さて、波乱の第８話、スタートです。
それにしても加持さんの印象、最低ですねぇ。（笑）
原作通りの行動をさせただけだったんですが…。
どうなることやら…、シンリの推測を聞いたゲンちゃん、
どんな行動に出るんでしょう？（＾＾；）
リツコさんの抑止力に期待…でしょうねぇ、やっぱり。
ジェット・アロンのジオフロント入りから数日後。
太平洋を航行中のＵＮ軍太平洋艦隊に向かって、４機の護衛ヘリを従えて
大型ヘリが第三新東京市から飛び立った。
「ミル５５Ｄ輸送ヘリ。
こんなことでもなけきゃ一生乗る機会だろうね。
ＮＥＲＶに所属している特権って感じかな。
な、碇」
とっても嬉しそうに相田君はデジカメで撮影をしている。
ヘリコプターに乗るのなんて、確かにそうあることじゃないとは思うけど、
なんで、そんなに嬉しいのかな？
「毎日、同じ山ん中じゃ息苦しいと思ってね。
たまの日曜だからデートに誘ったんじゃないのよん」
キッチリ、ＮＥＲＶの制服を着て凛々しい感じのミサトさん。
隣のマヤさんと違って、ぜんぜん緊張してなくって、
リラックスしているのが対照的。
「えぇ、そんじゃ今日はほんまにミサトさんとデートですか？
この帽子、今日のこの日のために購うたんです、ミサトさん♪」
「あら、似合ってるわよ、鈴原くん。
マヤちゃんもそう思わない？」
「え、は、はい」
マヤさんは一人、書類と睨めっこして、それに没頭している。
何度も何度も同じ書類を見ているけど、どうして？
「今から緊張してると後が続かないわよ。
だいたい、リツコの代理ったって、実際に指揮すんのは弐号機に
随伴してきてるドイツ支部の人達なんだから」
「それはそうですけど、先輩に代理を任されるなんて、
私、初めてで…」
もう書類の内容など暗記しているに違いないのに、どうしても確認を
繰り返してしまうのは、性格ゆえだろうか？
…豪華なお船で太平洋をクルージング…かぁ。
５人を乗せたヘリの眼下一杯に海が広がり、そこに大小様々な
船が綺麗な輪形陣の形態で航行している。
中央には１００万トンクラスの大型タンカーが３隻、航行しており、
周囲に見える艦隊はその護衛に徹しているようであった。
装飾性皆無、ネズミ色で無愛想な軍艦ばっかり。
出発前にミサトさんが言っていた言葉を思い出して、ちょっと溜息が出る。
「おぉ、空母が５、戦艦が４、大艦隊だ。
ほんと、ＮＥＲＶに入ってて良かったよな」
「これが豪華なお船？」
鈴原くんもちょっと残念そう。
やっぱり、「豪華なお船でクルージング」と言われて、軍艦を想像
する人って少ないと思う。
「正にゴージャス、国連軍が誇る正規空母オーバー・ザ・レインボウ」
「大きな船ですね」
上空からは針のように小さかった空母も、近付いてみれば、
全長３００ｍ近い巨大な船だったことがわかって驚いた。
「よくこんな老朽艦が浮いてられるものねぇ」
「いやいや、セカンドインパクト前のビンテージモノじゃないすか？」
下の空母を見ても、別に手入れはちゃんとされてて綺麗に見えるけど。
ミサトさんと相田君の会話の意味がわかんなくて、横を見てみたら、
ボクと同じように鈴原君も訳がわからない、って表情をしてた。
上空をホバリングしながら着陸態勢に入るヘリを艦橋から眺めている男が
帽子を少し持ち上げ、その姿を視界に入れてボソッと告げる。
「アスカ嬢ちゃんの恋人が来たようだな」
「ＮＥＲＶの作戦部長、並びに技術部長代理とチルドレン３名が
搭乗しているはずです」
「艦長！！！」
まったく口調を変えずに告げられた言葉に、艦橋の窓際でヘリを
見ていたアスカが ブンッ と音が聞こえるのではないか、という
勢いで振り返って非難の声をあげる。
「…違ったか」
「 と・も・だ・ち。もぅ、何回も説明したのにワザとらしい」
