第０３話「鳴らない電話」Ａパート
葛城宅で綾波さん、ミサトさんと同居するようになって一週間。
エヴァの操縦訓練、日向さんとの射撃戦闘訓練、青葉さんの指示で
やってるジオフロントの森を使った長距離踏破訓練。
毎日、ＮＥＲＶではそんなことばかり続けていた。
朝、晩は皆で揃って食事をしている。
少しずつ、食材の作り置きのストックが増えてきたおかげで、
食卓にのぼる料理の品数もだいぶ、豊富にできてニコニコ。
生活に必要な品物が極限まで少ないボクと綾波さんのために
デパートで必要なものを購入したときは、そういったものを
使ってなかった綾波さんに説明をしながらだったから、
かなり時間がかかったけど、一つ、一つ、手に持ってジッと
観察している綾波さんが可愛らしかった。
色々あったけど、一通りの訓練もできたってことで、今日から
学校に行くことになった。
学生は学校に行くのも仕事なんだ、ってミサトさんが言ってた。
「おはよ、ペンペン」
「クェ」
お弁当が作り終わって、朝食の準備をしていると、
冷蔵庫のドアが開いてペンペンがでてきた。
寝起きがいいのか、ちゃんと挨拶を返すところが偉いね。
トントントントン
鰹節を削って、出汁をとっている間に、わかめ、豆腐、
もやしを適当な大きさに切って具の準備はお終い。
茹でたほうれん草のお浸しを作る。
サケのフレークを混ぜて卵焼きを作る。
出汁がでたのを見計らって、具を入れて、ちょっと温める。
最後に、赤味噌と白味噌を混ぜて、沸騰しないように温めて準備ＯＫ。
鰯の開きを炙る。
「ペンペン、綾波さんを起こしてきてくれる？」
「くぇ」
返事をすると、そのまま綾波さんの部屋にトコトコと入っていく。
…しばらくして、炙っていた鰯の匂いにつられたのか
どこか足取りも軽くペンペンが戻ってきた。
「綾波さん、起きた？」
「くぇ」
「それじゃ、ミサトさんも起こしてきてくれる？
そろそろご飯もできるから、ね」
「…キュゥ」
なんだか行きたくなさそうな雰囲気だったけど、
しぶしぶながら、ミサトさんの部屋に入っていった。
ゴン…、ガラガラ…、ドスーン
ペタペタペタペタ
部屋から勢いよくペンペンが飛び出してきて、
ぽーん、と勢い良く椅子に座る。
「ペンペン、ミサトさん起きたの？」
「クェ」
気のせいか、ちょっと視線を逸らしている。
さっきの音といい、なにかあったのかな〜。
「…おはよう」
「綾波さん、おはよう」
「クェ」
「…おはよう」
まだ眠そうな表情のまま、綾波さんが律儀にボクと
ペンペンに挨拶をする。
「痛…あ、シンちゃん、レイ、ペンペン、おはよ」
なぜか頭を押さえながらミサトさんが起きてきた。
「ミサトさん、どうしたんです？」
「積んであった荷物が崩れてきて下敷きになったのよ。
…あたたたたたた」
チラッとペンペンを見ると、こっちを見ていたペンペンが
フィっとそっぽを向く。
そーいうことか。
なんだか可笑しくて、笑ってしまう。
「なに？どーしたの？」
「なんでもないです。それじゃ戴きます」
「「いただきます」」「クェ」
パクパク
皆で食べる朝食。
あんまり凝ったものは作る時間もないし、作り置きもないから
簡単なものになったけど、それなりに満足。
一人で食べる食事より、皆で食べるほうが嬉しい。
こんなことを思ったのは３年ぶり…リツコさんとの同居の時以来だった。
「レイもシンちゃんも早起きね。かなり余裕があるんじゃない？」
「転校初日から遅れるのも恥ずかしいですから。
それに道を覚えたいから、ゆっくり歩きたいと思って」
「そう。ここからの道順はわかってるの？」
「えっと、昨日、調べておきました。でも地図上の確認だけだから
ちょっと不安なんです。だから早起き」
パクパク
お代わりのご飯を装って渡す。
「ん、どーも。このご飯、美味しいわね〜」
