「番組をごらんの皆さん、お待たせしました。アリーナバトルの時間です。
　４０位、３９位とほぼ無傷の勝利をしたことで、実力十分との評価が
　増えてきた、エルシィです。」

　ミサイル攻撃でＡＰを削り、ライフルで止めを刺すパターンを確立できた
　こともあって余裕の笑みを浮かべているエルシィ。

「機体＋ＭＡＰの相性がかなり有利ではあったが、ま、がんばったことを
　認めてもらえるのは嬉しいことだな。」

　エルシィたちの前に並べられている雑誌の数々。
　確かに、エルシィの評価はどの雑誌でも軒並み高めになってきている。
　・・・のだが・・・

「残念なのは、”絵になるシーン”が少ないって言われていること。」

「接近戦をせずに、遮蔽物の陰から一方的なミサイル攻撃をしているんじゃ、
　あんまりビジュアル的に面白くないんだろう。
　それにライフル攻撃が始まったら、始まったで一方的な攻撃が続くだけ
　だから、やっぱり見ていても緊迫したシーンにはならんわけだ。」

　エルシィのジェーン�Tだけが一方的に射撃を続けるシーンだけでは
　ギャラリーとしては面白くないというのもわからない話ではない。

「だって、だってぇ、余裕のある戦いをしたら、どーしてもそうなっちゃうでしょ？
　苦戦すると下手だって言われて、上手く戦うと見ていてつまらない・・・なんて
　わがままだと思うの。」

　腰に手を当てて、「機嫌が悪いんだ、ぞ」とポーズをつけるエルシィ。

「ま、３８位のデイタイムリードはそれなりに強敵だ。多分、視聴者好みの
　シーンも多少は得られるんじゃないか？」

「？　動きの遅いタンク型でしょぉ。同じパターンで勝てるんじゃない？」

「だと、いいな。（フッ）」

	デイタイムリード		エルシィ
ヘッド	ＨＤ−ＧＲＹ−ＮＸ		ＨＤ−０１−ＳＲＶＴ
コア	ＸＣＨ−０１		ＸＣＡ−００
アーム	ＡＮ−３００１		ＡＮ−２０１
レッグ	ＬＣ−ＵＫ１６０		ＬＮ−１００１
ブースター	なし		Ｂ−Ｔ００１
ジェネレーター	ＧＲＤ−ＲＸ６		ＧＢＧ−１００００
ＦＣＳ	ＴＲＹＸ−ＱＵＡＤ		ＦＢＭＢ−１８Ｘ
右腕武器	ＷＧ−ＨＧ５１２		ＷＧ−RＦＭ１１８
左腕武器	なし		ＬＳ−２００１
右肩武器	なし		ＲＺＴ−３３３
左肩武器	なし		ＷＭ−Ｓ６０／６
備考	なし		ＳＰ−ＡＸＬ ＳＰ−Ｅ／ＳＣＲ

	デイタイムリード		エルシィ
ＥＰ	３５０１／６０００		４９３５／９９８８
ＬＥＧＳ　ＷＰ	３８５６／６９５０		４４０８／４４７０
ＣＯＲＥ　ＷＰ	１９３６／３６００		１６８９／２７７０
攻撃力	４３７		１９０８
防御力	３７２７		３３３８
安定性	３７１０		１０１８
機動性能	３３６０		５９２０
移動性能	１３８０		２７７０
旋回性能	９８０		１１５０
上昇性能	１０００		２０００
レーダー性能	９９４		２１１５
レーダー有効範囲	０		１１７０
ＦＣＳの機能性能	９９４		９４５
総合ポイント	１２２２８		１４２９９
評価	ＯＫ		ＯＫ
ＡＰ	９７７６		８３９６
ＷＥＩＧＨＴ	７７１６		６３２４
ＰＲＩＣＥ	２６８７００		５５２１００

「またまたレーダー無しで機動力もなし。防御力は高いけど、
　攻撃力は並って感じ。武器も射程が短いショットガンだし、
　苦戦しそうもないけど。」

「鍾乳洞マップなら大変・・・だろ。」

「遠距離戦が難しくって、ミサイルが使えないんでしょ。それは
　確かに不利ね。他のＭＡＰになって欲しいところ。
　どこになるのかな？」

「ランダム決定だからな・・・どこになるかは運頼みってヤツだ。」

マップはランダムに選出され・・・水上基地マップとなった。

中央とＭＡＰ４隅になだらかな島が 点在する海上基地跡。車高の低い ４脚、タンク型は海面下に発射口が 位置すると攻撃ができないため、 想像以上に苦戦する。

「始めてのマップね。開けた場所でよかったわ。
　ミサイル撃ち放題ってのがいい感じ。」

「タンク、４脚にとっては辛いマップだな。説明文にあるように
　発射した瞬間に、水面に着弾してしまうことが頻繁に起きる。」

「じゃ、デイタイムリードさんは不利ってこと？」

「そういうことだな。」

「タンク型って遅いだけじゃなかったのね・・・」

　いつものようにリプレイ映像が背後に表示されている。
　軽快な動きで間合いを詰めていくエルシィに対して、スタート地点の
　あたりをゆっくりとした（タンク型の標準移動ともいう）動きで
　徘徊するデイタイムリード。

