第９話　戦いが終わったらあの場所で

ロイドはすでに自我を失っていたかもしれない。彼は頭をかきむしり、歯を食いしばって、そして奇人のように叫びつづけていた。

「がぁぁぁぁ！！！！！！あぁ・・・・・・ぁ・・・・・・ぁ・・・」

大広間にはフリーズ・サンズと倒福号の残骸、そしてザックスとロイドが戦ったのと同型の影一機の残骸が大広間中央当たりに転がっていた。どうやら二人どちらかが命を捧げ、それに激情したもう一人が影ともに自爆したようだった。二人は愛し合っていたのかもしれない。故に、愛する人を置いて先に進むことが出来なかったのかもしれない。間違った選択をしてしまったのであろうか・・・。


さらに大広間の奥には大穴が開いている。


ロイドは歩きだした。影の残骸を踏み潰しながら。

　
ロイドの涙はまだ止まっていなかった。

　
そしてＡＣのＭＯＮＯＥＹＥから流れ出るオイルはまるでスラスケントが涙を流しているようだった。


ロイドが大穴に近づくにつれて、大穴からブースターの音、弾が武器から発射される音、そしてブレードの音が聞こえてくる。大穴はすぐに終わり、天然の空洞に出るようだった。しかしその入り口には、また一機の影が頑張っていた。

「ここから先・・・・・・」

影は１秒ほど話したところでその活動を終えた。ロイドは無言のまま、すさまじいスピードで影を葬った。ロイドのムーンライトはいつもよりもはるかに輝き、そして出力も増しているようだった。

「ぁ・・・・・・ぁ・・・ぁ・・・」
ロイドは空洞にでた。そこでは二機の『何か』が戦っていた。それはあまりに特殊な形状をしていることからＭＴだと思われた。
一機のＭＴはアルフレート・ゼセーナンのものであった。それは悪かはたまた絶望か、四本の腕があり、まるで化け物のような黒色に赤い眼が光る大型ＭＴ。
もう一機はレドルラックのＭＴ。それは正義かはたまた希望なのか、まるで勇者のような白い小型ＭＴ。

二機はロイドの姿を確認すると、戦うのを止めた。

「人間がここまで辿り着くとは」
ゼセーナンの曇りがかった声がそう言う。

「貴様は・・・ロイド少尉か」
レドルラックの声もゼセーナンのそれと非常に似ていた。

「影を打ち倒し、スクリーマーを打ち倒したもの・・・・・・それは我々以上に危険な存在・・・」
ゼセーナンとレドルラックが交互に話す。

「まず貴様から排除しなければならない」
ゼセーナンの機体「エンドレス」はスラスケントの方へ体を向けた。

「ハスラー・ワンの言っていたことは真実だったか」
レドルラックの機体「ブレイブハート」もまたスラスケントの方へ体を向ける。


「悪を打ち倒すもの」


「正義を打ち倒すもの」
　

「両方とも・・・・・・プログラムには不用だ」


ロイドはびくつきもしなければ、勝機も感じ取れなかった。そして最後にゼセーナンとレドルラックがこう言った。


「ターゲット確認・・・・・・排除開始」


ゼセーナンは四本の腕に内蔵されている８連装マシンガンをスラスケントに向けて発射する。レドルラックは身の丈ほどもある巨大な刃をだす白いブレード「カリヴァーン」を振りかぶった。それからは強化人間特有能力の光波がほとばしる。しかしそれは規格品などとは比べ物にならなかった。



「ザックス隊長・・・シーマットさん・・・桃季さん・・・シグルドさん・・・ハイデッカーさん・・・そして僕の仲間、友全員が僕を生かしてくれた、僕に全てを託してくれた！」


ロイドはカリヴァーンに劣らるとも思えないほどの高出力のムーンライトから光波を放った。ムーンライトの光波はカリヴァーンの光波とぶつかり、相殺し合う。

「ゼセーナン、レドルラック、あんたらの謎を明かせって言っていた！」
マシンガン銃弾を数センチ間隔で回避するロイド。彼は何か人体改造を行ったわけでもない、薬を使ったわけでもない。ただ、彼の「涙」が彼に能力を与えた。

