「皆さん、始めまして。今回、大会主催者さんの好意でＲＡＮＫ５０に
　ノミネートしたエルシィです♪
　近頃、マニアの間で人気が高まってきているアリーナバトルについて
　一般公募で選ばれた私が、どこまで太刀打ちできるか、
　期待してくださいね♪」

　可愛らしく営業スマイルを振りまきながら、Ａ．Ｃ．のハンガーをバックに
　話し始める。この番組のヒロイン役に抜擢された女の子だ、ちょっと前までは、
　普通の学生をしてたんだが、オーディションで選ばれて、今は、
　レイブンとして登録されている。もっとも、アリーナバトル専属だけどな。

「こちらは、番組進行のアシスタント、メカニック、コメンテータ、マネージャを
　兼任してくれるアルフです。」
「よろしく」
「暗いわねぇ。もっと明るく対応しないと、レイブンやメカニックの人達の
　印象が悪くなっちゃうわよ？」
「どこの世界に威圧感のかけらも無いよーな女の子が勤まる傭兵がいるんだ？
　だいたい、メカニックだって、ミスをしないように地道な作業を続けるって
　意味では、エルシィがいうような”明るい”雰囲気があるわけないだろ？」
「はいはい、じゃ、真面目な雰囲気、と。」
「そーだ。対外的には、そう言っておくように。」

「それで、今回、私は始めてランカーレイブンと戦うの。ドキドキしちゃう♪」
「収支状態が凹んだら、番組打ち切りっての、忘れてないか？」
「思い出すのも苦しい地獄の特訓を乗り切った私と、１０万クレジットを
　かけてチューンしたジェーン�Tのコンビが負けるわけないもん。」

　ただの素人がレイブンと戦ったら、ただの的、ということで、事前に
　訓練させたんだ。ま、ただのシミュレータだが、使ったデータが凶悪
　だったからな。かなりの実力になったのは間違い無い。（ニヤリ）
　なにせ、そのデータは、駆け出しのレイブンがあらゆる依頼を達成し、
　ついには二大企業の一つを没落させ、均衡状態維持を望んでいた
　ある組織を壊滅させる、っていう超ハードなものだったからなぁ。
　無論、そのデータの出所は秘密だ。（笑）

「そーか。まぁ、エルシィも予想していたかもしれないが、今週の
　ＲＡＮＫ４９、つまりエルシィが挑戦できる相手であり、エルシィを
　除いたランカーレイブン最下位を爆走中の　地雷伍長　が対戦
　相手だ。」
「あのいっつも、ランキング表の最後に出ている名物おじさん？」
「その通り。だが、最下位だからといって甘く見てはいけないぞ。」
「なんで？」
「ランカーレイブンと呼ばれる人達が尊敬され、恐れられているのは、
　彼らがＡＣを扱うと、戦闘力が何倍にも跳ね上がるから、というのは
　知っているな。」
「ＡＣの基本でしょ。使い手によって、戦闘力は格段に変化する！」
「そうだ。当然だが、装備さえ整えれば、誰でもレイブンを名乗る
　ことはできる・・・まぁ、レイブンズネストのテストに合格すれば。」
「らしいね」
「エルシィは特別参加だから、その当たりは知らないだろうけど、
　そこらへんで、警備をしてくれているＭＴ乗りの皆さんだって、
　そりゃー大変な努力をしているわけだ。」
「お仕事だもの」
「で、彼らの中には独立願望のある人達も当然いて、アリーナに参加
　するべく、挑戦しているわけだ。」
「出入りの激しい業界なんですってね」
「なのに、地雷伍長は、常にランカーレイブンの地位を維持している！
　これは凄いことだと思わないか？万年、最下位だとしても。」
「はぁ。そんな人と戦うんだ、私」
「だから、装備が勝っていようと、甘くみているとやられるぞ。」
「はーい」