「遮蔽物なしの水上に留まってるなんて不思議・・・って
　この時は思ったの。」

「だろうな。」

　一向に近寄ってこないまま徘徊するデイタイムリードに対して
　最遠距離から小型ミサイルを全弾ロックして発射し始めるエルシィ。
　もともと機動力のないタンク型、しかも迎撃性能の低い重装コアと
　いう組み合わせのデイタイムリードは、当然だが回避できず、
　かなりのミサイルを被弾した。（エルシィ側の映像から判断）

「もー面白いように命中したのよねー。こんなに当たっちゃって
　いーのかしら？　なんてことまで考えてたの・・・全弾撃ちきって
　相手のＡＰを確認するまで。」

「だから言っただろ。それなりに強敵だって。（笑）」

　エルシィ　　　　　　ＡＰ８３９６　ライフル　２００／２００　ミサイル　０／６０
　デイタイムリード　ＡＰ５１２６　ショットガン　１２０／１２０

　１発あたり１５５のダメージを与える小型ミサイル・・・。
　だから実は半分の３０発くらいしか命中していないのである。
　これはデイタイムリードがタンク型のため車高が低いことに
　起因することはほぼ間違いない。
　では、なぜエルシィは沢山、ＨＩＴしていると誤解しているのか？
　それは小型ミサイルが着弾すると炎上することに起因している。
　エルシィ側の映像を見ると小型ミサイルがデイタイムリードに
　対して降り注ぐとデイタイムリードが炎上しているように見える・・・。
　・・・だが、実際にはデイタイムリードの頭上を越えて水面にＨＩＴ
　したものが半分ちかくあったわけである。
　車体の半分近くが水面下に没するＭＡＰならではの現象とも
　言えるだろう。

　　＜おまけ＞
　　　この収録から数日後、脅威的な命中率、中型ミサイル並の火力と
　　　いうことで人気の高いＷＭ−ＳＭＳＳ２４を発売メーカーが売りこみに来た。

　　　「アルフ・・・このミサイルって使えると思う？」
　　　「・・・まぁ、人それぞれだと思うが、好んで使う奴は多いな。」
　　　「ふーん。じゃ、的になるＡＣは、デイタイムリードさんの愛機
　　　　サン・バーンと同じチューニングにして、試射してみましょ。」
　　　　
　　　　ジェーン�Tの肩装備を変更し、重量オーバー回避のために
　　　　ブレードを外すと、エルシィはデイタイムリード戦と同じように
　　　　できるかぎり最遠距離でロックオンしてＳＭＳＳ２４を発射する。

　　　　命中率の高いミサイル・・・それに対してターゲットは動きの遅いタンク型。
　　　　メーカーの関係者でなくても、誰もが命中し続けるものと思ったに違いない。
　　　　・・・が結果は予想とは大きく異なるものだった。
　　　　遅い動きで徘徊するサン・バーンに対して、なぜかミサイルが当たらない。
　　　　全弾撃ちきった時点で、残ＡＰは５６００以上もあった。

　　　「ＷＭ−Ｓ６０／６より使えない武器ね。」

　　　　エルシィがそう宣言したのもまぁ、仕方がない。
　　　　レイヴンは結果で判断するのだから。それに値段もＷＭ−Ｓ６０／６が
　　　　３８１００Ｃなのに、ＷＭ−ＳＭＳＳ２４は１１８３００Ｃ。
　　　　３倍も高いのに効果が悪いのではお話にならない・・・というわけだ。

　　　「エルシィさん、お願いです。もう一度・・・」

　　　　必死に食い下がろうとするメーカーの人。なにせ注目度上昇中の
　　　　エルシィが使う武器となれば、宣伝性は十分である。
　　　　だが、彼には運がなかった。

　　　「これから私、番組の収録にいくの。ごめんなさいね。」

　　　　最低限の礼だけ済ませると、その場から立ち去るエルシィ。

　　　　かくして、エルシィの中から肩武装としてＷＭ−ＳＭＳＳ２４は
　　　　選択対象から外れたのである・・・。
　　　　　　※ＡＣＰＰアリーナ挑戦時の話であることに注意。

　　　　メーカーの人は泣いていたらしい。（笑）
　　　　　　※ちなみに後日、同じ条件でアルフがテストを行ったところ、
　　　　　　　　平均命中率５０％　ダメージ７０００程度はでたそうである。
　　　　　　　　当然だが、このテストは極秘裏に行われたため、エルシィが
　　　　　　　　その効果を知ることはなかった。（＾＾；）