「そうですか？ 急いでたからちょっと自信がなかったんですけど。
そういってもらえて良かったです」
隣を見ると、ペンペンは鉤爪を使って器用にご飯を食べてる。
「ペンペン、美味しい？」
「クェ」
律儀に答えてくれる。うーん可愛い、可愛い。
パクパク
綾波さんを見ると、黙々と食べてる。
気に入ってくれてるみたい。
みんな食べ終わって食事はお終い。
食器はシンクに沈めて洗剤に浸けておく。
お弁当も持ったし、忘れ物はないね。
「それじゃ、ミサトさん。行ってきます。火の元、戸締りは
一応、確認しましたけど、注意してくださいね。
あと、お弁当、持っていくの忘れないでください」
「あら、ありがとうね。いってらっしゃい」
「クェ」
「いってきます」
「…いってきます」
レイとシンリがでていくのをベランダから確認すると、
ミサトは、携帯電話の短縮ボタンを押した。
「二人は学校に向かったわ。ガードよろしく」
『了解』
ミサトは、携帯端末に表示されている”チルドレン観察日誌”に
今朝の出来事を入力し終えて溜息をついた。
家族なのに報告が必要…か。
携帯端末を操作して、別のウィンドウを開く。
リツコに頼んで、シンリの携帯端末内に保存されている業務日誌を
閲覧できるようにしてもらっている。もちろん、シンリには内緒だ。
そこには、ミサトの生活パターン、食生活の嗜好、摂取カロリー、
交友関係、連絡先などが事細かに記載されている。
些細な会話一つ、行動一つを覚えていて、推測しているのだろうが、
かなり的確にミサトのことを把握していると言える。
”業務記録は仕事の基本なのよ。”
リツコが言っていたことを思い出す。
一軒家の家事全般を一人で担い、月々の作業報告を
そつ無くこなしていた、というデータはＭＡＧＩ経由で入手している。
第二東京市では、これが普通だ、ということも知った。
高いレベルのサービスを提供し続けるためには、状況の把握が
必要不可欠ということらしい。
「どっちが観察しているんだか、わかったもんじゃないわね〜」
いつ、交替を指示されても変わらないサービスが提供されるように
新たにくる第３者にも家事業務が引き継げるだけの情報の記載。
膨大な情報とそれを支援する社会的な枠組みがあるからこそ
運用可能なシステム…第二東京市特有というのも頷ける。
ＭＡＧＩを使って情報収集をしてみて判ったこと。
それは、多かれ少なかれ日本の都市は徹底的な分業体制を敷いて
家庭の持つ機能を社会全体が肩代わりするようになっている。
ところが第３新東京市は、そのシステムが適用されていない。
都市全体が使徒と戦闘するためだけに作られ、対使徒戦に必要な
スキルを持つ人々だけが集う街では、運用するための社会基盤が
存在していなかったことが最大の要因である。
だが、もう一つ、重要な要因があった。
それは、住民一人一人の意識の違いである。
他の都市が行っている社会的分業システム…それは明日が今日の
延長線上に存在することが前提となっている。
それは、普通なら当然のことである。だからこそ、長期的な計画に
基づいて人生設計が行われ、社会全体もその流れに従って運用される。
…だが、第三新東京市にその考えは当てはまらない。
今日の次に明日がくる、という保証はないのだから。
そのせいか、住民は誰もが人との出会い、交流をとても大切にする。
普段の生活事体が、”一期一会”の思想に染まっていると言ってもいい。
その出会いが最後かもしれないのに、家族との団欒の時を
他人任せにする者などいない。
世界で最も危険なはずの第３新東京市。
そんな街にだけ、家族の団欒が残っているというのは皮肉な話である。
ミサトは、この一週間、注意して同僚達、特に家庭を持つ者達の行動を
観察し、色々と聞いても見た。
同じ都市に住んでいるはずなのに、家族の写真を机の上に飾っている