「あと、５分も時間はないですよ、お嬢さん」
副長が笑顔を堪えながら、ソッと手鏡を渡すと、
ひったくるように、それで最終チェックをして、アスカは
艦橋を後にした。
バタン
「…ワシにはどうしても、あれが”ただの”友人を出迎える態度には
見えんのだが」
「同感です」
真面目腐って副長が答えるのを聞いて、それまで黙っていたクルー達が
白い歯を見せて、笑い始めた。
「あんまり笑わせんでください。これでも真面目な顔してんの
けっこう疲れるんですから」
「それにしても、どんな子なんですかね、アスカの相手」
「…乗艦報告を兼ねて、艦橋に挨拶に来る際に見ればよい。
あくまでも自然に視界に納める分には、私も注意はしません」
「またまた、副長だって気にしてた癖に固いですな」
「性分ですから」
「まぁワシも気にはなるが、みんな、ボロは出すんじゃないぞ」
「「「諒解」」」
着陸したヘリから、ミサト、マヤ、トウジ、ケンスケ、シンリの５人が降り立つ。
甲板上にはＵＮ軍の様々な戦闘機の数々が待機状態にあり、多くの
者達が忙しそうにその整備等に追われる独特の緊迫感は、この船が
軍艦であることを自己主張し続けている。
嬉しそうにデジカメで撮影をしているケンスケのあまりのはしゃぎ様に
ちょいと引き気味の一行は、周囲の目を気にしながら歩いていた。
「シンリ♪」
元気さ一杯の澄んだ声に、見上げてみると、黄色のワンピースに身を包み、
陽光を浴びて金色に輝く長い髪を靡かせた蒼い瞳の少女、アスカが
艦橋上部のデッキから手を振っている。
やっぱりアスカって綺麗〜
軽く手を振り返しながら、ボクがそんなことを考えていると
横から３者３様の言葉が聞こえてきた。
「陽の光に輝く金色の髪、何気ない仕草にも潜む躍動感。
俺は今、猛烈に感動している！ もう誰もこの気持ちを
抑えることはできないんだぁぁぁぁ！」
「アレが惣流なんか？ なんや小さいの」
「アスカったら、気合い入ってるわねぇ〜」
そんなことを言ってる間に、軽やかな足取りで、甲板まで
降りてくると、少しだけ固い感じの口調でアスカが話し掛けてきた。
「空母オーバー・ザ・レインボウへようこそ。
まさか海の上で最初に合うなんて思ってなかったわ。
元気そうね、シンリ」
「えっと…はじめまして…かな、アスカ、
これからよろしく、ね」
なんだかとっても不思議な感じ。目の前でアスカを見たのは
初めてだけど、ビジフォンでしょっちゅう話をしてたせいか、
久しぶりに会えたって感じがする。
…ゴン
アスカが笑顔のまま、隣の相田君が持っていたデジカメを
手で押して、痛そうな音が響く。
「痛っ、惣流、いきなりそれはないだろ。
綺麗なモノを撮りたい、その写真家としての自然な欲求くらい
大目に見てくれよ」
「…はん、断りもなしに撮影なんかしてる奴にかける情けはないわ。
シンリ、少しは友達は選びなさいよね、この分じゃ３馬鹿の残りも酷そ」
相手の反論を許さない、と言わんばかりにバンバン叩き込む
小気味いい口調に、相田君は顔にデジカメのファインダーの跡を
付けたまま、どこか楽しそうに笑った。
横でそんなやり取りを見ていた鈴原君が安堵の溜息をつく。
「はぁ、やっぱ、この口の悪いとこ、容赦ないとこは
惣流やなぁ。なんか安心したわ」
「…何よ、それ」
心底、安心したかのような鈴原君の口調に、ほんの少しだけ
制裁を我慢したアスカが最後通牒を告げる。
「澄ました顔やと、いいとこのお嬢さんってな感じがして、
なんや別人みたいで気味が悪うか…」
ゲシッ、ズバッッッン
トウジが最後まで告げる前に一瞬で跳ね上がった綺麗な脚が
側頭部を蹴り上げ、懲りずに撮影を再開しようとしていた
ケンスケの首筋に蹴り降ろされ、清々しいほどの打撃音が響く。
