「へぇ〜。結構人が多いわね〜」
アスカが、加持の左手にしがみつきながら言う。
ユウカとレイは、少し離れた後ろを歩いていた。
「そうね。今日、休日だもんね」
「でも、いいんですか、加持さん？アタシ達の買い物に付き合って貰って……」
「ん？ああ……これも俺の仕事の一つさ。アスカが気にすることはないよ」
その２人の後について歩くユウカは、隣を歩くレイに耳打ちする。
「レイさん、アスカって見え見えだね〜」
「……何が？」
「何が……って、アスカが、加持さんを、好きなのが、よ」
「……そう」
「気にならないの？」
「別に……」
（私が気になるのは……ユウカさんだもの……）
レイはチラリとユウカの方を見た。
ユウカは、前の２人を見ながらニヤニヤしている。
「ね、レイさん……あのね……」
ユウカはレイに耳打ちをした。
ユウカには見えていないが、レイの頬は少しばかり朱が差していた。
デパートの水着売り場……４人が入っていく。
アスカが真剣に物色している。
そこに、ソーッとユウカが近寄り、アスカに小声で囁く。
「ねぇ、アスカ……２人っきりにしてあげよーか？」
「え、な、ちょ、ゆ、ユウカ……な、何言ってるのよアンタ……」
「いいからぁ〜。私、レイさんと一緒にここで消えちゃうからさ……デート、楽しんできてよ」
「あ、う、そ、それは……アンタって、お節介よね……でも、ありがと」
「それじゃ、ガンバってね〜」
こっそりと、ユウカはレイを誘って売り場を後にした……
「アスカってば、真っ赤になっちゃって……可愛いのぉ」
「……」
ユウカとレイは、デパートの前にあるファーストフード店に入っていた。
コーラを注文して窓際の席に座ると、ユウカは楽しそうに話し始めた。
「ホントに加持さんのこと、好きなんだねぇ……」
「……ユウカさんは、好きな人、いるの？」
ポツリと、レイが疑問を口にした。
その眼差しは、真っ直ぐにユウカを見つめていた。
「私？うーん、今は……いないかな。そう言うレイさんは？」
切り返すユウカ。
「……」
「あ、言いたくないなら無理して言わなくていいよ。誰だって人に知られたくないことってあるもんね」
ニコリと微笑むユウカ。
レイは、それを見た瞬間、頬が熱くなった。
（私が好きなのは……ユウカさん……でも……言ってはいけない……）
そんな思いに捕らわれたレイの目の前に、ユウカが迫ってくる。
ユウカは、レイと額を合わせると、神妙な顔で呟く。
「……大丈夫？ちょっと熱っぽいよ。具合悪いんなら、帰ろうか？」
「……大丈夫。心配いらないわ……」
小声で否定するレイ。
「ならいいけど……」
納得いかない様な顔のユウカ。
小難しい顔をして、何か考えている。
不安げにみつめるレイ。
「……ユウカさん……」
「……やっぱり帰ろ、レイさん。折角のお休みなのに具合悪くしたら、本末転倒って事になっちゃうからね」
「……でも……」
「レイさん、我が儘言わないから、無理してるかもって思ったら……気になって仕方ないものね」
「ユウカさん……」
レイは、表情にこそ出さないが、内心、かなり感激していた。
（この気持ち、何？……とても嬉しい……ユウカさんが、私のこと心配してくれている……私のことだけ考えてくれている……）
「さ、帰ろ。レイさん」
そう言って、ユウカは２人の空きコップを持って始末してしまう。
レイは、大人しくその後に付いていった。
第拾壱話 灼熱の底へ
「何でぇ〜?」
修学旅行へ行くことを禁止されたアスカは、思いっ切り不機嫌な顔をした。
「何で、って言われても、使徒がいつ来るかなんて分かんないからね……当然、パイロットは待機していて貰わなきゃ」
喰って掛かるアスカに、ミサトはあっさりと言い返す。
（……確かに、修学旅行中に使徒出たもんねぇ……）
ユウカは、内心、納得していた。
「ちょっとぉ、レイ、ユウカ、アンタ達も何か言ったらどうなの?」
「待機は命令だもの……従うわ」
「うーん、文句言ってもダメなことに変わりないんなら、大人しく聞いてようかな〜って思ったんだけど……」
レイもユウカも全く気にしていないようである。