者が多かったこと…それに誰もができるだけ、家族との接点を持とうと
努力していることもわかった。
家族のことを語るときの彼らの表情は、ミサトには少し眩しかった。
いつか、自分もレイやシンリに対して同じ表情ができるのか…。
ピピピピ、ピピピピ
「いっけない、もうこんな時間！」
考えに没頭していていつのまにか、時間がかなり経過していた。
また、遅刻をしたりしたらレイとシンリに心配をかけることになる。
つい３日前に遅刻したときのことを思い出して、苦笑してしまう。
ミサトは、スケジュールに連動して騒音を奏でる目覚まし時計…
レイとシンリからのプレゼントを愛しげに撫でると、身支度を始めた。
かなり余裕はあるけど、学校に行くことにした。
初めての道、ノートの入った手提げ鞄。
やっぱり早く出て正解。道行く人達よりボクたちの歩く
速さはかなりゆっくりみたい。
「綾波さん、第三中学校ってどんなところ？」
「エリアＡ３に位置する教育施設。地下に防御用シェルターがあり、
２０００人の収容が可能」
「…それだけ？」
「（こくん）」
あんまり学校に行った事がないのかな…。
ＮＥＲＶのお仕事が忙しいとか。
そういえば、この前まで怪我で入院してたんだっけ。
それじゃ、知らなくても仕方ないかもしれない。
通学路の途中に工事中のビルが多く目立つ。
やっぱりこの前の戦闘で壊れたところが多いみたい。
道路工事も多い。
なんだか、生活の音より工事の音のほうが五月蝿い感じ。
のんびりと周囲を見学しながら歩いていたけど、
ほぼ予定とおりに学校に到着。
「じゃ、教室にいくから」
「ボクは、職員室に行くね」
そういって途中で分かれた。
「相田くん、誰なの、その子」
委員長…洞木が俺の携帯端末に表示されているアルビノの子の
データを目ざとく見つけて、話し掛けて来た。
「あぁ、今日、転校してくるんだ。あと５分もすれば会えるさ」
「また学校のデータベースを覗いたの？ よくやるわね」
「ん、まぁ、情報収集はこの業界の基本だからね」
そう言って笑みを浮かべた。
俺が趣味でやっている同級生達の写真販売。
デジタルカメラ等の俺の趣味を支える貴重な収入源だ。
もちろん、写した写真は本人の了承を得て販売している。
悪い噂が立てば販売ルートの維持に支障をきたすから、利益の分配を含めて、
それなりに被写体となる人達とは上手くやってる。
けっこう、俺の写す写真はいいものが多いって、それなりの評価は得てる。
もちろん誰が、どの写真を買ったかは秘密だ。
どの写真がどの程度、売れているのかは秘密にはしてない。
情報公開をして、変な噂が立たないように色々と気を使っているのさ。
「そんなこと言ってる中学生なんて、相田君くらいよ」
委員長と話をしていたら、先生が入ってきた。
一緒に入ってきたのは転校生だな。
先生が定時連絡を終えると、転校生に自己紹介を促した。
「碇シンリです。第二東京市からきました。
見てのとおりアルビノなので一緒に運動することはできませんが、
よろしくお願いします。趣味はチェロ、あと料理が得意です」
肩で揃えられた白金の髪。輝きの強い紅い瞳。
白人より白い肌。綺麗、可愛いと分類するなら間違いなく可愛い系。
売上もかなり期待できそうだな。
軟らかそうな短丈のジャケット、ちょっと長めの長袖から見える小さな手。
女子の制服っぽいブラウスとキュロット。ニーソックスに包まれた
細い足。手に持ってる帽子を被ったら、ほとんど、肌が見えない。
同じアルビノでも綾波と違って陽光にかなり弱いのか。
体操服は諦めるしかない…か。
…綾波？ そういえばかなり似ている気がするな。
印象がかなり違うけど、姉妹、そういってもいいくらい似てる。
綾波のほうが少し華奢…あと表情が違うか。
控えめだけど、綾波と違って、ちゃんと表情はあるもんな。