「わいが何したっちゅーんや…」
「見事な体術…でもスカートでやらないほうが…」
甲板に叩き付けられてちょっと可哀想な感じの二人。
だけど、不思議と余裕がありそうに見えるのは気のせい？
「アスカ、せっかくキメてんのに雰囲気メチャクチャよん。
まったく堪え性がないのは相変わらずなんだから。
シンちゃんもそう思わない？」
「え、ボクですか？ えっと、その…ボクはアスカが
元気そうで嬉しいです」
鈴原君達と気持ちいいほど元気よくやり合ってるのを
見てるせいか、いつもの雰囲気が感じられて、自然と
笑みが浮かぶ。
「そ、そう？」
さっ、とアスカの白い肌に赤みがさす。
「あらあら、陽の光が強いのかしら？ すっかり日焼け
しちゃってるわねぇ、アスカったら」
「う、煩〜い！ ミサト、到着の報告、まだしてないでしょ！
はやく艦長に挨拶してきなさいよ！」
なぜか、すっかりその身を桜色に染めたアスカが押し込もうと
するかのように強引にミサトさんの背を押し、艦橋の入り口に
向かう。
不思議なことに、そんなやり取りをしている間に、
鈴原君も相田君もさっき、甲板でひっくり返っていたことなど
なかったかのように起き上がって一緒についてきていた。
そんな賑やかなやり取りの間も、マヤさんは緊張しているのか、
さっき話していた仕事のことで頭が一杯なのか、トボトボと
携帯端末と資料を握り締めて、ミサトさんの後を歩いていった。
ボク達と艦長達の互いの自己紹介が済むと、艦長が少しだけ
表情を崩して、ボク達の姿をざっ、と眺め口を開く。
「ＮＥＲＶ本部は美人揃いだと聞いていたが、正に薔薇のような美しさだな。
私もあと１０年若ければ、名乗りを挙げるところだよ」
「お世辞でも嬉しいですわ、艦長」
「男気ばかりの我が艦が華やいでいい」
「このたびはエヴァ弐号機の輸送援助、ありがとうございます。
こちらが非常用電源ソケットの使用書です」
「出航前の命令ではこの海の上で、弐号機を動かす要請なんぞ
含まれてなかったが、な」
「万一の事態に対する備え、と理解して戴けますか？」
「その万一の事態に備えて我々、太平洋艦隊が護衛しておる。
…出航前の我々なら、自信を持って、そう言えたんだが。
今の我々はせいぜい、宅配屋程度。そうだな？」
「サキエル戦、シャムシェル戦のデータが公表されたのは幸いでした」
「だが、これでも人類最大、最強の宅配屋だ、これ以上はない。
なにせ、太平洋艦隊勢揃い、残りの艦艇はない」
「重要性をご理解戴けて恐縮です。
では、この書類にサインを」
「まだ、だ。エヴァ弐号機、並びに操縦者はドイツ支部より
本艦隊が預かっている。君らはあくまでも客人に過ぎん」
「では、いつ引き渡しを？」
「新横須賀に陸揚げしてからになります」
「海の上は我々の管轄だ。今回の実験も我々の主導で行う。
…無論、来て頂いた以上、最大限の協力は要請するがね」
ミサトさんははじめから相手がそう言うのが判っていたかのように、
ごく自然に書類をしまい込み、艦長さんもそんなミサトさんの態度を
満足そうに見てる…。
「お心遣い、感謝します。ただし、有事の際には我々ＮＥＲＶの指揮権が
最優先となります。 とりあえずＮＥＲＶ本部と輸送艦の通信設備を
使ってデータリンクを行い、予定通り、情報交換を行いたいのですが、
そちらの準備はよろしいですか？」
「無論、我々の側に問題はない。 さっそくで悪いが…」
「伊吹です」
ちょっと固い感じのまま敬礼をするマヤさんに少しだけ艦長の
表情が和む。
「では、お嬢さん、輸送艦での作業、よろしく頼む」
艦長の合図で下士官が現れ、マヤは一緒に艦橋を後にした。
「ミサトさん、かっこえぇ」
「まるで、リツコさんみたい」
ＮＥＲＶではいつも、もう少しわざと砕けた雰囲気にしているけど、今日は
