「番組をごらんの皆さん、お待たせしました。アリーナバトルの時間です。
　ＡＣ同士の相性、ＭＡＰの特性もあって、ほとんど反撃を被弾することも
　なく勝利できました。皆さん、応援してくださいね♪　エルシィです。」

　さすがに思った通りの戦術でパーフェクトに近い勝利を収めただけ
　あって、ニコニコと満面の笑顔を浮かべているエルシィ。

「確かに前回の戦いは理想的といってもいい流れだった。どの雑誌を
　見ても、誉めている記事しかなかったな。」

「日刊レイヴンも？」

「あそこは、エルシィのことは誉めてなかったな。」

「・・・あれだけ理想的なパターンで勝利したのにぃ、なんで誉める記事じゃ
　ないの？」

　ちょっと不機嫌そうな表情のエルシィ。

「今回の記事では対戦相手のシムーン側の問題点を列挙するような
　内容だった。あれでは負けて当然だ、なんてことを書いていたぞ。」

「この記事ね・・・ひっどーい、これじゃ私が勝てたのが当たり前みたいじゃない！
　・・・ぜったい、ぜったい、私に対して悪意を持っているとしか思えないわ。」

「ま、雑誌ごとに記事の特色、方向性なんかがあるからな。
　それが読者にウケるかどうかは発行部数が教えてくれるさ。」

「歪んだ記事を掲載し続ける愚かさを後悔させてあげるわ。
　見てなさいよぉ。」

　日刊レイヴンを握ってカメラに向けて挑発ポーズを取るエルシィ。
　もうちょっと表情が引き締まっていれば、説得力もありそうだが、
　いかんせん、圧倒的勝利をした後なだけに、どこか気合が
　抜けた感は否めない。
　どちらかというと、「困った子ね♪」といった雰囲気さえさせている。

「エルシィ、もうちょっと真面目に言ったほうがいいんじゃないか。（＾＾；）」

「ちゃんと言ってると思うんだけどぉ（＾＾；）」

	マジシャン		エルシィ
ヘッド	ＨＤ−Ｘ１４８７		ＨＤ−０１−ＳＲＶＴ
コア	ＸＣＡ−００		ＸＣＡ−００
アーム	ＡＮ−２５		ＡＮ−２０１
レッグ	ＬＦ−２０５−ＳＦ		ＬＮ−１００１
ブースター	Ｂ−Ｐ３２０		Ｂ−Ｔ００１
ジェネレーター	ＧＲＤ−ＲＸ６		ＧＢＧ−１００００
ＦＣＳ	ＣＯＭＤＥＸ−Ｃ７		ＦＢＭＢ−１８Ｘ
右腕武器	なし		ＷＧ−RＦＭ１１８
左腕武器	なし		ＬＳ−２００１
右肩武器	なし		ＲＺＴ−３３３
左肩武器	ＷＭ−Ｓ６０／４		ＷＭ−Ｓ６０／６
備考	なし		ＳＰ−ＡＸＬ ＳＰ−Ｅ／ＳＣＲ

	マジシャン		エルシィ
ＥＰ	５３５９／６０００		４９３５／９９８８
ＬＥＧＳ　ＷＰ	３１５０／３４５０		４４０８／４４７０
ＣＯＲＥ　ＷＰ	８５３／２７７０		１６８９／２７７０
攻撃力	８３０		１９０８
防御力	３１０８		３３３８
安定性	５８０		１０１８
機動性能	６９９０		５９２０
移動性能	４８３０		２７７０
旋回性能	１１６０		１１５０
上昇性能	１０００		２０００
レーダー性能	５３８		２１１５
レーダー有効範囲	０		１１７０
ＦＣＳの機能性能	５３８		９４５
総合ポイント	１２０４６		１４２９９
評価	ＯＫ		ＯＫ
ＡＰ	８３５２		８３９６
ＷＥＩＧＨＴ	５２８７		６３７４
ＰＲＩＣＥ	２３００００		５５２１００

「レーダー距離、同時発射ミサイル数、ロックオン速度、どれを
　とってもジェーン�Tのほうが有利♪」

「移動性能はかなり差が開いているがレッグパーツの違いだからな。
　ミサイル戦に限って言うなら、エルシィのほうが圧倒的に有利と
　言えるだろう。」

「そーでしょ。」

「鍾乳洞だったらライフル戦で勝負するしかないんだが、な。（笑）」

「それなら連射速度で勝負するもん。」

マップはランダムに選出され・・・雪原研究所マップとなった。

広大な敷地内に大量の建物が点在している。 どの建物も急造、老朽化が激しく、攻撃により 破壊することが可能。その崩壊に巻き込まれると それなりのダメージを受ける。どの建物も高さは それほどないので、上空から降り注ぐパターンの ミサイル攻撃が効果的。