「碇さんは、体育は女子と一緒に受講してもらいますが、
本人から話があったように、日中は外出できませんので、
体育館の時以外は見学をしてもらうことになります。
質問については、休み時間にすること。
席は、洞木さんの前の席が空いているので、そこにしてください。
洞木さん、手を上げて」
洞木が手を上げる。
ん…よく聞えないな。
洞木が顔を赤くしてるぞ？ 何を言ったんだ？
仕方ないな、ま、休み時間に質問をさせてもらうか。
はぁ…なんとか挨拶が終わった。
洞木さんは優しそうで安心。こういう人が委員長なら、多分、大丈夫。
端末を起動して授業内容を表示。
しばらく先生の講義を聞いている。
あれ？ チャットのメッセージが表示されてる。
”碇さん、紫色のロボットのパイロットなんでしょ？ Ｙ／Ｎ”
うーん、これどう答えればいいのかな。
ちょっと別のチャットウィンドウを開いて綾波さんに聞いてみる。
”綾波さん、エヴァのパイロットか聞かれたけど、言ってもいいのかな？”
しばらくして、返事が返ってきた。
”具体的な話をしない場合は問題なし”
簡潔な答え。わかりやすくていいね。
えっと、答えなくちゃ。
ボクはさっきのチャットウィンドウに”Ｙ”と入力した。
「「「「「「「「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇ」」」」」」」」」」」
一斉に周囲から歓声が上がる。
え、え？
ウィンドウを見てみると、オープン設定になってる。
つまり全員がこの表示を見ていたってこと。
「ねー、ねーあのロボットなんて名前？」
「襲ってきた奴、どこから来たの？ 外国？ もしかして…」
「武装はなにかある？ 必殺技とかあるのかい？」
「あの化け物、なんなんだ？」
「パイロットって何か特別な試験とかあったの？」
「怖かった？」
周囲を埋め尽くすようにクラスメイトが群がって来て質問を浴びせてくる。
あ、あの…
一度に言われて何がなんだか全然わからない。
それにこんなにたくさんの人が近くにいると嫌。
みんながボクを見てる。なんだか目が怖い。
なんとか答えようとするけど、うまく声にならない。
「…碇さん」
どうしたらいいの、どうしよう、何か言わなくちゃ
「碇さん！」
え？
いつのまにか、ボクの手を握って洞木さんが呼んでる。
「…あ…洞…木さん？」
手の震えが止まらない…洞木さんが両手でボクの手を包み込む。
「落ち着いた？」
なんとか頷く。
「びっくりしちゃった？ うちのクラス、いっつもこんな感じなの」
「…あ…あの…」
ボクがなんとか声を出すと、皆が音を立てるのすらやめる。
「…質問…後で答えるから…今は…ダメ…」
そう告げるのが精一杯。
不満そうな顔の子もいたけど、洞木さんが
席に戻るように言ったら、従ってくれた。
「…あの…」
「なに？」
「ありがと」
感謝の気持ちを込めて微笑む。
ちょっとぎこちないけど、気持ちが伝わるように。
「い、委員長として当然のことをしただけだから気にしないで。
…大勢の人は苦手？」
とりあえず頷く。無難な答え…。
「それじゃ、質問にはメールで答えておけばいいわ。
みんな、聞きたいことなんて似たようなものだと思うから」
「…うん」
洞木さんも自分の席に戻る。
なんだか寒い…。
震える身体を押さえつけて、なんとか落ち着ける。
もう大丈夫なんだから。
この時間は誰も近づいてこないから。
そう自分に言い聞かせる。
だけど、なかなかうまくいかない。
結局、授業が終わるころ、やっと落ち着いてきた。
ぜんぜん授業内容は覚えてなかった。
その後、休み時間は洞木さんが率先して一緒に居てくれたから、
何人かずつくるクラスメイトとの会話は問題なかった。
授業中は、聞かれた質問を少しずつメールで返事をする。