ＵＮ軍の皆さんと話をしているせいか、態度の一つ、一つに鋭さを感じる。
「…あいかわらず、凛々しいな」
艦橋の入り口から、どこか親しげな口調の男の人の声が突然、響いた。
「加持さん♪」
「どーも」
笑顔で艦橋にいる全員を値踏みするかのように視線を流し応える。
無精ひげ、緩めたネクタイ、腕まくりしているワイシャツ。
表情や服装で砕けた印象を作ってるけど…。
この人が加持さん…か。
「加持くん、君をブリッジに招待した覚えはないぞ」
「それは失礼、ですが、私はアスカのガードなんで」
そう言いつつ、視線がミサトさんを捉えて離れない。
…ミサトさん？
ボクから見ても、無理やり平静を装っている感じがする。
どうしたんだろ…。
なぜか、先ほどまでとは違ってぎこちない表情を浮かべたミサトは
形式通りに挨拶をして、強引に場を纏めると艦橋を退室した。
「薔薇は美しいが棘がある、だな」
「あの使徒を３回も撃退している、というのも頷けます。
…時代が変ったということでしょうか。
議会もあのロボットに期待していると聞いています」
「…なぜ、巨大な人型兵器なんだ？ パイロットがなぜ、あんな子供達で
なくちゃいかんのだ…。子供には笑顔が似合う…だが争いはたやすくそれを奪う。
武器があるなら、我々に回すべきなんだ」
「…」
シンリの横で嬉しそうに微笑んでいたアスカの姿が眩しかったゆえにか、
ＮＥＲＶ一行が去った艦橋の空気は少し重さを増していた。
艦橋を後にした一行は、輸送艦で行われている実験準備が終わるまで
食堂で時間を潰すことになり、先ほど合流した加持も同席している。
「いま、付き合ってる人、いる？」
「それが貴方に関係あるわけ？」
「あれ、連れないなぁ」
テーブルの下で、脚でちょっかいをかけながら、そんなことなど
まったく感じさせない自然さで、加持が問いかけ、不機嫌そうな
表情を隠そうともせずにミサトが仕方なく応える。
…ミサトさん、嫌がってるのに…無視して自分のペースを続けるなんて
やな感じ…。
「キミは葛城と同居しているんだって？」
「はい」
ボクはできるだけ気持ちを込めずに短く答えた。
「彼女の寝相の悪さ、治ってる？」
「「「「えぇぇぇぇぇぇぇ」」」」
「な、な、な、何言ってるのよ！！！！！」
探るように、全員の視線が自分に集まっているのを意識した上で
何気なく加持さんが告げた一言に、みんなが一斉に驚き、
ミサトさんが顔を赤くして身を乗り出して机を叩いた。
そんな全員の態度にもまったく動じずに、何事もなかった、と
言わんばかりに、加持さんは会話を続ける。
「相変わらずか、碇シンリくん」
砕けた人の良さそうな態度、けれどそれは偽りの仮面。
…まるで観客を前に技を披露する手品師のよう。
言葉を、仕草を操って、人の心を誘導する技術。
近くにいても、一歩離れた心。
「…ミサトさん…ちょっと気分が悪いので、医務室へ一緒に
行ってもらえますか…？」
近くにいたくないせいか、半分くらい本気で気分が悪くなってきて、
身体が指の先から冷たくなっていくのがわかる。
「…シンちゃん？ どうしたの？」
「船に乗るの初めてなんで…船酔いかもしれません」
「それじゃ、私が…」
アスカが心配そうな表情でボクを見てくれる。
少し、胸の奥が痛かったけど、「鈴原君達をお願い」と告げて
食堂に残ってもらい、ミサトさんと一緒に、外に出た。
あからさまに怪しかった行動に、アスカも鈴原君も相田君も
釈然としない表情だったけど、加持さんだけは、あくまでも
余裕の態度のまま変わらなかった。
「まいったわね…一応、リツコから酔い止めの薬、預かってるけど、
よほどのことがない限り、使わないようにって、釘刺されてるのよね」
シンリの頬に触れたミサトは体温の冷たさに表情を厳しくする。