「有利、有利♪」

「油断してると、思わぬところで反撃を食らうから注意するんだぞ。」

「はーい。」

「８１８９／８３９６なんて、あの１発さえ回避できたらパーフェクト
　だったのにぃ。」

「油断大敵・・・というよりは画竜点睛を欠く、といったところか。
　残念だったな。」

　いつものようにリプレイ映像が背後に表示されている。
　開始直後、水平発射タイプのミサイルが持つ弱点・・・つまり、
　射線が通っていないとＨＩＴさせることができないことを利用する
　ために、建物の遮蔽効果を利用して、距離を保つエルシィ。
　それに対して、４脚の大きさが災いし、上手く建物の間を
　移動することができないマジシャン。

　そうしている間に、エルシィが最遠距離でミサイルをフルロックオンし、
　一斉発射を始める。どんどんと降り注ぐミサイルの雨。
　機動回避が上手くできず、ミサイルを被弾し続けるマジシャン。

「ミサイル戦は完璧だったでしょ。」

「射線を完全に封じていたのは見事だった。マジシャンも空中機動を
　しながら攻撃する、といったパターンを見せていれば、違った展開に
　なっていたのかもしれんが・・・。」

「上から降り注ぐミサイルに撃ち落されてたみたいね。」

「・・・そうだな。」

　エルシィがいうように、機動回避をしようにも降り注ぐミサイルの
　せいで、それもままならず、エルシィがミサイルを撃ちきるまで、
　マジシャンはまったく反撃の糸口を掴むことができなかった。

　エルシィ　　ＡＰ８３９６　ライフル　２００／２００　ミサイル　　０／６０
　マジシャン　ＡＰ３１２２　　　　　　　　　　　　　　　ミサイル　５９／６０

「このあと、空中機動をしながら、地上を移動するマジシャンを
　ライフルで攻撃したの。結構、華麗だったでしょ♪」

「一方的だったな。途中、油断し過ぎてミサイルを１発、被弾したのが
　残念なところ・・・だろう？」

「避けられない攻撃じゃなかったのにぃ。・・・油断してたわ。」

　ミサイルが尽きると、エルシィは空中機動を行いながら、地上を
　疾走するマジシャンに対して、連続してライフルを撃ちこんでいく。
　途中、まったく撃ち返してこないマジシャンの動きに油断したのか、
　正面に着地してしまい、ミサイルを１発被弾してしまう。
　しかし、マジシャンの反撃はそこまでだった。
　それ以降、着地場所に気を使いながら丁寧に機動運動を続ける
　エルシィに対して１発もロックオンすることなく、マジシャンは
　ＡＰを全て失い、戦闘機能を停止した。

　エルシィ　　ＡＰ８１８９　ライフル　１５１／２００　ミサイル　　０／６０
　マジシャン　ＡＰ　　　０　　　　　　　　　　　　　　　ミサイル　５７／６０

「シムーン戦のときもそうだったけど、今回もかなり有利な組み合わせに
　なっちゃったみたい♪」

「そのようだな。アリーナ戦闘後もレイヴン”マジシャン”は一言も
　話さずに去っていったくらいだからな。３発しかミサイルを発射
　できなかったのがショックだったのかもしれん。」

「ロックオン速度が遅すぎるのよね。ＣＯＭＤＥＸ−Ｃ７でしょ？
　どう考えてもミサイル戦に向いているようには思えないわ。」

　以前、ＣＯＭＤＥＸ−Ｃ７で、ＴＲＹＸ−ＱＵＡＤ装備の腕武器（ミサイル）ＡＣ
　相手に苦戦したことを棚上げした発言である。

「もう、過去のことをいちいち言わないで。」

「ん？」

「はは、なんでもないの。（＾＾；）話を続けて。」

　ナレーションに突っ込むから話が脱線する。（笑）。
　とりあえず、アルフは番組進行をスムーズにするため、気を取り直して
　話を続ける。

「そうだな。だが、ＦＢＭＢ−１８Ｘは値段が高い。誰もが手に入れられる
　ＦＣＳってわけじゃないんだ。」

「マジシャンさんがＦＢＭＢ−１８Ｘを装備してたら、結果は変わってたの？」

「いや、結果は同じだろう。・・・だが、３発しか発射できないなんて
　事態だけは回避できたはずだな。」

「そうかもしれない。」

「今回の賞金は２００００Ｃ。残金と合わせると２８５００Ｃだな。」

「ちょっと足りないの。」

「何が？」

「実体弾防御シールドの値段に。」

「とりあえず貯金だな？」

「うん。」

残金：２８５００Ｃ。（機体費用合計を含めた資金　５８７７００Ｃ）

ミサイルでＡＰを削り、ライフルで止めを刺すという必勝パターンで
圧勝したエルシィ。

そんなエルシィの前にタンク型ＡＣが始めて立ち塞がった。
「ホバータンクより動きが遅いんでしょ。ミサイル戦なら、４脚より
　有利だと思うわ。」
そんなコメントをするエルシィ。
しかしエルシィは、始めて戦うタンク型ＡＣの特徴を知らなかった。

次回　第１２話「デイタイムリードの駆るサン・バーン」
こうご期待♪