「番組をごらんの皆さん、お待たせしました。アリーナバトルの時間です。
　ＡＣ同士の相性、ＭＡＰの特性もあって、ほとんど反撃を被弾することも
　なく勝利できました。連戦連勝中のエルシィです。」

　落ち着いた表情のエルシィ。やはり定番パターンでの勝利が定着
　してきたことで、圧倒的勝利をしても以前のようにはしゃぐことはない。

「ねぇ、アルフ？さっきのセリフ、前にも言った気がするのは気のせい？」

「よく覚えていたな。最近、定番の勝利パターンが揺るがないせいで、
　コメントを付けるのが難しくてな。使いまわしをしたのさ。」

「手抜きをしていると、視聴者に呆れられるわよ？」

「ＯＫ。なら、エルシィも少しは別パターンで勝てるように努力してみてくれ。
　同じパターンの勝利じゃ、コメントのバリエーションにも限りがある。」

「はーい。今回の対戦相手は、ロケット弾を乱射してＭＡＰ中を
　爆炎で埋め尽くす豪快な戦闘パターンのデス・リーダーさんよね。」

「あぁ。大量のロケット弾をマシンガンのように乱射してくる。
　けっこう、人気があるんだ。素人にもわかりやすい戦い方だからな。」

「バズーカよりは回避しやすいはずよね？」

「ＦＣＳと連動しない分、回避しやすいはずだ。ま、相手のミスを期待するような
　ことはしないほうがいい。全ての攻撃が命中コースで迫ってくる、くらいの
　気でいたほうが被弾率が低くなる。」

「不断の機動回避を忘れずに、ってことでしょ。」

「そういうことさ。」

ＲＡＮＫ　３２ ＰＩＬＯＴ：デス・リーダー Ａ．Ｃ．；グリムリーパー

ＲＡＮＫ　３３ ＰＩＬＯＴ：エルシィ　　　　 Ａ．Ｃ．ジェーン�U

車両型の背部に強力な武装を 装備している。資金不足から両 腕部に武器が装備できない欠陥 機体。

一般公募で選ばれた異色の レイブン。収支状態が凹むまで 戦い続けると公約しており、現在 賭けの対象としても注目度Ｎｏ１。

	デス・リーダー		エルシィ
ヘッド	ＨＤ−Ｘ１４８７		ＨＤ−０１−ＳＲＶＴ
コア	ＸＣＬ−０１		ＸＣＡ−００
アーム	ＡＮ−１０１		ＡＮ−２０１
レッグ	ＬＣ−ＵＫ１６０		ＬＮ−１００１B
ブースター	なし		Ｂ−ＶＲ−３３
ジェネレーター	ＧＲＤ−ＲＸ６		ＧＢＧ−ＸＲ
ＦＣＳ	ＣＯＭＤＥＸ−Ｃ７		ＦＢＭＢ−１８Ｘ
右腕武器	なし		ＷＧ−RＦＭ１１８
左腕武器	なし		ＬＳ−２００Ｇ
右肩武器	なし		ＲＺＴ−３３３
左肩武器	ＷＲ−Ｓ１００		ＷＭ−Ｓ６０／６
備考	なし		ＳＰ−ＪＡＭ ＳＰ−ＡＸＬ ＳＰ−Ｓ／ＳＣＲ ＳＰ−Ｅ／ＳＣＲ




	デス・リーダー		エルシィ
ＥＰ	３９４９／６０００		５１５２／８２０７
ＬＥＧＳ　ＷＰ	３４２５／６９５０		４６２６／４６３０
ＣＯＲＥ　ＷＰ	１２２８／２４５０		１７４７／２７７０
攻撃力	１３１０		２１２０
防御力	３６０６		３６２４
安定性	３７１０		１３２０
機動性能	３３６０		５８４０
移動性能	１３８０		２７２０
旋回性能	９８０		１１２０
上昇性能	１０００		２０００
レーダー性能	５３８		２１１５
レーダー有効範囲	０		１１７０
ＦＣＳの機能性能	５３８		９４５
総合ポイント	１２５２４		１５０１９
評価	ＯＫ		ＦＩＮＥ
ＡＰ	８８４７		８５４４
ＷＥＩＧＨＴ	７２８５		６９３１
ＰＲＩＣＥ	２２２８００		６７２３００


「レーダーなし、ジェネレータも弱出力、ＦＣＳもあんまりいいものじゃない。
　で、ＦＣＳと連動しないロケット弾だけが装備のタンク型でしょぉ？
　攻撃を当ててくださいって感じよね。」

