけど……）
静かに、レイはそこから離れていった……
ＥＰＩＳＯＤＥ：３ Ｗａｎｄｅｒｉｎｇ Ｍｉｎｄ
「えーと、綾波さん……ここ、訊いていい？」
「……どこ？」
レイの病室で、ユウカは例のファイルと睨めっこしていた。
「ん、と……ここ、『インダクション・モード時の操作について』なんだけど、インダクションって、誘導って意味だよね……電気工学用語だと思ったんだけど、違う？」
「この場合は、モードまで含めて、軍事用語として使うの……誘導様式、シンクロによる意識的操作より、機械的な操作を優先する状態の事……」
「あ、そうなんだ……普通に訳したらダメなのね……」
再びファイルに目を落とすユウカ。その横顔を見つめていたレイが、徐に口を開く。
「碇さん……あなた、碇司令のこと嫌いなの？」
眼を伏せたまま、ユウカは答える。
「……多分、嫌い。物心付いてから会ったのは、３年前と、この間の２回だし……でも、あの雰囲気も気に入らないんだと思う……」
「……でも、司令はあなたを嫌ってはいないようだけど……」
そこまで口にして、レイはふと考える。
（どうしてこんなこと言ってるの？私……）
「あの人が気にしているのは私自身じゃないわ……私の母の事よ。あの時、分かったもの……」
「あの時？」
レイは、尋ねてから、これは答えてくれないことだと思った。だが、ユウカは……
「３年ほど前、本当に久しぶりに父に会った時よ。その時から、あの人は私の事なんて見てはいないわ」
（あの人は……あくまでも、失った奥さんを求めてるのね……『私達』に……）
そんなことをレイが考えている横で、ユウカが立ち上がった。
「？……碇さん？」
「……ちょっと、頭冷やしてきます。待っててくれる？」
「……ええ」
返事を聞くと、ユウカは病室の外へ出ていった。５分位して、濡れた髪のままでユウカが戻ってくる。
「碇さん……髪……」
「アハ、ゴメンね。ね、綾波さん……」
「何？」
「私、綾波さんと仲良くしたいなって思ってるんだけど、ダメ？」
「……別に、構わないわ」
「よかった。それじゃ……私のことユウカって、名前で呼んで欲しいな」
「ユウカさん……」
レイがそう呼ぶと、ユウカは満面の笑みを浮かべた。
（この人の笑顔……暖かい……何故だろう、もっと見ていたい……）
レイは心の中の想いをどうしていいか分からなくなっていた。気が付くと、レイはユウカの頬に手を触れていた。
「冷たい……綾波さんの手、冷たくて気持ちいい」
その、レイの掌の上に自分の手を重ねて、ユウカはポツリと呟いた。
ユウカが何かする度に、何かを言う度に……レイの心に暖かいモノが膨らんでいく。
「ユウカさん……」
「ん？何、綾波さん？」
「レイ……でいいわ。他の人たちもそう呼ぶし……」
「うん、それじゃ、レイさん……続き、始めましょうか」
「……そうね」
コンコン……
「「はい？」」
２人が声を合わせて、ノックに返事する。
「ああ、葛城さんから聞いてたけど、やっぱりこっちに居たんだ……レイちゃん、お邪魔していいかな？」
眼鏡をかけた、優しそうな青年が開いているドアから入ってくる。
「碇ユウカさんだよね。僕は日向マコト……葛城さんから聞いてると思うけど、本部施設に関するレクチャーをしたいんだけど、いいかな？」
「あの……少し待って貰っていいですか？」
「いいよ、準備もあるし……ユウカさんの病室でいいのかな？」
「えーと、レイさんがよければ、ここで……」
「レイちゃんはいいの？」
「……どうぞ」
それを聞いた日向は、持っていた荷物を広げ始めた……
「……と、こんなモンかな。後は慣れだから……それと、ユウカさんの仮ＩＤカード。本物は、次の全体更新時に発行されるから……暫くはこれ使ってね」
そう言うと、日向はズボンのポケットからワインレッドのカードを取り出して、ユウカに手渡した。
「はい。ありがとうございます」
「それじゃ、僕はこれで失礼するよ」
来た時と同様に荷物を抱えて、日向は帰っていった。
「……結構複雑なのね、ネルフ本部の造りって……」
呟きながら『彼』の記憶と照らし合わせてみる……やっぱり、同じだ。まぁ、変わる訳無いか……
ユウカが、思考から戻ってくると、レイが顔を覗き込んでいた。
「ユウカさん……大丈夫？」
レイは、ユウカのことを心から心配していた。そして、そんな自分を不思議にも思っていた。
「うん、ありがと。ちょっと難しいこと考えると止まっちゃうのよ、私って……」
そう言って照れ笑いを浮かべるユウカに、レイがつられて微笑を浮かべた。
ふと外を見ると、もう、夜の帳が下りていた……日向のレクチャーの間に夕食を取っていたので、ユウカは、ファイルを片手に部屋を出ようとした。
「じゃ、また明日。お休み、レイさん」
「お休みなさい……」