「綺麗ごとは言わない、これが僕のできる、死んでいったみんなへの最大限の償いだ！」
エンドレスの銃撃をものともせずに、ムーンライトを振って突撃するロイド。それはまさに『涙の騎士』であった。ゼセーナンは肩に装着されているグレネード４連（左右に２砲塔づつ）の照準を合わせ、すぐさま発射する。その反動はすさまじいはずだが、エンドレスの巨大な足がそれ耐える。単純計算で通常グレネードの四倍の威力をもつこの攻撃は地面に隕石の衝突を思わせるほどの大穴を作る。ロイドは軽い身のこなしで回避しようとするが、しょせんスラスケントは標準機。ＡＣの反応速度がロイドについていかなかった。

「くそっ！間接持ってくれ！」
ブースト全開で回避運動に持っていくロイドだが、爆炎を避けきれずに真横から衝撃を受ける。すかさずレドルラックがカリヴァーンを振う。カリヴァーンのリーチの長さをロイドは避けきることができなかった。しかしロイドはすぐさま攻撃に移る。

「！！！！！！」
ロイドはマシンガンを地面と平行に倒して撃ちまくる。ターゲットはブレイブハートの方であった。レドルラックはカリヴァーンで銃弾を受け止めると、肩に直接内蔵されている垂直ミサイルを発射、カリヴァーンを出しっぱなしで突撃する。

「武装は垂直とブレードだけか！」
ロイドは垂直ミサイルをひきつけながらエンドレスの方へ転身する。ミサイルは地面に沿ってスラスケントを追う。レドルラックのブレイブハートとは対照的に、ゼセーナンのエンドレスは超重量機体、もはやそれは固定砲台化されていた。ミサイルを避けるどころか動くことさえままならない機体だった。

マシンガン斉射でロイドを抑えようとするも、あまりに距離が近すぎた。

「これでどうだ！！」
ロイドはエンドレス直前で上空に駆け上る。レドルラックの放った垂直ミサイルは全弾がエンドレスの胸部に突っ込んで行った。

「やったかっ！？」
しかしロイドはすぐにその考えをあきらめた。垂直ミサイルの爆発煙の中からスラスケントに向かって巨大な手が伸び出してきた。

「ぬぁっ！？」
ロイドは空中に逃れ様とするも、すでに間に合わなかった。煙の中から現れたエンドレスの巨大な手は、スラスケントの両足をつかみそのまま遠心力をかけて回し始めた。そしてゼセーナンはエンドレスの上二本の手からスラスケントの足を手放した。スラスケントは勢いよく空中に投げ出される。ブーストを用いても軌道が変わらない。

「うぁぁぁ！！」

強烈なＧがかかるなか、ロイドはカメラにブレイブハートの姿を確認した。空中に投げ出されたスラスケントをレドルラックのカリヴァーンは正確に捉えていた。空中で強烈な光波が放たれる。

「っくぅ！！！」

すさまじい衝撃がコクピットを襲う。その光波はスラスケントの右肩を貫き、肩装甲をレーダーごとふき飛ばしていた。

「これが・・・・・・・・・なんてブレードだ・・・」

ロイドは弾幕を貼りつつ地面に着地する。しかし彼には一箇所に立ち止まっていることは許されなかった。すぐさまブースト全開移動で距離を置く。


ロイドはモンスター級の二機相手にかなりよくがんばっていた。標準ＡＣであるスラスケントの能力を最大限、いや限界以上の能力を引き出し、今、彼はおそらく最強のレイブンとなっていただろう。しかし彼はダメージを与えるどころか近づく余裕すらあたえてくれない、こんな二体に勝てるという気持ちはとうに消えていた。今、彼を戦わせている理由は「本能」、そして「絆」だけだった。恐らく彼がその思いさえ捨ててしまったら、彼は確実に倒れるだろう。しかしロイドはいくらダメージを受けても倒れなかった。

すでにロイドの意識は朦朧としていた。彼は本能で敵の攻撃を回避し、本能で弾を発射していた。彼にもはや勝つ手段を考えることなどできなかった。

「こいつ、なぜ倒れない」

ゼセーナンとレドルラックもまた、いくらダメージを与えても倒れないスラスケントとロイドに、いらだちはじめていた。ゼセーナンは８連マシンガンや４連キャノンを、レドラックはカリヴァーンを何回もヒットさせているも、かろうじて急所への直撃だけは免れていた。

