天は太陽を写さず、何処までも厚き雲におおわれた世界・・・・
浜辺に立つのは白い衣を纏った少年・・・
体に密着する様な白いスーツの様な衣。
そして、死に絶えた紫色の巨人・・・・
足下に横たわる、赤い衣の少女・・・
うち寄せるは、薄く血を溶かしたかの様な波・・・・
何処までも広がる薄紅色の海・・・・
少年の呟き・・・・
「全て、これで終わりなのか・・・・」
「僕のせいなのか・・・・・」
「僕が逃げたから・・・・・・・・」
いらえる者なく、ただ呟きは風に消える・・・・
（もし、取り戻すことが出来るなら・・・・・）
（それ以上の苦しみを・・・・）
（煉獄を・・・・・）
（往けるのだろうか・・・・・・・）
（守るために・・・・・）
「守る・・・・・・」
「あやなみ・・・・」
「アスカ・・・・」
呟きとともに少年は消える・・・・
まるで最初から誰もいなかったかの様に・・・
残るはただ風の音・・・・・
カサカサカサ・・・・・
２０００年０９月１３日 南極大陸
（ここは・・・・・）
（あの光は・・・・・・・）
（僕は一体・・・・・）
映るのは光の羽を広げた大いなる巨人・・・・・
十四枚の輝ける翼を広げて・・・・
まるで死して後より世界を創りし始源の巨神の如く・・・・・
天地を貫く、光の柱・・・・・
そして、破壊の神シヴァより生みだされたかの如くの、破壊の烈風・・・・
いかなる、自然や人の創りし兵器をも凌駕するルドラ・・・・
全てが凍り付いた死の世界を、ただ一人歩く男
血に染まった顔、その足取りは重く、されど、その瞳には不羈の輝き・・・・
神に挑みし者が浮かべし顔・・・・
その腕には、何者にも代えられぬ宝の様に、抱かれし一人の娘・・・・
辿り着きし男の前には、一つの円柱。
最後に残された救命ポッド・・・・
男は娘を横たえる。
娘は眼を開き、男を見あげる。
かぼそい呟き・・・・
「おとうさん・・・・」
そして、運命は男に追いつく、爆風と衝撃波が人が創りし全てを、自然の創りし大地を
粉々に砕き運び去る・・・・
破滅を免れしは、たった一つの救命ポッド・・・・・
人がこの地に在りし最後の証・・・・
（喚んでいるのか・・・・・・）
（求めているのか・・・・）
（何を？・・・）
（失ったものを・・・・・）
（僕を・・・・・）
（僕・・・・・・）
（僕は・・・僕は誰だ・・・・・）
（ああ、光が見える・・・・・）
２００１年０６月０６日 日本・病院にて
「おぎゃあ、おぎゃあ・・・・」
強く激しい赤子の泣き声・・・・・
「こんな時代に生まれて・・・・・・」
「この子は・・・・」
赤子を見つめる母の微笑み、まるで聖母の如くの慈愛の微笑み
短く切り揃えられた茶色の髪
脇に立つのは、一人の男。
まるで、カットされてたダイヤのような硬質な印象を与える姿・・・
されど瞳に浮かぶのは、妻と我が子を見る慈愛の光・・・・
まだ、娘の面影を残す母親が話しかける。
「本当に可愛い人ね貴方は、嬉しい時には嬉しそうな顔をしないと私以外の誰も判からないわよ。」
男は答える。微かに赤みを増した頬で・・・
「ユイがわかってくれれば十分だ・・・・」
母親は答える。
「ダメよ。貴方、この子に恋人が出来なくなったらどうするの。」
男は答える。木霊をかえすが如くに・・・
「私とユイの息子だ。大丈夫だ。問題ない。」
母親は少し機嫌を損ねたかの様に話す。
「全く貴方ったら、だから人から誤解されるのよ。」
「男の子だったから、以前から決めていた様に名前はシンジね。」
「ほら、お父さんに抱いて貰いなさい。」
差し出された母の手から赤子を受け取る男・・・・
まるで、壊れ物を扱う様に抱き上げる・・・・
その顔には、妻たる女性にしか判らぬほどの薄い微笑み。
２００５年 人工進化研究所ゲヒルン
子供達の笑い声
「あはははは・・・・・・・」
戯れる、子供達・・・
「シンジとアスカは、本当に仲がいいわね。」
「大きくなったら、アスカをうちの娘に欲しいわね。」
栗色の髪をショートカットに、まとめた男の子の母親が話す。
その顔は、いまだ少女の面影を残し、瞳の奥には知性の輝き。
脇に立つ男の声。
「ずいぶん気が早いな。まあ、キョウコに話しておこう。」
「ところで準備は出来たか。実験は１４時からだが。」
面白そうな色を浮かべた母親のこたえ・・・・
「あらあら、気が早いのは私でなくて貴方の方の様ね。」
「それに、準備はとうに出来てるわ。」
「それじゃあ、シンジ、アスカと仲良くね。」
「いい子にして待っているのよ。」
立ち去る男女・・・・
遠ざかる二つの靴音・・・