「もーっ、張り合い無いわね、アンタ達って！」
「アスカ……折角だから、勉強の遅れ取り戻しておきなさい」
「何言ってるの?ミサト……」
「アスカ、苦手科目あるでしょ？レイもユウカちゃんも成績いいから、苦手科目は教わって、得意科目は教えてあげて、しっかり勉強しときなさい」
「そんなぁ〜」
へこむアスカに、勝利の笑みを浮かべ、缶ビールを喉に流し込むミサト。
レイとユウカは、そこで、２人同時に湯呑みのお茶をすすった。
「……まったく……沖縄で泳げると思ったのに……」
「アスカ〜諦めなよ……代わりに、屋内プールだけど……」
貸し切り状態の屋内プール、アスカとユウカ、レイの３人が遊びに来ている。
未だに機嫌の直らないアスカを、ユウカが宥めているが……あまり効果は見られない。
レイは、そんな２人のやり取りを無視して、ゆったりと泳いでいた。
「おニューの水着なのにナァ……」
アスカは、先日買ったばかりの水着を身に着けている。
レイは白いワンピースの水着だ。
「……ところで、ユウカ……何でアンタだけ水着じゃないの？」
「今日は入れないの。分かるでしょ？」
「……あっそう……いいわ、アタシ泳いでこようっと」
ユウカ一人だけ、普段着でいた。イスに座って、文庫本を読んでいる。
アスカが少し離れた所から飛び込んで、入れ替わりにレイが水から上がってユウカの方に近付く。
「ユウカさん……泳がないの？」
「うん、今日はダメな日だから」
「……そう」
（私……少し、落胆してる……）
レイの表情は変わらないが、その眼には僅かに翳りが見えた。
「レイさん。座って休んだら？」
「……そうするわ」
レイは、ユウカの隣のイスに腰掛ける。
「今日は平和だね……何も起こらないといいよね……」
ポツリと、ユウカが呟いた、が……その間にも、次の事態は静かに進行していた。
同時刻、ネルフ本部・ブリーフィングルーム。
データ表示卓に、ある地点の航空写真と、補正データが表示される。
「浅間山地震観測所より、火口内に異質な陰影が発見されました」
青葉が手元の文書を読む。
冬月が答える。
「……無視するわけにはいかんな……」
リツコが、右手にいるマヤに尋ねる。
「『ＭＡＧＩ』の判断は？」
「フィフティ・フィフティです。現場には、葛城一尉と日向二尉が待機状態です」
マヤが淡々と答えた。
地震観測所の管制室……ミサトは、耐熱潜行観測機の映像を食い入るように見つめていた。
「もうちょっと潜れない？」
「現在、深度１２００……耐圧隔壁に亀裂発生」
日向の報告に、観測所員が悲鳴を上げる。
「か、葛城さん！」
「ご心配なく。壊れたらウチで弁償します」
ミサトはにべもなく突っぱねる。その間も観測機は深度を下げていった。
「モニターに反応！」
「解析困難！」
「観測機、圧壊します！」
「データ、収集完了！」
「すぐ分析して！」
「……分析完了、パターン”青”です」
「────間違いない、使徒だわ」
ミサトは、ネルフ本部直通回線を使う。
「司令、使徒の存在を確認しました。殲滅の許可を願います」
『……少し待っていたまえ、葛城一尉』
切れた通信……ミサトは焦れる心を押さえ込むのに必死だった。
闇の中、ゲンドウは委員会の面々を前に、使徒の捕獲案を述べる。
「碇、使徒を捕獲するというのか?」
「その通りです。今回は非常に稀な事ですが、未活性状態の使徒です。例の計画を遂行するためにも、良いサンプルになるかと思われますが……」
「……いいだろう。だが、失敗は許さん」
「……もちろん」
訝る男達に、ゲンドウは自信満々に言う。
男達の姿が消える……ゲンドウは、口元に笑みを浮かべた。
「冬月、捕獲作戦を遂行する」
「失敗したときは人類そのものが消えてしまうぞ……本当にいいんだな？」
「やってくれ……Ａ−１７を発令する」
「葛城一尉がいないので、私が作戦を説明します。いいわね？」
リツコは、三人のパイロットを前に、確認する。
ブリーフィングルームには、先程送られてきた使徒の映像が映し出されていた。