「だめだ・・・・・・もう・・・無理なのか・・・・・・」
ロイドに一瞬あきらめかけた時、レドルラックは動いた。

「！！！！！！！！！！！！！！」
あまりの長時間の戦闘故に、ロイドの意識は飛んで行こうとしていた。彼の耳にはもう何の音も、何の色も入ってこなかった。

「！！！！！！！！！！！！！！」

「レドララックが・・・・・・何か・・・叫んでいるな・・・・・・」


「・・・・・・ろ・・・・・・ろ・・・・・・・・・・・・」


「ん・・・・・・誰だ・・・レドルラックじゃ無い、誰かが僕に呼びかけている・・・・・・」
ロイドの耳にかすかな音が入ってくる。それは・・・・・・


「・・・きろ・・・・・・ろ・・・・・・き・・・・・・・・・」


「この声は・・・・・・ザッ・・・ザックス隊長！」



「生きろっ！！」



ロイドは眼を大きく見開いた。ロイドの眼にはカリヴァーンを振り猛進してくるレドルラックの姿が見えた。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！！！！！！」
ロイドはムーンライトの出力を最大限にまで上げると、突進してくるブレイブハートに正面からムーンライトを振りかぶった。二機のＡＣがブレードを振り払いながらすれ違う。

「・・・・・・」

ロイドのムーンライトが耐久限界を超え左手で爆発した。そして、その爆発と同じにブレイブハートが地面に崩れ落ちた。

「お前は・・・・・・イレギュラーなのだ・・・・・・」
ブレイブハートは爆発することなく、パイロット部分で上半身と下半身を切断され、地面に崩れ落ちた。

「弟よ・・・・・後はたの・・・ん・・・ザ・・・ザザーー」


「隊長、隊長のおかげです。ありがとうございました」
ロイドは崩れ落ちているブレイブハートの左腕からカリヴァーン発生装置を毟り取った。

「あきらめようとしていた僕がばかでした」
カリヴァーンは自立式ブレード、手でつかんで装備することもできる代物であった。ロイドはマシンガンを地面に捨て、両手でカリヴァーンを握り締めた。これは片手ではカリヴァーンの出力に耐えられないからであろう。


「僕はゼセーナンを倒します。見ていてください、隊長、シーマットさん、桃季さん、そしてみんな！」


ロイドは歩き出した。カリヴァーンを構えながら。


「正義を破るもの・・・絶対に抹消しなくては」
ゼセーナンは静かにつぶやいた。

「あんた自分で気付いてるんだろ、自分が秩序を破壊するものだってことに。だからあんたら兄弟は殺し合ってたんだ。あんたはレドルラックが、レドルラックはあんたを敵と認識したんだ。そのあまりの強さ故に」

「・・・・・・・・・もちろんだ。俺はお前を抹消してから抹消されることになっている。すでに抹消プログラムはスタートしている」

「ならいいんだ・・・・・・万が一僕が負けてもあんたが死ぬんだったら、それでいい」
ロイドはブーストパワーを上げ始める。


「だが僕は負ける気なんてないよ、絶対に勝つ！」
一瞬で空中まで駆け上がるロイド。光波を連続で放ちながらエンドレスに近づいていく。ゼセーナンはシールドで光波を防ぎつつ反撃に移る。しかしカリヴァーンは通常兵器とは違う。シールドの限界も時間の問題だった。

「こいつを食らってみろ！！」
ロイドは光波をはなちつつジャンプ斬りの態勢に持っていった。ジャンプ斬りはエンドレスのシールドをまっぷたつに斬り払った。しかしゼセーナンはそのまますれ違ったスラスケントに、背部に装着されている多弾頭ミサイルをぶちこむ。そしてゼセーナンはブーストを全開にした。エンドレスの巨体が浮き上がった。浮き上がったと同時に足の裏に装備されている小型ミサイル、足のひざに装備されている小型ミサイルが連続で発射された。無数に発射されるミサイル網をブレードで振り払い、そして回避しながらロイドもゼセーナンの後を追う。空中でもエンドレスの至る所からありとあらゆるミサイルが発射される。

「・・・・・・」
ゼセーナンはブーストのレベルをさらに上げた。超重量とは思えないスピードでスラスケントを引き離す。そしてその巨体をスラスケントの方へ向け、胸部ミサイル格納庫を開いた。そこには一つのＷＭ−ＡＴがセットされている。