一声かけてユウカは部屋を出ていった。
返事をした後、一人になったレイは……喪失感を感じていた。
（一人……何か足りない気がする……昨日まで、こんなことなかったのに……何か足りない……側にいて欲しい……これが、寂しいって事？）
それからの数日……ユウカは朝食を取るとレイの部屋に行き、昼食を含めてそこで過ごし、夕食を取ってから部屋に戻っていた。
毎日のようにファイルを片手に、ＥＶＡの運用について勉強していた。
そして、３日後……
「ねえ、レイさん。一つ訊いていい？」
「何？」
やはり、表情はそれ程変わらないけれど、ユウカに対する態度は柔らかくなっている。
「レイさんがファーストで、私がサード……三人目よね。それじゃ、２人目ってどうなってるの？」
「……ドイツ」
「え？ドイツゥ?」
「そう。ネルフ・ドイツ支部……そこに居るわ」
「ふーん、そうなんだぁ……でも、なんでドイツなの？」
「さぁ、碇司令なら知ってると思うけど……」
その後も、いつものように勉強を続けていた。
昼食前にミサトが来て、２人揃って２日後に退院する旨を伝えていった。
そして、昼食後……
「ねぇ、レイさん」
「何？」
「その……セカンド・チルドレンだっけ？の人と連絡なんて取れるのかな？」
レイは少し考えているようだ。少しして……
「多分……大丈夫だと思う」
「そうなんだ。どうすればいいの？」
「ここじゃダメ。専用の通信施設が必要なの……」
「そっか……残念だなぁ……」
本当に残念そうな顔をするユウカ。それを見つめていたレイの心が揺れる。
（どうして……そんな悲しそうな顔するの？）
「……どうして？」
「え？」
「どうして、残念なの？」
「んー、ちょっと話してみたかっただけなんだけどね……ま、いいか。退院してからでもね」
「……そう」
そのまま、２人はいつものように勉強を行った。
「おはよ、ユウカさん。さ、行きましょうか」
退院の日、朝から、ミサトがユウカの部屋にやってきていた。
「おはようございます、ミサトさん。少し待って下さいね」
ユウカは、初めて第３新東京市に来た時の服装に着替えて、いつものファイルを脇に抱えていた。
そのまま病室の外に出ると、レイの部屋に向かった。
「おはよう、レイさん。いよいよ退院だね」
「そうね……」
「レイさんって、どんなとこに住んでるの？」
「住所、教えてあげる……」
そう言うと、レイはそこにあったメモ用紙に住所と電話番号を書いてユウカに渡した。
「ん、ありがと。今度、遊びに行くね」
「はい、お２人さん……そろそろ行こうか」
ミサトが、病室のドアから声をかけた。
「「ハイ」」
２人の声が綺麗にハモった。
「中学生の女の子を一人住まいさせるんですか？」
「うむ、そうなってるようだな」
ネルフ本部の一室、ミサトと冬月が話している。
「そんな、普通……親子で一緒に住むのが当たり前じゃないんですか？」
「あの２人に関しては、そうじゃないようだな……」
冬月は静かに話す。
「しかし……」
「君は今、どのような視点で話しているつもりだ？」
「え？」
「倫理観とか同情とかでの意見なら、碇はもちろん、ユウカ君も納得すまい……だが、作戦部長としてみた場合はどうか？と聞いているのだがね」
「副司令……それは……」
「さあ、どんな答えを示してくれるかね、君は……葛城一尉」
生徒を窘めるような態度で、冬月はミサトに意見を求めた。
「作戦部としては……サード・チルドレン、碇ユウカの身体面及び精神面での保全の為に、然るべき保護者を決定し、その保護監督の下で生活させるべきかと……」
「……そうだな。その答えなら及第点をやれる。後は、その意見に最適な人物を捜し、それを依頼するんだな……」
それだけ言い残して、冬月はその部屋を後にした。
「んなこと言っても、今から捜すなんて……」
ミサトのぼやきだけが部屋に響いた。
「ミサトさん、顔色悪いですよ……大丈夫ですか？」
困った顔をして出てきたミサトを、ユウカは心配して声をかけた。
「あ、ユウカさん……別に大したこと無いから、気にしないで……」
「……なんか、ミサトさんにさん付けされると……変な感じです……呼び捨てでいいですよ、私のこと」
「んー、そんじゃ、ユウカちゃんて呼ぶね。いいっしょ？」
「はぁ……いいですけど」
（やっぱり、『彼』と同じように『ちゃん』付けか……でも、ちょっと嬉しいかも……『彼』と一緒だし……）
ユウカは、『彼』の事を思い出していた。
その横で、レイは……
（ユウカちゃん……可愛いかも……でも、私がそう呼ぶの……変だわ、きっと……）
などと考えていた。
「うーん、どうしようかなぁ……やっぱし、でも……」
「ミサトさん、何を悩んでいるんですか？」
「うん、ユウカちゃんの住む所の話なんだけどね……」