「作戦内容は使徒の捕獲。特殊装備の必要性と準備の状況から、弐号機を担当とし、零号機及び初号機はバックアップに廻って貰います」
「わっかりましたぁ」
得意げに返事するアスカ。
「今回の特別仕様プラグスーツが用意してあります。着てみてくれるかしら？」
更衣室……専用のプラグスーツに袖を通して、アスカが言う。
「耐熱用って言っても、普段のと変わらないじゃない」
手元のデータシートを見ながら、リツコが言う。
「右手のスイッチを押してみて」
アスカが、右手首のスイッチを押すと、プラグスーツがみるみる膨らんでいく。
「あ〜ん、いやぁぁぁぁ〜、何よこれぇ〜?」
まるで、ボールに手足をくっつけたような、何とも情けない姿にアスカはパニックを起こす。
リツコは、それを無視して、ハンガーへと歩を進める。
「……これが、耐熱耐圧耐核防護服。局地戦用のＤ型装備よ」
まるで縫いぐるみのような、アンティークな潜水服に似た姿の弐号機が、そこにあった。
「……これが……アタシの弐号機?」
呆然とするアスカ。
「イヤよっ！こんな格好で出撃なんて、絶ッ対にイヤ！」
「……そう？なら、ユウカさんかレイに弐号機を使って貰うわ」
リツコはあっさりと、ごねるアスカを受け入れる。
「それはダメよ！アタシの弐号機を他の人になんて任せられないわ！」
「それなら、そのまま出撃でいいわね」
「あう……」
完全にやりこめられた形のアスカ。
ユウカは、溜息を付いた。
（リツコさんって……アスカの扱い、上手だわ）
「捕獲、ですか？」
『そうだ、葛城一尉。ＥＶＡはすでに準備を終えてそちらに輸送中だ。詳しい話は、同行する赤木博士に聞きたまえ』
「そんな、捕獲なんて不可能です?」
『それを可能にするのが君の仕事では無いのか？』
「……分かりました……」
唇を噛んで、苛立ちを押さえ込もうとするミサト。
顔を上げて、思い切ったように観測所を出ていく。
その頃、箱根ロープウェイの中……加持と、子犬を抱えた女性の２人だけが乗客である。
女性が口を開く。
「ネルフは、使徒の捕獲を決定したそうね」
「そのようですねぇ」
加持は何の気も無しに答える。
「ネルフの失敗は、世界の破滅を意味するのよ」
「……彼等はそれ程傲慢では無いと思いますよ」
「この件が無事に済んだら……一つ、頼みたい事があるわ」
「伺いましょう……」
窓の外を眺めながら、加持は話を聞いた。
ＥＰＩＳＯＤＥ：１１ ＭＡＧＭＡＤＩＶＥＲ
輸送機が３機のＥＶＡを運ぶ。
すでに、この作戦に必要な特殊車輌が、浅間山の火口付近に到着し、配置を完了していた。
「碇司令……一体何を考えてるの？」
「私個人としては、今回の作戦は大賛成だわ」
不満を漏らすミサトに、リツコは私見を述べた。
「うまくすれば、生きたサンプルが手に入るかも知れないものね」
「使徒がそんなに甘いモンじゃないって事は、アンタだって分かってるでしょ、リツコ」
「それでも、よ……チャンスではあるのだから」
「いざとなったら、即、殲滅に切り替えるわ……いいわね？」
「その判断は貴女に任されているわ、葛城一尉」
２人が話している間にも、準備は着々と進んでいる。
初号機と零号機は火口を挟むように位置し、１４式大型架橋自走車のワイヤーには弐号機が吊り下げられている。
「そのくせ、ＵＮを用意してるなんて、ね……」
ミサトは上を跳ぶＵＮ空軍の重爆撃機を見上げた。
専用指揮車の中からミサトが指示を出す。
『アスカ、準備はどう？』
「いつでもどーぞ」
『いいわね、アスカ……まずいと思ったら殲滅に切り替えるから、気を抜かないでね』
「ミサトも心配性ね。アタシがやるって言ったからには、必ず決めてやるわよ！」
弐号機は、両手に一本の棒を持っている……これは、捕獲用キャッチャーの軸だ。
その状態で、ゆっくりと火口に下ろされていく。
「いっきまーす、ジャイアント・ストロング・エントリー！」
弐号機が溶岩の中に姿を隠した。
「視界はゼロ、何も分かんないわ。ＣＴモニターに切り替えます」
弐号機はそのまま深度を下げていく。
安全限界深度を突破すると、様々な箇所に亀裂が入り始めた。