「消えろ」
エンドレスの胸部からＷＭ−ＭＴが一つ発射された。その一つのミサイルは空中で四つに分かれ、四つが十六個のＷＭ―ＡＴに分離した。超多弾頭のＷＭ−ＡＴだった。十六個の核ミサイルが編隊飛行でロイドを追って行く。

「この距離じゃブレードで打ち払っても爆風でひとたまりもないなっ！」
ロイドは高速移動で核ミサイルから逃れようとする。しかし核ミサイルはどんどんスラスケントにせまってくる。ゼセーナンはすでに得物をマシンガンに変え、核ミサイルの援護射撃態勢に入っていた。ロイドは一旦地上に着地し、ミサイルを引き付けていた。

「どうせ爆風からは避けきれない、ならばこれで決着をつける！」
ロイドは十分に核ミサイルを引き付け、それを間近に見ながらいきなり地面を蹴った。ロイドは上方から飛来する核ミサイルと交差するように空中に飛び上がった。

「なっ、何だと！？」
核ミサイルはスラスケントを追いきれずに地上に着弾する。十六発の核ミサイルが爆発したときの爆風はすさまじく、スラスケントの背中に直撃する。しかしロイドはそれを待っていた。爆風によってスラスケントはすさまじい速度で空中のエンドレスに向けて飛び上がって行く。


「ゼセーナン！覚悟ぉぉぉぉぉぉ！！！！！！！」


「おのれぇぇぇぇ！！！！」


ゼセーナンは８連マシンガンを一直線に飛びあがってくるスラスケントに撃ちまくる。スラスケントの装甲は頭、肩、足とどんどん撃ち落されて行くが、ブーストパワーだけは衰えなかった。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ！！！！！！！！！！！！！！」
ロイドは飛び散る銃弾と剥がれ落ちる装甲をカメラで捉えながら、カリヴァーンでエンドレスの胸部に突きかかった。

「ぬっ、ぬぉぉ！！！！！！！！！！！！１！」
カリヴァーンはエンドレスの頑丈な装甲を貫くまではいかないまでも、胸部に深々と突き刺さった。

「この程度ぉ！！！」
ゼセーナンは頭部のアイレーザー発射ハッチを開いた。

「これで終わりではないぞ！！！」

「それはこっちのセリフだぁ！！！！！！！！！！！！！」
ロイドはカリヴァーンを手放し、肩の、一発もしようしていないチェインガンに手をやった。空中で構えることに成功したロイドは一気にエンドレス胸部に集中攻撃を浴びせる。
エンドレスのアイレーザーとスラスケントのチェインガンが空中ですれ違った。片方はスラスケントの頭ＲＥＤ−ＥＹＥのカメラアイに、もう片方はエンドレスの胸部、カリヴァーンに直撃した。
次の瞬間、スラスケントの画面は真っ暗になり、そしてゼセーナンのコクピットは大爆発していた。

「っぐ、ぐばぁ！！！！」
エンドレスのコクピットには何か液体のような物が撒き散らされていた。胸部を炎上させながら地面に落ちていくエンドレス。しかしスラスケントもまたブーストパワーが切れ、最後の力でなんとかバランスを保ちながら地上に落下して行く。

「勝った・・・・・・勝ったのか・・・・・・！？」
同じスピードで落下する二機、しかし突然エンドレスの四本の腕が動き始めた。


「そ・・・・・・そんな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


四本のうち一本の腕が強烈なパンチをスラスケントに繰り出した。空中でそれをまともに食らったスラスケントは吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。

「がはぁ！・・・・・・っく、嘘だろ！」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・こんなとこではやられんよ・・・・・・私はアルフレート・ゼセーナン！最強に作られたものなのだ！」
着地したエンドレスは倒れているスラスケントの方へゆっくりと歩き始めた。

「う、動けるか、メインカメラ完全停止、両足とも間接大破、右腕間接も大破、もう上がらないな」
かろうじて予備カメラで画面だけは生き返ったが、スラスケントはすでに立ちあがることさえできなかった。そうしている間にエンドレスの足音が近づいてくる。

「くそっ！もう武装も残っちゃぁいな、どうすれば、どう・・・・・・」
ロイドはある者を見つけた。それはさっき地面に捨てたロイドのマシンガンだった。

「神は僕を見捨てていなかった・・・だが左腕だとＦＣＳがきかない、照準は手動で定めなければならない、できるかっ！？」
ロイドは左腕をゆっくりと上げ、マシンガンを手に取った。マシンガンの弾数メーターは００１２だった。