紫のロボットはエヴァンゲリオンという名前で、
襲ってきたのは使徒と呼ばれるもの。
でも、詳しいことはなにもわからない。
エヴァンゲリオンは人と同じで武器を使うか手足で
叩くことができるだけ。ナイフとか銃とか、武器は色々ある。
パイロットに選ばれる基準とかは秘密。
だいたい、答えたのはこれくらい。
たぶん、これなら問題ないと思う。
そして、お昼休み。
お弁当、渡さなくちゃ。
「碇さん、一緒にご飯、食べない？」
洞木さんが誘ってくれた。
「ありがと。あの、綾波さんも一緒でいい？」
「え、綾波さん？ かまわないけど、知り合いだったの？」
「うん」
そのまま、お弁当を持って綾波さんのところへ。
「はい、お弁当」
「…ありがとう」
「洞木さんが一緒にご飯を食べようって」
「…碇くんも一緒？」
「うん」
お弁当を手に持って、そのままボクと一緒に来てくれた。
机を並べて、３人でお弁当を食べる。
パクパク
…気のせいか、注目されてる気がする。
どうして？
「あの、洞木さん？」
「な、なに？」
「なんだか、こっちを見てる人が多い気がするんだけど」
「どうしてかしらね…はは」
なぜか引き攣った表情をしている。
パクパク
「綾波さん、美味しい？」
「…えぇ」
うん、よかった。結構、がんばったもん、今日のお弁当。
あれ？ 洞木さんが固まってる。
「洞木さん？」
「…」
「洞木さん？」
「な、なに？」
「ご飯食べないと、休み時間終わっちゃうよ」
「そうね、早く食べなくちゃ」
なんだかギクシャクした動きのまま、お弁当を食べる。
どうして？
ボクも綾波さんも残さずお弁当を食べ終えた。
「…ごちそうさま」
そういって、綾波さんは自分の席に戻った。
時計を見ると、そろそろ休み時間が終わろうとしている。
「休み時間、終わりだね」
「そ、そうね」
洞木さんもボクも、並べた机を元に戻して授業を受ける準備を整える。
さっきからクラスの雰囲気がザワザワしてる。
なんだかイヤな感じ…。
ガラッ
突然、扉が開いて、不機嫌そうな表情の黒いジャージを着た
大きな男の子が入ってきた。
なぜかデジタルカメラを持ってる男の子と、何か話をしていたと思ったら、
ボクの近くに来て見下ろすように睨む。
背の高い男の子。ちょっと後ずさりしてしまう。
どうしてそんな目でボクを見るの？
「あの、何か用？」
「おう。転校生、でかいロボットのパイロットなんやてな。
ちっと付き合ってもらおうか」
…どういうこと？
「エヴァのパイロットだから用事があるの？」
「そうや」
カタ
皆が注目する中、ゆっくりと綾波さんがボクの脇まできて
黒ジャージの男の子をジッと見据える。
「なんや、綾波。お前に用事はあらへんで」
「…エヴァのパイロットに用事があるのでしょう」
「お、おう」
「…用件は何？」
静かな声が響く。
単純な状況確認の言葉。
その言葉が教室内に染み渡り、物音が消える。
静まり返った中、黒ジャージの少年が口を開いた。
後書き
やっと学校生活開始です。
ミサト、レイ、シンリの共同生活についてはご想像にお任せします。
できれば外伝でも書きたいところです。
さて、転校初日ですが、ものすごーく不機嫌そうな謎の黒ジャージの
少年と険悪な雰囲気に突入です。（＾＾；）
全開のサキエル戦が終わって、この日はちょうど３週間目。
イベントは盛り沢山。
アスカ 「ちょっと！！！！！ 私の登場シーンはどーしたのよ！」
ＹＯＫＯ「…（あっちゃ〜）」
アスカ 「ＮＥＲＶ本部からの依頼で第三新東京市に移動するって話
忘れてるわけじゃないんでしょうね！！！」
ＹＯＫＯ「それはちゃんと計画が水面下で行われている。
だけど、まだエヴァキャリアーが完成してないからね。
空路は無理だから、海路ってことになるわけさ」
アスカ 「だったら、すぐに出発すればいーじゃないの！」