ＲＡＮＫ　４９ ＰＩＬＯＴ：地雷伍長 Ａ．Ｃ．：デンジャーマイン

ＲＡＮＫ５０ ＰＩＬＯＴ：エルシィ　　　　 Ａ．Ｃ．：ジェーン�T

標準的パーツのみで組まれた なんら特徴箇所の無い機体を 駆って、万年最下位を続ける　 アリーナの名物レイヴン。

一般公募で選ばれた異色の レイブン。収支状態が凹むまで 戦い続けると公約しており、現在 賭けの対象としても注目度Ｎｏ１。

	地雷伍長		エルシィ
ヘッド	ＨＤ−ＧＲＹ−ＮＸ		ＨＤ−０１−ＳＲＶＴ
コア	ＸＣＡ−００		ＸＣＡ−００
アーム	ＡＮ−２０１		ＡＮ−２０１
レッグ	ＬＮ−１００１−ＰＸ−０		ＬＮ−１００１
ブースター	Ｂ−Ｐ３２０		Ｂ−Ｐ３５０
ジェネレーター	ＧＰＳ−ＶＶＡ		ＧＢＧ−１００００
ＦＣＳ	ＣＯＭＤＥＸ−Ｃ７		ＣＯＭＤＥＸ−Ｃ７
右腕武器	ＷＧ−ＲＦ３５		ＷＧ−ＭＧ５００
左腕武器	ＬＳ−２００１		ＬＳ−２００１
右肩武器	ＲＸＡ−０１ＷＥ		ＲＺＴ−３３３
左肩武器	なし		ＷＭ−Ｓ６０／６
備考	なし		なし




	地雷伍長		エルシィ
ＥＰ	４３１４／４７２８		４８９１／９９８８
ＬＥＧＳ　ＷＰ	３６６７／４１００		４３６０／４４７０
ＣＯＲＥ　ＷＰ	１５９２／２７７０		１６３５／２７７０
攻撃力	９５６		１７０３
防御力	３０８５		３１１１
安定性	９０４		１０１８
機動性能	４９６０		５９２０
移動性能	２８００		２７７０
旋回性能	１１６０		１１５０
上昇性能	１０００		２０００
レーダー性能	１４０３		１７０８
レーダー有効範囲	８６５		１１７０
ＦＣＳの機能性能	５３８		５３８
総合ポイント	１１３０８		１３４６０
評価	ＯＫ		ＯＫ
ＡＰ	８３８４		８３９６
ＷＥＩＧＨＴ	５５５９		６３２６
ＰＲＩＣＥ	１９２９００		３０５８００


「データを見た限りでは、私のジェーン�Tのほうが勝っているみたい。」
「あぁ。地雷伍長は、なぜか、標準機体（チューン前の素体レベル）
　でしか戦わないからな。」
「地雷伍長は、ライフル、ビームブレードって装備。
　私は、マシンガン、ビームブレード、ミサイルを装備。
　単純に考えて、私がミサイル戦を維持できれば勝てそうだね」
「まぁな。だが、ブレード戦闘になったらやっかいだぞ。エルシィ、
　シミュレータでも、全然、ブレード戦闘なんてやってなかった
　じゃないか」
「だって、接近するの怖いんだもん」
「せいぜい、近寄られないように注意するんだな」
「はーい」
「それと、ライフルだが、威力があるから、食らうと一瞬だが機体の
　動きが止まってしまうぞ。」
「でも、連射速度ならマシンガンが上だもんね。」
「基本戦略は決まったかい？」
「うん。離れてミサイル攻撃、中距離になったらマシンガン射撃、
　接近されちゃったら、ブレード攻撃・・・か、逃げるって感じ。」
「ま、予定通りにいくといいな」
「うん」

マップはランダムに選出され・・・鍾乳洞マップとなった。



中央に石柱が林立する鍾乳洞。 開けた空間と障害物のある空間が 混在しており、天井までの高さも それほどない。高機動型には狭い マップといえるだろう。


「えー、いきなり地下？」

　ランダムに決めている（広原マップを除いた１２面）から、最初から
　洞窟マップ、ということもあったんだが・・・。
　それにくらべりゃ、マシだと思うぞ。

「うーん、ちょっと辛いかもしれないな。敵が見えにくいし、
　障害物も多くて、ミサイル系は使いづらいぞ。」
「ま、がんばってみるわ。地下っていっても、ミサイルが使えない
　わけじゃないんだから」