もっとも軽く付けられていた、プログナイフが溶岩の底に落ちていく……
「葛城さん、これ以上は危険です！今度は人が乗っているんですよ！」
「誰が立てた物であっても、この作戦の責任者は私です。続けて」
『ミサトの言う通りよ。大丈夫、まだまだいけるわ！』
アスカの元気な声が響く。
「それにしても熱いわねぇ」
アスカがぼやく。
実際には、余裕はないのだが、アスカはそれを人に見せることを良しとしない。
深度計は１７００を越えた……１７２０，１７３０，１７４０……深度１７８０に達する。
「いたわね」
弐号機はキャッチャーを展開して、使徒の捕獲を開始する。
キャッチャーの枠から、電磁幕が発生し、使徒の姿を包み込む。
「目標、捕獲！」
『ナイスね、アスカ』
ミサトの声が入る。
アスカは、明るい声で応えた。
「捕獲作戦終了。これより浮上します」
弐号機と使徒が上昇を開始する。
『らっく勝じゃん。でも、これってプラグスーツじゃなくてサウナスーツよね』
アスカは、気楽な軽口を叩く。
リツコが、ミサトに語りかける。
「この作戦、怖かったんでしょ？」
「……ま、ね。しくじったらアレの二の舞だもの」
「……そうね……セカンド・インパクト。二度とゴメンだわ」
その間も、弐号機の浮上は続いていた。
「そろそろ、出てくるね……」
ユウカは、レイに話しかける。
『……そうね。無事に済んで何よりだわ……』
レイがいくらか安心したように答える。
だが、ユウカの心は、危険信号を発していた。
（前とは違ってる……今までの使徒もそうだったけど、今度は何が変わるの？）
クレーンのワイヤーはほとんど巻き終わり、溶岩の中から弐号機の背中が見えた……
その時、警告音が鳴り響く！
『何よこれぇーッ?』
アスカが叫ぶ。
『いけない、使徒が羽化を始めたわ！』
リツコが注意を促す。
ミサトは、決断を下す。
『弐号機、キャッチャーを排除、只今を持って、捕獲作戦を破棄し殲滅作戦を開始します！弐号機は撤収急いで！ユウカちゃん、レイ、使徒に対して攻撃開始！』
初号機と零号機はパレットライフルを構える。
弐号機の手から、キャッチャーがパージされる。
電磁幕が崩壊し、使徒が溶岩に落ちる。
溶岩の中に沈んだ使徒……
『よし、弐号機は撤収出来たわね！』
ミサトが声をかける。
その時、溶岩の中から、腕のような物が伸びて弐号機の左脚を掴んだ！
『離しなさいよォッ！』
アスカが吠え、弐号機が身じろぎする。
「離しなさい！」
初号機と零号機が、その伸ばされた腕に射撃を加える。
しかし、ダメージを受けていないように見える。
「パレットライフルじゃ効かない？」
「おそらく、あの使徒は火山の中で行動出来るハズよ……充分な耐圧性能があると思われる以上、物理耐久力も比例して高いと見ていいわね」
「リツコ、何を呑気に分析なんかしてるのよ?」
「敵の特徴を把握しなければ、対策も何も立てられないって言ってるのよ」
「目標の攻撃、来ます！」
モニターには、使徒のもう一本の腕が伸び、弐号機の胴体に絡みつくのが見えた。
「レイさん、援護して！」
『？ユウカさん、何をするの？』
「直接、あの手を切る！」
『ダメよ、無理だわ……私達のＥＶＡは、落ちたら長くは保たないもの……』
「そんなこと気にしてたら、アスカがやられちゃう！私は……大事な人が傷付くなんて、耐えられない！」
ユウカの叫びに合わせ、初号機がプログナイフを抜いて身構える。
レイは、仕方無しに、使徒の腕への攻撃を続けた。
『このォォォォッ！離せってばーッ！』
アスカが怒りの声を上げる。
初号機が、岩を蹴って使徒の腕に飛びかかり、ナイフが使徒の腕を一本、切り裂いた。
弐号機の胴体に絡んでいた腕が落ち、使徒が姿を現す。
その姿は、カレイの様な平べったい身体に、二本の眼状突起と鰭に似た長い腕を保つ、完全な異形の怪物だった。
その背を蹴って、反対側の岩壁に取り付く初号機。
「アスカ、大丈夫?」
『ユウカ？……それ、貸して！』
アスカの声に、ユウカはプログナイフを弐号機に向かって投げる。
器用に受け取る弐号機、初号機は二本目のナイフを抜いた。