ＹＯＫＯ「世界にたった３機しかない、しかもそのうち最強の性能を発揮している弐号機を
護衛もつけずに輸送なんてできるわけがないだろ？
ＵＮ軍が誇る太平洋艦隊がドイツに到着するまで出発はできないのさ」
アスカ 「…第３新東京市への到着はいつなの？」
ＹＯＫＯ「なにせ、エヴァを運べるのは大型タンカークラスになるからね。
移動速度は毎時１０〜２０ノット程度。えらく遅い、遅〜いんだね。
超伝導推進船なら５０ノット／毎時以上の速度はでるけど、何万トンもある
船でそんな推進機関を搭載しているものがあるわけもない。
まぁ、早めに見積もっても第３新東京市到着は１〜２ヶ月は先になる」
アスカ 「作者の悪意を感じるわ…何か企んでるでしょ」
ＹＯＫＯ「使徒の襲撃タイミングは原作通りだし、人類は原作以上に前向きに
がんばってる。使徒相手に三味線を弾いているような余裕もない
状態なのに、意味もなく弐号機到着を遅延させる理由はない」
アスカ 「…私が守るって決めたのに」
ＹＯＫＯ「”私がエースパイロットなのよぉ”とか言って、己がプライドを賭けて
活躍したい、とか言うのかと思った」
アスカ 「あんた、バカ？ そういう戦略、戦術的思想の欠片もないような
セリフを私がいうわけないでしょ〜？
頭の回転が遅いあんたにもわかりやすいように説明してあげるわ。
陸上戦闘で言えば、私の操る弐号機は戦車。
攻撃と防御の要、主力兵装ってこと。
で、零号機、初号機は戦闘能力から言って機械化歩兵。
あくまでも戦車を支援する補助兵装って扱いね。
そう考えれば、私の…弐号機のいない現在の状態がどれだけ
危険なことかあんたにもわかるでしょう？」
ＹＯＫＯ「敵兵力を相手に、歩兵だけで戦うってことかい？」
アスカ 「そーいうこと。戦車＋歩兵の部隊で戦えば、勝てる戦いも、
歩兵だけじゃ、よくて相撃ち、悪ければ一方的に殲滅されちゃうわ。
補助兵力だけで戦闘をする状況なんて、一刻も早く改善しなくちゃ駄目ね。
それに戦車だって、歩兵の支援がなくちゃ全力で戦えないのよ」
※戦車はものすごーく視界が悪いから、周囲の状況はほとんどわからない。
となりで味方がやられたって判らない。分厚い装甲と自分が立てる
騒音のせいで。（正面以外は通信で確認するしかない、ということ）
だから、歩兵が接近してきて攻撃してくるのだって、ほとんど対応は
できない。（正面から撃ってくるなら別ですけど、そんな歩兵はいない）
そんなわけで、戦車の周囲を守る歩兵部隊は必要不可欠なわけです。
ＹＯＫＯ「だから、主力部隊のアスカちゃんは、第３新東京市に行きたい、と」
アスカ 「そーいうことよ。だから、ほら、エヴァキャリアーを早く作らせて、
私を第３新東京市に運びなさい」
ＹＯＫＯ「…面倒見のいいお姉さんだね」
アスカ 「へ？」
ＹＯＫＯ「いや、なんだか、そんな気がしたんだけど」
アスカ 「こ、根拠のない話なんてするんじゃないの！
とにかく、私の到着を早くするのよ！」
…顔を紅くして行っちゃった。（＾＾；）
さてさて、アスカの到着スケジュールかぁ…。
調整はゲンドウ氏にやってもらうしかないとして、アスカの宥め役は
誰にやってもらうか…。
ゲンドウ「…問題ない。全ては計画通りに進んでいる」
ＹＯＫＯ「サキエル戦に基づいた計画は、でしょう？」
ゲンドウ「文句があるなら、データを渡せ」
冬月 「穴だらけでどうとでも解釈できるような死海文書だけで計画を
立案できるわけがない。それは君もわかっていることだろう？」
ＹＯＫＯ「はぁ、仰る通りですぅ」
ゲンドウ「全ては心の中にある。今はそれでいい」
ＹＯＫＯ「ところで、リツコさんとは仲良くしてます？」
ゲンドウ「…問題ない」
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