「恥ずかしい映像だわ。」

　アリーナバトルのリプレイ映像が流れている。

「しょっぱな、いきなりライフルを撃ちこまれてスタートしたからな。」

「そー。びっくりしたわ。それで、ちょっと離れながらミサイル攻撃を
　したんだけど、ロックオンしている最中に近寄られて、バシバシって
　ライフル攻撃を受ける、なーんてシーンが多かったわ。」

「それでも、ミサイルを３７発発射して、ＡＰを３９００削ったのは、
　まぁ、作戦成功ってところだろう。かなり障害物に当たってはいたが」

「で、ミサイル攻撃を続けようとしたら、障害物を縫うようにデンジャー
　マインが接近してきて、ライフル攻撃をポンポンと受けちゃったの。
　武装変換している間に、至近距離まで迫られたときには、
　焦っちゃったわ。」

「デンジャーマインが抜刀（ビームブレードを発生させる）したとたんに
　ブースターふかして、逃げ出したもんな。」

「機動回避しようとしたら、林立している岩にごっつん、ごっつん、
　当たっちゃって、相手の位置がわかんなくなっちゃって、もー
　大変。立て直すまでに、８連射ぐらい、撃ちこまれたの。」

「その後は、距離をとってマシンガンとライフルの撃ち合いをやって、
　辛くも勝利・・・前半にミサイルで削っていなかったら、負けてた
　かもしれんな。」

「うーん、地雷伍長さんのライフル、威力はあるけど連射速度が
　ないから、単位時間当たりの破壊力なら、私のマシンガンのほうが
　上だったわ。だから、多分、負けはなかったと思うけど。」

「ブレード戦闘必死だったぞ・・・あの感じじゃ。」

「ほんと、怖かった。ブレードで斬られると、機体を立て直すのが
　大変なんだもん。シミュレータで何回かやられたけど、実践では、
　やられたくないわ。」

「残りＡＰ５５３６／８３９６、ずいぶん、撃ちこまれたわけだ。
　マシンガン２９２／５００、ミサイル２３／６０、か。
　まぁ、初戦にしてはよく戦ったと思うぞ。課題は山積みだが。」

「いーの。勝ったんだから。」

「賞金６０００Ｃが入って、残金合計は１１８００Ｃだ。どーする？」

「ライフルで撃たれるたびに機体の動きが止められて、ものすごーく、
動きにくかったのよね。ライフルの上位版でも買ってみようかな。
結構、威力、衝撃があって使いやすそうだし。」

「無理無理。高くて、当分は買えない。」

「じゃ、ブースターよ。今の奴じゃ、相手の攻撃を避けるのが
　厳しいもん。」

「なら、ブースターを交換しようか。ちょうど、賞金も手に入ったから、
　２ランク上のものと交換して・・・っと、資金が足りないな。
　重量オーバー＆資金不足を解決するってことで、ブレードを
　売ってもいいかい？」

「いいよ。切り合い距離になったら逃げるから。」

「ＯＫ」

ブースター


更新前	Ｂ−Ｐ３５０	１３７００　Ｃ
更新後	Ｂ−Ｔ００１	３４０００　Ｃ（＋２０３００）


左腕武器


更新前	ＬＳ−２００１	１１５００　Ｃ
更新後	なし	（−１１５００）


残金　３０００なり。

「そんなわけで、前評判を打ち破り、私、エルシィがＲＡＮＫ４９に
　進むことになりました。拍手、拍手♪」
「次回はＲＡＮＫ４８への挑戦だが、誰になっているかな？」
「下位は変動が激しいもんね。ま、それは来週のお楽しみ。
　では皆さん、また来週、この時間に会いましょう。」

　初戦はなんとか勝利したが、至近距離の戦闘に大きな課題を
　残すことになったエルシィ。
　だが、次に現れた相手は、遠距離戦しかやらないミサイル戦
　のみに絞った高速４脚ＡＣだった。
　エルシィ好みの天井のないマップは選択されるのか？
　「第２話　ブラック・ルーク駆るリクルートスコアとの対決！」
　こうご期待♪

---

トップページに戻る。
第００話に戻る。
第０２話に進む。
感想、ご意見、などがありましたら、こちら（yoko@tc.xdsl.ne.jp）まで。