『こいつゥゥッ！』
弐号機は、脚に絡んだ使徒の腕を貫く。
使徒が身体をのけぞらせる。
初号機は、その背にナイフを刺すために飛びかかり、零号機は使徒に銃弾を浴びせる。
『上手いわ、３人とも！』
ミサトの声援が飛んだ。
初号機が、左手で突起を掴み、その背中に深々とナイフを突き立てる。
使徒は、苦しそうに口を開いた。
そこへ、零号機の射撃が集中する。
使徒の身体が歪み始める。
『こいつもくれてやるわよ！』
弐号機が使徒の口の中にプログナイフを投げつける。
「消えろぉ！」
ユウカがナイフを通して、『力』を体内に放出する。
使徒が内側から破裂し、初号機が振り落とされる。
「キャアァァァッ！」
『クレーン、ロックを外して！』
ミサトの掛け声に、弐号機が急速に落ちる。
溶岩に落ちる手前で、弐号機は初号機を捕まえた。
クレーンのワイヤーが止まり、衝撃が２機のＥＶＡを揺らす。
「落ちるかと思った……」
『アタシがいなかったら、落ちてるわよ、アンタ……』
「ありがと、アスカ」
『お、おあいこよ……さ、ミサト、とっとと上げてよ』
ワイヤーが巻かれ、初号機を抱えたままの弐号機が最大位置まで引き上げられる。
「使徒、完全に消滅しました」
反応をチェックしていた日向が、その完全消滅を報告した。
「了解、現時刻をもって、作戦を終了します」
ミサトが、指揮車の中で宣言する。
「……結局は、倒してしまったわね」
「これが、本来のアタシ達の仕事だからね」
サバサバした表情で、ミサトは指揮車を出ていった。
旅館・近江屋。
「ミサトさーん、何か、荷物届いてますよー」
ユウカ達が、ミサトがとった部屋でくつろいでいると、旅館の人がクール宅配便を持ってきた。
ユウカは、奥で缶ビールを飲み始めたミサトに声をかけながら、荷物を開ける。
「加持さんからか……」
ガムテープを取って、蓋を開けようとすると、聞き慣れた鳴き声がする。
「クエッ？」
「あー、ペンペン……」
中から出てきたのはペンペンだった。
ユウカは、ペンペンをフワリと抱き上げると、その頭に頬をスリスリする。
「クエェ」
「そっかぁ……一緒にお風呂入ろうね、ペンペン」
ペンペンに頬擦りするユウカの後ろで、襖の開く音がした。
「ユウカ、温泉入ろ」
「ユウカさん……」
アスカとレイが声をかける。
「そうだね。行こ、ペンペン。ミサトさ〜ん、私達先にお風呂行って来ま〜す」
ユウカは、ペンペンを抱えたまま、アスカ達と共に露天風呂へ向かっていった。
あとがき
本編、『マグマダイバー』と違い、ミサトは先手をとっての殲滅を進言しました。
先日、友人数名と話をした時に、使徒の捕獲は現実的じゃない、ミサトが進言したのは変じゃないか？となったからです。そして、ゲンドウが捕獲を指示します。
入浴シーンはカット。このメンバーだと、会話に意味がないからです。
次回は本編から逸脱します。
ＰＣゲーム「鋼鉄のガールフレンド」の設定を利用した、オリジナルアレンジのストーリーを展開します。
深夜の街に現れる謎の存在。
やってきた転校生……新たな事件の予感が。
次回、『鋼の少女』。
では、次回のあとがきでお会いしましょう。
作成日付：２０００／１２／３１
改稿日付：２００１／０２／０５
感謝の言葉：
ユウカちゃんがアスカに気を利かせるあたり、普通の女の子、って感じが
していいですね。レイちゃんが内心、ぽっ、ぽっ、ぽっ、となっていたのが
今回の注目ポイントでしょーか？ 今後の進展は目が離せません。（＾＾）
マナちゃんまで登場するなんて楽しみ。ユウカとはどう絡むのか・・・？
さ、続きが読みたいと思った人は感想メールで催促しましょう♪
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第１２話「鋼の少女」に進む。
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読者からの反響は作者のやる気を湧き出させます。
続きが読みたい人は、感想メールを送りましょうね。