「番組をごらんの皆さん、お待たせしました。アリーナバトルの時間です。
　狭い地形も苦にせず乱射されるロケット弾を華麗に回避して、デス・リーダーさんを
　撃破したエルシィです。」

　開始前にゴネていたのが恥ずかしいのかちょっと控えめな態度である。

「まぁ、移動速度の遅いタンク型との対戦だったからな・・・ある意味、エルシィの
　得意なパターンだったといえるだろう。
　だが、今回の対戦相手であるスパイクの駆るバンシーウェイルで、単武装ＡＣは
　お終いだ。」

「３０位のエカノーミヤＢさんからは、装備可能な場所は基本的に埋めているＡＣ
　ばかりなのよね。ドキドキしちゃうわ。」

「今回のバンシーウェイルだって強敵だぞ？　なんたって、エルシィの大嫌いな
　ＡＷ−ＭＧ２５／２を装備しているタンク型ＡＣだ。
　接近攻撃するだけで、雨のような射撃を食らうのは間違いない。」

「はぁ・・・、肩武装のミサイル攻撃だけで撃破できればいいのに。」

「いくらなんでもタンク型を小型ミサイルだけで撃破するのは無理さ。
　増設弾装を付けるとか、両肩に装備するなら別だが。」

「それじゃレーダーが装備できないもん。頭部レーダーは範囲が狭いから
　好きじゃないの。」

「なら、射撃戦を上手くやるんだな。今度こそ。」

「・・・もぅ、意地悪ぅ。」

ＲＡＮＫ　３１ ＰＩＬＯＴ：スパイク Ａ．Ｃ．；バンシーウェイル

ＲＡＮＫ　３２ ＰＩＬＯＴ：エルシィ　　　　 Ａ．Ｃ．ジェーン�U

車両型の機体に機銃のみと、 パーツの構成はシンプル。現在 の順位は操縦者の腕前によると ころが大きい。

一般公募で選ばれた異色の レイブン。収支状態が凹むまで 戦い続けると公約しており、現在 賭けの対象としても注目度Ｎｏ１。

	スパイク		エルシィ
ヘッド	ＨＤ−ＲＥＤＥＹＥ		ＨＤ−０１−ＳＲＶＴ
コア	ＸＣＬ−０１		ＸＣＡ−００
アーム	ＡＷ−ＭＧ２５／２		ＡＮ−２０１
レッグ	ＬＣ−ＭＯＳ１８		ＬＮ−１００１B
ブースター	なし		Ｂ−ＶＲ−３３
ジェネレーター	ＧＲＤ−ＲＸ６		ＧＢＧ−ＸＲ
ＦＣＳ	ＴＲＹＸ−ＱＵＡＤ		ＦＢＭＢ−１８Ｘ
右腕武器	なし		ＷＧ−RＦＭ１１８
左腕武器	なし		ＬＳ−２００Ｇ
右肩武器	なし		ＲＺＴ−３３３
左肩武器	なし		ＷＭ−Ｓ６０／６
備考	なし		ＳＰ−ＪＡＭ ＳＰ−ＡＸＬ ＳＰ−Ｓ／ＳＣＲ ＳＰ−Ｅ／ＳＣＲ




	スパイク		エルシィ
ＥＰ	３０１２／６０００		５１５２／８２０７
ＬＥＧＳ　ＷＰ	２５２８／８０００		４６２６／４６３０
ＣＯＲＥ　ＷＰ	１１９３／２４５０		１７４７／２７７０
攻撃力	１５８		２１２０
防御力	２８３１		３６２４
安定性	４２４５		１３２０
機動性能	２９６０		５８４０
移動性能	１０５０		２７２０
旋回性能	９１０		１１２０
上昇性能	１０００		２０００
レーダー性能	１５９２		２１１５
レーダー有効範囲	５９８		１１７０
ＦＣＳの機能性能	９９４		９４５
総合ポイント	１１７８６		１５０１９
評価	ＯＫ		ＦＩＮＥ
ＡＰ	７９６０		８５４４
ＷＥＩＧＨＴ	６７１０		６９３１
ＰＲＩＣＥ	２９０４００		６７２３００


「レーダー、高性能ＦＣＳ装備のタンク型ＡＣってことで、射撃戦だけを
　見るならそれなりに強そう・・・ね？」

「なんだか余裕があるように見えるが気のせいかい？」

「タンク型でしょ？　遠距離から攻撃をするように注意すれば、
　多分、それほど苦労しないと思うから。
　・・・ＡＰは半分くらい削られるとは思うけど。」

「これで、鍾乳洞だったら最悪だな。」

「・・・どこになるのかなぁ？」

マップはランダムに選出され・・・宇宙ドームマップとなった。



宇宙空間に存在する巨大なドーム施設。 なにもかも巨大な作りで頭部レーダーでは 相手を見失うこともしばしば。壁面を支える 梁はＡＣが衝突するほど出っ張っており、 予想以上に機動運動を阻害する。