「私なら、一人で構わないですよ。レイさんも一人暮らしだって事だし……」
「……そっか、レイも一人だったっけね……よし、決めた！」
そう言うと、ミサトは携帯電話を取り出し、どこかへかける……
「あ、もしもし、リツコ？うん、アタシ……ユウカちゃん、アタシのマンションで一緒に住むことになったから。ついでに、レイも引き取るから、上の許可取っといてね。んじゃねー」
『ちょ、ちょっと、葛城一尉……』
プチッ……
ミサトは携帯を切って懐にしまい込むと、ユウカ達の方に向いて口を開く。
「って事だけど、２人とも異存無いわよね」
あくまでもニコやかに、しかし、有無を言わせぬ態度で言い放つミサト。
「……碇司令の許可は？」
レイが尋ねる。
「だーいじょーぶ。リツコがなんとかしてくれるって」
「そう、ならいいわ……」
（ユウカさんとも一緒にいられるし……）
どうも、こっちが本音のようなレイである。
「私は、別に無いです……父と一緒じゃなければ……」
（……そんなに嫌いなのかねぇ……ま、あの鬚メガネじゃ、嫌われても仕方ないかもね）
そんなことを思いながら、ミサトは２人を連れて歩き出した。
その頃、ネルフ本部第一発令所では……
「ちょ、ちょっと、葛城一尉……」
プチッ……
「ミサト……切ったわね……」
携帯を手に、ワナワナと身震いしているリツコ。
日向もマヤも、触らぬ神に祟りなし、とばかりにだんまりを決め込んでいる。
「お早うございます」
そこに入ってきた長髪の青年・青葉シゲルは、飄々と自分の席に着く。
「……なぁ、どうしたんだ？赤木博士……」
小声で、隣の日向に尋ねる。
「……今、葛城さんから電話あったんだけどね……」
「……また、無理なこと頼まれたのか……」
「日向君、青葉君……私語は慎んで貰いたいわね」
「「は、はいっ！」」
リツコの冷たい声が響く。名前を呼ばれた２人は慌てて姿勢を正した。
「悪いけど、少し席を外すから後お願いね」
そう言って、リツコは発令所を後にした。
「理由は確認してはいませんが、チルドレン両名を引き取るそうです」
リツコは、司令室にいた。
結局は、ミサトの発言をゲンドウの元に了承を得るために来たのだった。
「……どう推測する？」
「一つは、同情心ではないかと……司令はユウカさんとは御一緒には住まわれないのでしょう？一つは、警護と監督の面での簡素化……複数箇所に分散配置していたものを、一箇所に纏めれば人員削減が出来、その余剰を他の任務に廻せます。健康面の管理の意味でも、共同生活はうってつけかと思われますし……その辺りを考慮したのではないかと想像できますけど……」
「……そうか」
「それで、許可の方ですが……」
「レイが一緒なのは？」
「入院中に、ユウカさんと親しくなったのでは？」
「レイも同居するメリットとデメリットは……」
「メリットは、先程も言いましたが、管理監督の集中化に尽きます。デメリットですが……今の段階では判断しかねる……と言うしかありませんね」
「……様子を見ろ、と？」
「はい、暫く放っておくのもよろしいかと……」
「……分かった、許可する」
「では、葛城一尉に連絡しておきます」
「……随時、監視報告を届けさせろ」
「……分かりました」
（なんだかんだ言っても、娘のことが心配なのね……素直じゃないわね……）
リツコは、そう思いながらも、司令室を後にした。
あとがき
ユウカは、レイと出会い、心を開かせたようです。
シンジ君の記憶と心を受け継いだのですから、レイに優しくするのって、当然かも知れませんね。
サブタイトル、今回は「彷徨う、心」って所ですか。実際には、落ち着く方向に向かってますけど……
なにより、レイも含めての葛城家での生活、これからかなり違った展開が進むと思います。
今までと違う……新たな生活が始められた……何から何まで、変わってしまう環境。
次回、『新しい世界』。お楽しみに。
ミサト「それじゃ、次回もサービス、サービスゥ！」
作成日付：２０００／１２／１６
改稿日付：２００１／０２／０５
感謝の言葉：
なんてビックリ、レイと同居なんですね〜♪
素直に認めるゲンドウもちと怪しい・・・。
しかも、強いユウカを危険視しているのか簡単に退院させてくれないし。
弱ければ文句をいい、強ければ危険視する。
困ったものですね。
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第０４話「新しい世界」に進む。
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読者からの反響は作者のやる気を湧き出させます。
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