「どーして全弾撃ちきった時点でＡＰが５０００以上あるのよぉ。（T_T）」

「・・・タンク型の動きが遅い意味って考えたことがあるかい。」

「重いからでしょ。」

「だから、なんで重いんだい？」

「・・・装甲が厚いから。」

「わかってるじゃないか。厚い装甲で相手の攻撃を凌ぐというのは、
　軽快な動きで相手の攻撃を回避するのと同じように効果的な戦術と
　いうわけ、さ。」

　エルシィは武装をライフルに切り換えると、軽快な空中機動を
　行いながら、容赦なくライフル弾を撃ちこんでいく。

「もー、相手の動きが止まっているみたいだったから、ほとんど
　命中したのよね。」

「それで油断したんだろ？」

「そーなの。」

　ほとんど被弾することなく一方的に攻撃を続けたエルシィだったが、
　いつまでも空中に滞在できるわけもなく、水上に着地した。
　・・・が場所が悪かった。注意力散漫だったのだろう。
　よりによって、デイタイムリードの前方に着地したのだから。

　ドン・ドン・ドン・ドン

　　『ちょっとぉ、なんで動けないの・・・』

　リプレイ映像から、エルシィの呟きが聞こえる。
　デイタイムリードはその連射力を生かして、エルシィに対してショットガンを
　どんどん撃ってくる。射撃率１００％ってところである。

「被弾するたびに機体が揺れて、全然動けなかったの。
　ショットガンの連射って実は脅威的かも。」

「ショットガンで動きを止めてブレードで止めを刺すようなレイヴンも
　いるくらいだから効果的といえるだろう。ま、今回は運がよかったな。」

　アルフの言うようにエルシィは運がよかった。
　たまたま、両機の間に鉄柱が存在したため、一瞬、サン・バーンの
　連射が止まったのだ。

　そうなれば、エルシィの飛翔は妨げられない。
　先ほどよりも慎重に距離・位置を考えて空中機動を行うエルシィを
　サン・バーンは再び捕らえるができない。
　短い射程、遅い旋回速度が仇となったのである。
　そして、降り注ぐライフル弾がサン・バーンの重装甲を削りきった。

　エルシィ　　　　　　AP５７８０　ライフル　１０８／２００　ミサイル　０／６０
　デイタイムリード　AP　　　０　ショットガン　９２／２００

「タンク型ＡＣって強かったのね。」

「運がなかったら、あのまま延々とショットガンの射撃を受け続けた
　可能性すらあったからな。」

「もうちょっと防御力が欲しい・・・。」

「今回の収入は２１０００、また、スポンサー様からのプレゼントなんだが。
　なんだと思う？」

「全攻撃対応シールドとか？（笑）」

「そんなのパーツは存在しない。（笑）。今回はＭ１１８−ＴＤ。
　これを装備すると武器の弾数が１．５倍に増える。
　便利そうだろ？
　しかも二つも送られてきている。両肩につけたらライフルの
　弾数は２倍だ。」

「ふうん。弾数不足を感じたら、つけてもいいかも。」

「ってことは・・・」

「とりあえず、売却♪」

「メーカーの人達、泣いてるぞ。特に今回のは火力不足を補うパーツって
　こともあってか、スポンサーも装備するものと予想してたようだし、な。」

「別にライフル攻撃で倒せたし。今回は物理防御シールドを買うわ」

「資金がかなり余るが。」

「どれくらい？」

「Ｍ１１８−ＴＤの売却値段は９６３００で、現在の残金が２８５００。
　だが、Ｍ１１８−ＴＤは２つあるから、合計２２１１００Ｃ。
　そこから、ＳＰ−Ｓ／ＳＣＲ（実体弾反射スクリーン）の値段３３０００を
　引くから、残り１８８１００Ｃってことになる」

「じゃ、オプションパーツのＳＰ−ＪＡＭも購入するわ。」

「ロックオン解除パルスの発信ユニットか。ミサイルの乱射を避ける
　ためは、あると便利なのは確かだ。２６０００クレジットだから、
　残金は、１６２１００Ｃ。
　これで、もう拡張スロットの空きはないから、これ以上の拡張をしたいなら、
　コアユニットの交換をするしかないぞ。」

オプション

更新前	ＳＰ−ＡＸＬ ＳＰ−Ｓ／ＳＣＲ	６２５００Ｃ
更新後	ＳＰ−ＪＡＭ ＳＰ−ＡＸＬ ＳＰ−Ｓ／ＳＣＲ ＳＰ−Ｅ／ＳＣＲ	１２１５００Ｃ（＋５９０００Ｃ）

「別にいいわ、今は特に問題もないし。」

「・・・そうだな。」

残金：１６２１００Ｃ。（機体費用合計を含めた資金　７７３２００Ｃ）

タンク型ＡＣの重装甲とショットガンの脅威的な連射速度＆衝撃による
固めにもなんとか勝利したエルシィ。

「ＳＰ−Ｓ／ＳＣＲもつけたし、これでなんとか次は乗りきれそう・・・。」

　そう自分に言い聞かせているエルシィの次の対戦相手は
　ＡＷ−ＭＧ２５／２を装備した４脚ＡＣだった。
　雨のように降り注ぐマシンガンの悪夢が蘇る。

次回　第１３話「アンモコレクターの駆るアーティラリィ」
こうご期待♪