暁の守護天使

プロローグ「別れと出会い、そして再会」

「シンクロ率上昇！止まりません！！」

「実験中止！電源カットだ、急げ！」

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少女の周囲を、幾人もの大人たちが走り回っている。

たくさんの機械に囲まれた部屋、白衣を着た、忙しそうに走り回る大人たち。

ガラスの向こうを覗くと、そこには機械につながれた異形の巨人。

それが一体何なのか、大人達は何をしているのか、少女には全く理解できなかった。

やがて、いつもは寡黙な父の絶叫が少女の耳に届いた。

「ユイーーーーーーーーー！！」

その日、少女は両親を失った。

少女は、その後孤児院へと引き取られた。

セカンドインパクトによって親を無くした子供が多かった為、孤児院という場所は決して良い環境ではなかった。

が、幸運にも少女が引き取られた孤児院は、至極健全な所であった。

一人の、生真面目な戦略自衛隊の将校が、経営に関わっていたせいである。

その人物の名は東郷シュウヤ、セカンドインパクト直後の混乱期に多大な戦功をあげ、『軍神』と称えられた人物であると同時に資産家でもあった。

彼は現在『戦略自衛隊統合幕僚会議直属第６６６特務機甲師団団長』という肩書きを持っており、国内外にその名を知られていた。

東郷は、孤児院の子供達に、自活に必要な家事の技能を、どこでも生活できるように語学を、そしてイザという時自分の身を守る為の護身術を教えた。

その中にあって、少女は実に優秀な生徒であった。

少女は、まるで乾いた砂が水を吸うようにそれらを吸収していったのだ。

学者である両親譲りの頭脳と、持って生まれた天性の運動能力、その才能が、見事に開花し始めたのだ。

それに気を良くした東郷は、教育のレベルを上げてみた。

プロの料理人に教わらせてみたり、英語以外にも主要な国家で使用されている言語を教えてみたり、護身術を本格的な格闘術に変えてみたりした。

それでも、少女は優秀な生徒であり続けた。

さらに調子にのった東郷は、各分野のスペシャリストである部下達にも教師を依頼。

戦略・戦術・から銃器・刀剣類の扱い、果ては軍用特殊車両や戦闘機の操縦まで、どう考えても不要ではないかと思われるものまで教えていったのだ。

後年、『何故そこまでする必要があったのか？』と問われた東郷達は、『何を教えてもすぐに習得してしまうのでつい…』と、困った顔で答えたという。

時が経ち、少女が中学二年生になる頃には、教師達と肩を並べる超一流の兵士といえるだけの実力を身につけていた。

そして、同時に孤児院の子供達にとって母親代わりの存在にもなっていた。

僅か１４歳の少女に、愛情を受ける側ではなく与える側になれ、というのはいささか酷であったかもしれないが。

そんなある日、平穏に暮らしていた少女のもとに一通の手紙が舞い込んだ。

中には『来い』とだけかかれた紙とＩＤカード、リニアの切符、裏に待ち合わせの日時のかかれた一枚の写真が入っていた。

差出人の名は碇ゲンドウ、少女の父親であった。

＜ご挨拶と後書き＞

皆様初めまして、Ｔ．Ｈと申します。

この作品は、以前別のサイトに掲載されていた作品です。

そのサイトが閉鎖された為、ＹＯＫＯ様のご厚意によりこちらで連載を継続させていただける事となりました。

この場を借りまして、ＹＯＫＯ様には厚くお礼申し上げます。

これから暫くの間、以前のサイトに掲載されていた分に手直しを加えた上で、数話ずつ投稿させていただきます。

もしこの作品を知っていて、早く続きが読みたいと仰る方がおられましたら、暫くお待ちいただきたいと思います。

今回はプロローグですが、ここから第１話のミサトのお出迎えにつながります。

ちなみにオリキャラの「東郷シュウヤ」ですが、名字はかの「東郷平八郎」からいただきました。

軍人ということでまず頭に浮かんだのが「東郷平八郎」と「山本五十六」だったんです。

が、「山本」では普通すぎるので「東郷」にしてみました。

この人物は、最後の方で再登場の予定です。

主人公の名前は第１話で明かされますので、どうか広い心で続きを読んでやって下さい。

Ｔ．Ｈさん、後書きへの加筆、ありがとーございます。
数話ずつＹＯＫＯのところへ送って下さっているのに、１話ずつの
掲載になってごめんなさい、です。

改めて読んでみると、少女の名前、プロローグでは秘密なんですね。（＾＾）
様々なスキルを齢１４にして既にマスタークラスにまで達しているとは
なんとも驚きですが、それがシナリオに与える影響はどんなものなのか？
興味深々です。

さて、読まれた人は Ｔ．Ｈ さんに感想と一緒に気力を送って、執筆活動を
がんばってもらいましょー♪