「…あの…ミサトさん、ごめんなさい。
半分は…外に出るための嘘だったんです」
「…嘘って…」
「ミサトさん…あの加持って人に何か弱みを握られてるんですか？」
「え…よ、弱み？」
予想外のシンリの問いに、何を聞かれたのかすぐに理解できず、
鸚鵡返しに言葉を口にする。
「だって…ミサトさん、あの人と会いたくなかったんですよね？
あの人がドイツにいて、会うことがないから安心してたんですよね？
さっきも話をするのも嫌そうだったし…。
だいたい、嫌がるミサトさんに脚を絡めてきたり、昔の関係を
人前で暴露して見せたり…まるでストーカーじゃないですか」
「あの、シンちゃん？」
「言いにくいことなんですか？ そうですよね…。
でも、相手の言うがままにしていちゃ、ミサトさんが不幸になるだけです。
第三新東京市に戻れば、リツコさんが情報操作はしてくれるでしょうし、
父さんも、”不審者がいたら報告しろ”って。
それに冬月先生も”困ったことがあったら相談したまえ”って。
だから、ミサトさん…戻るまで、それまでは辛いでしょうけど耐えてください。
鈴原君と相田君にはできるだけミサトさんと一緒にいるように
ボクからお願いしておきますから」
「でも、ほら、加持ってリツコの友達でもあるわけだし、もう少し穏便に…」
少し、いや、かなり盛大にシンリの結論の方向が違ってきていることに
気がついたミサトは、なんとか軟着陸させようとしたのだが…。
「性犯罪の多くは顔見知りの犯行ですし、恋人や夫婦の間でも
暴力は立派な犯罪になります。まして、相手の気持ちも考えずに
一方的に自分の心を押し付けようとするなんて、最低です。
それに、さっきの感じからしたら、リツコさんも危ないですよね…。
…やっぱり、父さんに相談してみます。
リツコさんに手を出そうとしている不審者なら、父さんもすぐに
処理してくれると思いますから」
「碇司令が？」
「あ、と、とにかく、父さんに処理をお願いしますから」
シンリの論理についていけないミサトの言葉に、口が滑ったことに
気がついて強引に話を打ち切った。
碇司令が…？ まぁ、部下の色恋沙汰に口を挟むとも思えないし、
別に仕事上のミスもしてないから問題ないわよね…。
そんなことを考えたミサトは、とりあえずこの場は、話を終えることにした。
後で、シンリの誤解を解いておくべきだった、と何度も後悔することに
なるだが、無論、そんなことはこの時点では思いもしなかった。
「そういえば、シンちゃん、気分はどうなの？ さっき半分って言ってたわよね」
「あれ…？えっと、話をしているうちに治っちゃったみたいです」
「…そう。ま、それならいいんだけど、シンちゃんは普通んとこじゃ
治療できないんだから、注意してね」
「はい。心配かけてすみません」
Ｐｉ，Ｐｉ，Ｐｉ，Ｐｉ
『ミサトさん！ シンリちゃんが具合が悪いって本当ですか！』
ミサトが携帯端末を操作すると、マヤの緊張した声がいきなり響いた。
「話早いわね。ちょっと外で景色を眺めてたら良くなったから安心して。
実験は予定通りにお願いするわ」
『…わかりました。そろそろ、アスカちゃんと一緒に輸送艦に来るように
伝えてください』
「はい、はい」
ミサトは通信を終えると、シンリと共に飛行甲板へ向かい始めた。
空はどこまでも青く、大海原は波も穏やかである。
そこには、これから起こることの予兆はまったく感じられなかった。
さて、波乱の第８話、スタートです。
それにしても加持さんの印象、最低ですねぇ。（笑）
原作通りの行動をさせただけだったんですが…。
どうなることやら…、シンリの推測を聞いたゲンちゃん、
どんな行動に出るんでしょう？（＾＾；）
リツコさんの抑止力に期待…でしょうねぇ、やっぱり。