コツコツコツ・・・・・
突然、響き渡る警報・・・・
「非常事態です。」
慌ただしく、走り回る人々・・・
「エントリープラグ強制排出・・」
「ダメです。信号受け付けません・・・」
「内部電源が切れるまで、あと１８７秒・・・・」
「シンクロ率４００％越えました・・・計測不能」
睨み付ける瞳・・・・硬質の鋼の輝きを放つ・・・・
握りしめた手より滴る血、自らの手を傷つける爪の痛みにすら気づかぬ男。
誰にも聞こえない呟き・・・・
「ユイ、必ず助ける・・・・たとえ、どんな手段をとっても・・・・」
火の付いた様に泣き出す子供・・・・
「えーん、えーん、おかあさーん。」
（おかあさん・・・・・・どこ・・・・・）
（おかあさんが、融けていく・・・・・・）
（どこにいるの・・・・）
（おかあさん・・・・・）
（そこにいるの・・・・）
眼に映るのは、紫の巨人・・・・・・
心に浮かぶのは打ちよせる薄紅色の波、死に絶えた巨人・・・・
（ぼくは・・・・）
２００６年０６月０６日 日本
誰もいない部屋に響く男の声・・・・
「行方不明だと・・・」
「なぜ、報告に３日もかかった」
「５才の子供が、勝手にいなくなるはずは無い。」
風の音・・・・・
カサカサカサ・・・・・
机の上には一枚の紙・・・・
男は机の上の紙を取り上げて呟く・・・・
「なんだ、これは・・・・」
それは、たどたどしい筆記で書かれた一枚の手紙。
「おとうさんぼくはいきますいかなくちゃいけないんです・・・
いつかおかあさんにあいにかえってきます・・・
またおてがみかきます しんじ」
電話に向かい男は話す。
「私だ、状況の報告書を３時間以内に提出。」
「捜索は打ち切る。」
「それと、諜報部の責任者を出頭させたまえ・・・・」
ガチャッ・・・。
男の顔にはかつて浮かべられた微笑みはなく。
濃く赤いグラスの奥に在るのは、凍てついた氷の瞳・・・・
ただ残るは、沈黙のみ・・・・・
プロローグ Ver.1.04
【独り言】
リターンものです。
いきなり、主人公が居なくなってしまいました。
でも、次は出て来ます。
次回はとりあえず、アスカ様〜踏んで、蹴って、叩いて・・・・って予定です。
悪い友人に唆されてついその気になって書き始めたはいいもののいきなり長編・・・
つくづくの自分の正気を疑いますね・・・・
本当に続くのでしょうか？ by Yanagan
次回予告・・・
高らかに鳴り響く、ウエディングベル・・・・
バージンロードを歩く新郎と新婦達（？）・・・・
牧師の前で永遠の誓いが交わされる・・・
牧師・冬月「では、誓いのキスを・・・」
近づく、二人・・・交わされる接吻・・・・
アスカ「ついにこの日が来たのね、愛してるわ！」
シンジ「僕も愛してるよ、ア・・・・」
アスカ「ちょっと、シンジ！！一体誰とキスしてるのよ・・・」
蒼銀の髪の少女「碇君と一つになる・・・それは、素敵なこと・・・」
アスカ「あんた、ばかぁ・・・ちゃんと本編を読んだの・・・」
「シンジと私は両親公認でお付き合いしてるのよ・・・」
蒼銀の髪の少女「転がっているだけの木偶は用済み・・・・くすくす・・・」
アスカ「全く登場させて貰えない女が、何言っているのよ！！！」
蒼銀の髪の少女「貴方が戻ってくるまでに、私は碇君と一つになるの・・・」
「だから貴方は次回で用済み・・・・くすくす・・・」
アスカ「なんですって！！！」
Ｃ．Ｅ．中佐「女性、それは男にとって永遠の謎・・・」
アスカ「あんた、ばかぁ！！！それよりシンジはどこ行ったのよ・・・」
蒼銀の髪の少女「判らないのね・・・やっぱり、赤毛猿は用済み・・・くすくす・・」
ドッコ〜ン・・・破壊音と共に倒壊する教会・・・・そして暗転・・・
謎の女性「今回、一番格好良かったのはやっぱりお父さんよね・・・」
「次回もサービス、サービス・・・」
次回、第一話「邂逅」
そして少年と少女は再び出会う・・・
YOKO 「シリアスな話かと思えば、踏んで、蹴って・・・」
シンちゃん「あ、YOKO、勝手にコメント書いてるんじゃないにょ。
ボクが書いていいってYanaganさんも言ったにょ。
大女優の道の一歩だにょ。」
YOKO 「だ、だけど、ここは管理者として・・・」
ムカッ ムカツキ指数１２０％突破
シンちゃん「ボクの仕事を邪魔するなんて、YOKOの癖に生意気だにょ。
目からビーム！」
ジュ・・・ぷすぷす
YOKO 「・・・無、無念」
シンちゃん「これで悪は滅びたにょ。
大女優の道も明るいにょ。Yanaganさん、応援するにょ。
次は、アスカちゃん登場で楽しみだにょ。」