「タンク型で前に酷い目にあったこと、覚えているかい？」

「タンク型は防御力が高いっていうんでしょ？　覚えてるわ。
　大丈夫。遠距離を維持して戦えば、ロケット弾に当たることは
　まずないはずよ。」

「こっちに都合のいいマップならいいんだが、最近、エルシィに
　有利なマップが多かったからな。あまり期待しないほうが
　いいだろう。」

「ランダム決定なんだから、ずっと有利なマップになる可能性だって
　あるのよ。さ〜て、どんなマップになるのかな？」

マップはランダムに選出され・・・鍾乳洞マップとなった。



レッグパーツのジャンプだけで天井に衝突する ほど上下機動が制限されるＭＡＰ。夜間雪原ほど ではないが起伏もあり、所々にある柱が視界を 遮るなど、狭いながらも多彩な戦術を駆使する 余地はある。水が溜まっている場所は起伏がなく、 移動時に水飛沫をあげるため注意が必要である。


「ロケット弾をばら撒く相手に、平面回避だけしか許されないなんて、
　主催者は、私に恨みでもあるっていうの！！！！！」

「ＭＡＰはランダム決定だ。意図的に選択されているわけじゃない。」

「だって、だって、だってぇ」

「ロックオンしない分、バズーカよりも回避しやすい。ノー・バディ戦より
　楽だと考えることだって可能だろ？　ま、上下機動はあまりやらない
　ほうがいい。天井が低いからな。」

「むぅ」

「定番のライフル射撃で削って、ラストはブレード攻撃２回を
　決めて勝利♪」

　いつものようにリプレイ映像が背後に映っている。
　開始直後から距離を置いて、エルシィはライフル射撃を続ける。
　デス・リーダーもロケット弾を果敢に撃ち続けるが、高速移動を
　続けるエルシィは難なくそれを回避していく。

「ここで、不注意から１発、更に天井に衝突して落下したところを
　１発、ロケット弾を被弾したんだよな。」

「そーなの。あんまり簡単に回避できてたせいでちょっと油断して
　被弾しちゃったの。次の1発はいいタイミングで撃たれちゃった
　から、仕方ないと思うわ。」

　エルシィ　　　　ＡＰ７９１８　ライフル　６２／２００　ミサイル６０／６０
　デス・リーダー　ＡＰ　５３３　ロケット　４９／１００

「で、このあと、ブレード攻撃に切り換えて、２回、斬撃をＨＩＴして
　勝利♪　無理に追い掛け回したんじゃなくって、ちゃんと
　斬りたい時に斬って勝ったのよ。偉いでしょ？」

「まぁ、遅いタンク型だったからな。移動速度がホバータンクより遅い分、
　ノー・バディ戦よりも上手くできたのかもしれん。
　結局、合計３発のロケット弾を被弾したが、１発目は不注意、
　２発目は機動回避中の癖が悪影響を与えたってところ、
　３発目は斬り合い距離だったせいで仕方がないな。」

　デス・リーダーのＡＰが少ないことを確認したエルシィは、
　ジェーン�UのＡＰが８０００近く残っていることに気を良くして、
　斬撃を敢行、途中、接近時に１発、被弾してしまったが、
　労なく接近し、ブレード攻撃を２連続でＨＩＴさせた。

　エルシィ　　　　ＡＰ７６０５　ライフル　６２／２００　ミサイル６０／６０
　デス・リーダー　ＡＰ　　０　ロケット　４４／１００

「ところで、機動回避の癖って？」

「ある程度、水平回避して、ジェネレータ出力が回復すると、
　空中に飛ぼうとするのを自覚してるか？」

「あ、あの天井にぶつかって動きが止まった時のことね？」

「そうだ。今回のマップは天井が低いんだから、飛ぼうとしても
　意味がないんだ、っていうのは戦闘前ミーティングでも
　言ったと思うんだが」

「ふぇぇぇぇ。反省してます」

「うむ、素直でよろしい。相手の射程外から一方的に攻撃する
　というのはなかなかよかったぞ。やはり、なるべく遠距離で
　相手を叩くというのは戦闘の基本だからな。」

「はーい」

「ところで、途中から斬撃に切り替えたのは彼我のＡＰ差だけが
　理由なのか？」

「ちょっと試してみたかったの」

「・・・あぁ、そーいえばテストモードでひたすらブレード攻撃の
　練習をしてたっけな。」

「ね、ね？練習の成果、あったでしょ？」

「まあな。まだまだ、改良の余地は多いが、現状ならまぁ、
　及第点はあげてもいいぞ」

「ご褒美♪」

「しょーがない。点心セットを奢ってあげよう」

「中華料理の点心って美味しいのよね♪」

「賞金は２８０００、残金は１５２１００。貯金かい？」

「うん」

次回予告

　高機動を続けることで飛来するロケット弾をほとんど回避
　することができたエルシィ。
　だが、飛翔速度が遅いことで回避できていた、と自覚させられる。

　再び襲い掛かるＡＷ−ＭＧ２５／２の乱射攻撃。
　無数の弾丸が機体を蜂の巣にする。

次回　第１９話「スパイクの駆るバンシーウェイル」
こうご期待♪