「番組をごらんの皆さん、お待たせしました。アリーナバトルの時間です。
　前評判もなんのその、破竹の快進撃を続けてることもあって、注目度
　急上昇♪　なんてコメントも貰えるようになってきたエルシィです。」

　前回とは変わって、機嫌良く笑顔を振り撒いているエルシィ。

「結果が評価されたということさ。よかったじゃないか。」

　エルシィの席には前回までは日刊レイヴンだけが置かれていたが、今日は
　発刊されているレイヴン紹介系の雑誌がほとんど置かれている。
　エルシィの評価をしているページがマーキングされているなど、配慮も
　行き届いているようだ。

「そーよね。やっぱり貶されるよりは誉められたほうが嬉しいもの。
　日刊レイヴンは”相変わらず”だけど、他の雑誌も見てみたら、そんなに
　悪く書かれてなかったのよね。ちょっとびっくり。」

「各雑誌ごとに特色があるからな。俺も今回、初めて全部見てみたが、
　ずいぶんと評価が異なるってことを実感させられた。これからは
　できるだけ複数の雑誌の記事から評価状態を算出するつもりだ。
　偏った記事だけだと視聴者も納得しないし、な。」

　・・・アルフも苦労しているようである。

「えっと、今回の相手は４１位のポワッソンさんが駆るシグルピスケスよね？」

「あぁ、そうだ。前回の番組後に、ポワッソンがシムーンに挑戦したんだが、
　運悪くＭＡＰが遮蔽物のない丘陵地帯だったせいで、スナイパーライフルで
　撃破されてしまったんだ。だから、順位変動はなしで、今回の挑戦という
　ことになった、というわけだな。」

「地雷伍長さん以来、ずっといなかったけど、シングルピスケスって
　ブレード装備機なんでしょ？」

「あぁ。ＬＳ−２００１だけど、な。」

「接近戦は避けたいところね。」

	ポワッソン		エルシィ
ヘッド	ＨＤ−０１−ＳＲＶＴ		ＨＤ−０１−ＳＲＶＴ
コア	ＸＣＬ−０１		ＸＣＡ−００
アーム	ＡＮ−Ｋ１		ＡＮ−２０１
レッグ	ＬＢ−４４００		ＬＮ−１００１
ブースター	Ｂ−Ｐ３２０		Ｂ−Ｔ００１
ジェネレーター	ＧＲＤ−ＲＸ６		ＧＢＧ−１００００
ＦＣＳ	ＣＯＭＤＥＸ−Ｃ７		ＦＢＭＢ−１８Ｘ
右腕武器	ＷＧ−ＭＧＡ１		ＷＧ−RＦＭ１１８
左腕武器	ＬＳ−２００１		なし
右肩武器	なし		ＲＺＴ−３３３
左肩武器	なし		ＷＭ−Ｓ６０／６
備考	なし		ＳＰ−Ｅ／ＳＣＲ

	ポワッソン		エルシィ
ＥＰ	４１６６／６０００		４９０７／９９８８
ＬＥＧＳ　ＷＰ	２９１３／４０２０		４２８５／４４７０
ＣＯＲＥ　ＷＰ	１３９８／２４５０		１５６６／２７７０
攻撃力	８２３		１１７０
防御力	３２１４		３３３８
安定性	２０８４		１０１８
機動性能	５１９０		５９２０
移動性能	２９４０		２７７０
旋回性能	１２５０		１１５０
上昇性能	１０００		２０００
レーダー性能	５３８		２１１５
レーダー有効範囲	０		１１７０
ＦＣＳの機能性能	５３８		９４５
総合ポイント	１１８４９		１３５６１
評価	ＯＫ		ＯＫ
ＡＰ	８５４６		８３９６
ＷＥＩＧＨＴ	５４３３		６２５１
ＰＲＩＣＥ	２５６０００		５１６６００

「レーダーなし、武装はＷＧ−ＭＧＡ１とＬＳ−２００１だから接近しなければ
　それほど脅威ではない、と。ジェネレータ、ＦＣＳ、ブースターもそれなりの
　ものだから、機動性能は逆脚としてはまぁまぁってところ。
　防御力はそれなりにあるけど、遠距離戦を維持できれば苦戦はしないで
　済みそう。」

「まぁ、そんなところだな。だが遮蔽物の多い夜間市街地や地下演習場
　なんかだと近距離戦がメインになるから苦戦する可能性がある。」

「ジェーン�Tには近接戦用武器がないから？」

「そういうことさ。」

マップはランダムに選出され・・・鍾乳洞マップとなった。

レッグパーツのジャンプだけで天井に衝突する ほど上下機動が制限されるＭＡＰ。夜間雪原ほど ではないが起伏もあり、所々にある柱が視界を 遮るなど、狭いながらも多彩な戦術を駆使する 余地はある。水が溜まっている場所は起伏がなく、 移動時に水飛沫をあげるため注意が必要である。

「ねぇアルフ？　ちょっとジェーン�Tにとって不利な地形じゃない？」
「肩装備のＷＭ−Ｓ６０／６が使い物にならない、という意味では
　戦闘力半減といったところだろう。・・・不利といっていいんじゃないか？」
「開催者の悪意を感じるわ。」
「ＭＡＰ選出はランダム。始めからわかっていることだろ？
　それに文句をいっちゃいけない。レイヴンは与えられた状態から
　ＢＥＳＴの結果を叩き出すのが仕事だからな。」
「大変なのね・・・」

「射撃戦で勝てたことは勝てたんだけど・・・」

「どうした、エルシィにしては珍しく歯切れが悪いな」

　いつものようにリプレイ映像が背後に表示されている。
　彼我の射程距離差を活かして遠距離戦に徹したこともあり
　ほとんどポワッソンは射撃をすることもできず、エルシィの
　ライフル攻撃を一方的に被弾する展開となり、そのまま
　ＡＰを削りきられた。

　エルシィ　　ＡＰ　８０１６　ライフル　　　　４７／２００　ミサイル　５６／６０
　ポワッソン　ＡＰ　　　　０　マシンガン　４７６／５００

「８０１６／８３９６　ってことで、ほとんど圧勝だったんだけど、
　ライフルの残り弾数が４７しか残ってなかったの。今回は、
　軽量級だったから良かったけど、そうでなかったらアウトでしょ？
　今、装備しているミサイルじゃ、天井にぶつかるだけだったし。」

　途中、エルシィは無駄と知りつつミサイル攻撃を行い、天井に
　着弾することを確認するなどという余裕まで見せていた。

「貴重な教訓を得た、というわけか。」

「うん。」

「そんなわけで、弾が尽きたときの最後の砦！
　ブレードを取りつけることにするわ。」

「今回の賞金１８０００も入ったことからな。どのブレードにするんだ？」

「ここはやっぱりハスラーワンも愛用しているＬＳ−２００１でしょ。」

「ま、補助武器だから、それほど威力を気にする必要もないか。」

「そんなとこ。」

左腕：

変更前	なし	０Ｃ
変更後	ＬＳ−２００１	１１５００Ｃ（＋１１５００Ｃ）

残金　１３５００Ｃ。（機体費用合計を含めた資金　５４８７００Ｃ）

射撃戦で圧勝することができたエルシィ。
だがそれは遠距離戦で一方的に攻撃することができた故の
ものだった。
第４０位に位置するシムーン＆デザートウィンドは最長射程
距離のスナイパーライフルを装備した重装ＡＣ。
新たな戦術を必要とされる事態にエルシィが取った方法は・・・

次回　第１０話「シムーンの駆るデザートウィンド」
こうご期待♪