「っは、１２発か、こりゃぁコクピットへのゼロ距離射撃しかないな」
そういうとロイドはマシンガンをスラスケントと地面の間に隠すように挟んだ。

「もう・・無駄・・ザザ・・お前・・ＡＣは・・ザザザ・動く・・・まい・・・」
エンドレスはスラスケントの前に立った。そして二本の腕でスラスケントを抱き上げた。

その時―――


「抹消されるのは俺じゃない。お前だ」
ロイドは左腕を上げ、マシンガンの銃口をカリヴァーンでできたコクピット部分の穴に指しこんだ。

「・・・ザザ・・・な・・・に・・」

ゼセーナンはすぐさまスラスケントを投げ飛ばそうとする。しかしマシンガンのトリガーを引く方が速かった。


「さよなら」


１２発の弾丸が直接コクピットに撃ちこまれた。さすがにコクピット内まで装甲は強化されておらず、コクピット部分は見事に１２個の銃弾に撃ちぬかれていった。







後々の調査とロイドの体験が、レドルラック、ゼセーナンは実はサイボーグ、レイブンズ・ネスト（ナインボール）の後をつぐものだったということが判明した。双子のサイボーグとしてこの世に生をうけた二体は、全世界の秩序を守るためハスラー・ワン（ラナ・ニールセン）の後継者として選び出されたのであった。兄であるレドルラックには『影』が与えられ、弟であるゼセーナンには『スクリーマー』が与えられた。二人はそれぞれの組織を使い、秩序を破壊しようとするものをことごとく抹消していった。そして何十年の抹殺の日々が続いた時、二体は互いに、レドルラックはゼセーナンが、ゼセーナンはレドルラックが秩序を破壊するものと認識していったのであった。そしてとうとうゼセーナンが行動を起こしたのであった。彼は「ボルボテック産業」という架空の企業を創立し、レドルラック抹殺のために力を蓄え始めた。ライオネックはこの時、唯一の人間隊員として、スクリーマー隊員の総括者としてスクリーマーに迎えられた。それを知ったレドルラックもまた連合企業設立計画を提唱し、今回の戦争にまで至ったのであった。






ここに長岐に渡って繰り広げられてきた通称「企業全面戦争」が終局を迎えたのであった。あまりに多くの犠牲をだし、あまりに多くの悲しみを生んだ今回の戦争、それはロイド・ケルビム連合企業少尉だけを参考にとってもわかっていただけたことだろう。彼はもちろん特別な存在だったのだが、戦争で人が抱える悲しみはみな同じである。決して彼だけが特別なのではないことをわかって欲しい。


そしてロイドは・・・・・・





「マスター、ブランデーを」

「はい」

バー「ランカー」でたった一人ブランデーを飲む若者を見たという報告が入っている。彼を見たものは、それはまるで誰かと語らっているように独り言を言っていたと言う。彼はこの後、姿を消すこととなるのだが、彼は後々に、特に人類が宇宙を生活の場とするようになってからこう呼ばれるようになる。

He is the legend of the ground.







The End

ここを読んでくださっているということは全部読んでくださったんですね！それはそれは、感謝感謝！　僕は小説を書くのは今回が初めてでした。ストーリー全然考えないで始めたので、全部行き当たりバッタリです（爆）。よくまとまったな（？）と思います。結局今回は、メインキャラクターはロイド以外全員死んでしまいました。だけどそれで伝えられたメッセージは大きかったと思います（たぶん）。まぁところどころに謎を残しましたが、それは続編で解決されるでしょう（かなりたぶん）。あとロイドが「うぁぁぁぁぁ！！！！！！」とかで碇シン○君っぽくなったような気もします（笑）。まぁ初めての小説ということもあったので、ボロボロの小説でしたが、それなりに長編にもなり、書き終わった達成感はあります。とにかくいままで長岐に渡ってのご愛読、誠に感謝します。ありがとうございました。




１９９９年　４月１９日　ＴＯＴＡＬ５１２９４＋α文字
２０００年　３月３０日　細部修正

遂に決着がつき、男は一人、過去を懐かしむ。
いいお話でしたね。

さ、読まれた方は、ＳＡＬさんに読後の気持ちを送りましょう。