「らっき〜♪　これなら距離を置いて一方的なミサイル攻撃が
　できるし、回避も射撃も邪魔されないわ。」

「相手も同じなんだが・・・。」

「機動力に勝るジェーン�Uのほうが有利なのは間違いないわ。
　さーて、がんばっていこー。」

「ふみゅぅ〜、今回も蜂の巣ぅ。」

　いつものように背後でリプレイ映像が表示されている。
　スタート後、距離を詰めてスパイクからの射撃を回避しつつ
　ミサイル攻撃を行うが、いつものように回避はあまり成功せず、
　どんどんと被弾してしまう。

　エルシィ　ＡＰ４２５２　ライフル２００／２００　ミサイル　０／６０
　スパイク　ＡＰ６０７４　マシンガン　０／４００

「毎度のことだが、随分、派手に被弾し続けたもんだ。」

「だって、だって、だって、避けにくいんだもん。」

「スパイクの武装が１つしかなくて良かったな。」

「・・・うん。」

　その後、少しだけライフルで攻撃するが、スパイク側からの
　反撃が無いことに気が付いたエルシィ。
　射撃を止めて、無造作に接近していく。

　エルシィ　ＡＰ４２５２　ライフル１９２／２００　ミサイル　０／６０
　スパイク　ＡＰ５５８８　マシンガン　０／４００

「相手が弾切れになっているって思ったら、ライフルで撃つのも
　馬鹿らしくなっちゃったの。ちょっと斬撃の練習もしたかったし。」

「なんか、無力な下僕を虐める女王様に見えたらしいぞ」

「ライフル攻撃しても、そー言われた気がするけど・・・」

　エルシィは這うような速度でしか移動できないスパイクを
　左腕のブレードで延々と斬り続けてＡＰを削り切った。

　エルシィ　ＡＰ４２５２　ライフル１９２／２００　ミサイル　０／６０
　スパイク　ＡＰ　　　０　マシンガン　０／４００

「ま、勝ちは勝ちだな。４２５２／８５４４だから、やっぱり、
　前回同様、ほとんど避けることもできずに、削られ続けて
　しまったというのが問題点か。」

「機動回避が問題ってことでしょ。これで、軽量でＡＷ−ＭＧ２５／２を
　装備しているＡＣ、しかも肩武装も満載、なんていうのがいたら、
　かなり辛そう・・・。」

「２９位のフィアークラウンなんかその条件にぴったりだ。
　腕のＡＷ−ＭＧ２５／２に、右肩のＷＭ−Ｓ４０／２、左肩の
　ＷＣ−ＸＰ４０００を装備している。
　今回みたいな戦い方をしてたら、間違いなくＡＰを削られ切るぞ？」

「前途多難なのね。」

「今回の賞金は３００００だから、残金合計は１８２１００。
　アリーナ以外で使えないのが残念な金額だな。」

「その代わり、初期のＡＣはただで貰っているし、メンテナンス費用も
　売却時の手数料なんかもただなんだから、仕方ないと思うよ。
　ちゃんと給料ももらっちゃっているんだし。」

「おっと、忘れるところだった。スポンサーからのプレゼントだ。
　ＨＤ−Ｇ７８０っていうヘッドパーツだ。」

「ふうーん・・・なにこれ、コンピュータのオツムが一番低い奴じゃない。」

「確かエルシィって・・・」

「そ。私、馬鹿は嫌い！」

　未だに高機能コンピュータの補助がないとＡＣを動かすのに苦労するところが
　あるエルシィである。

「エネルギー防御はいい品物なんだが」

「馬鹿は嫌なの！」

「売却か。スポンサーが泣いているぞ。パーツをぜんぜん使って
　くれないって。」

「だったら、もっと使えるパーツをくれればいいのに。私の好みくらい
　インタビューとかでも答えているんだから、すぐわかるでしょ？」

「確かに。ま、協賛企業が自社製品をプレゼントしてくれるわけだ。
　あまり文句を言っても仕方がない。」

「はい、はい。」

「売却すると８２５００だから、残金合計は２６４６００。
　やっぱ、貯金かい？」

「そうして。」

次回予告

遂に単武装ＡＣを全て倒したエルシィ。
これまでの経験で、ある程度、自信もでてきたところである。

だが、エルシィの前に立ちはだかったエカノーミヤＢは常識を
超えた機動力と、的確で容赦無い射撃でエルシィを苦しめる。

次回「第２０話エカノーミヤＢの駆るピーク２」
こうご期待♪