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キュィィィィィィイン
甲高いライデンの大型ガスタービンエンジンの限界まで引き出された駆動音。
ホバーユニットも運用時間の大幅に減少するために設けられたリミッターを解除され、
膨大な空気を吹き上げて、自重に匹敵する外部兵装を満載したまま
機体をゆっくりと浮上させる。
「トライデント級陸上軽巡３番艦”雷電”、発進します」
『発進を許可する。ミッション終了時間はこれから３０分後。
ただし、途中、機体重量の変化によっては若干の延長は可能だ。
…お前にはまだ教えることは山ほどある。
必ず帰ってこい』
「…はい」
管制室の耐爆２重ガラス越しに沢山の整備員達が見送っているのが見える。
向こうからは分厚い装甲に覆われた艦橋…といっても一人しか座れない…
の中にいるパイロットの姿など見えるわけではない。
それでも、自分達の姿を見ているだろう、と見送ってくれているのだ。
…帰ってきます…
無言で想いを告げ、ライデンに装備されている監視用飛行ユニットを
射出して、先に使徒の位置を探らせながら、慎重に機体を操る。
全ての策敵レーダー、追尾レーダーが機能不全に陥り、
監視ユニットからの映像をレーザー通信で受け取るモニターだけが
得られる情報の全て。
エンジンのオーバーヒート限界までの残り時間を示すタイマーが
刻々と時を刻むがその歩みはとても遅い。
「残り２５分。…長いなぁ…」
口にしてみて思わず苦笑してしまう。
勝てないと分かっているのに、出撃する自分は、愚者と笑われるだろうか。
けれど、不思議と、他人の評価など気にならなかった。
＊
郊外の丘の上、眼下に第三新東京市を見下ろせる場所に佇み、
遥か彼方、トライデント級陸上軽巡”雷電”が走り去っていった空を
鋭い視線で見る銀色の髪の少年が一人。
彼の紅い瞳は何を見ているのだろうか。
「使徒の能力は未知数、一種一形態とはよく言ったものだね」
自分が戦うほうがどれだけ気分が楽か…。
カヲルはそう考える自分に内心、苦笑していた。
いつもシンリ達がエヴァで戦うのをある程度、安心して『見て』いる
ことができるのは、エヴァの中が世界で最も安全な場所だからだった。
それが例え、使徒と直接、対峙していたとしても。
だが、今、マナが駆る”雷電”にはＡ．Ｔ．フィールドの守りはなく、
装甲は紙のようなもの。瞬間機動力は弐号機には遠く及ばず、
攻撃力はエヴァのハンドガン程度。
…今、戦闘可能な人類最強戦力なのだが哀しいほど非力だった。
だから、最悪の事態だけは避けるために、こうして、いざという時は
『介入』できるように、戦場全体を、使徒を『見て』いるのだ。
自分自身が戦いに行けないもどかしさ、見守るしかない立場。
わかっているつもりだったＮＥＲＶの大人達の心情の一端に
触れて、自然と表情が引き締まる。
渚カヲルと呼称される存在の、さして長くない人生の中で、
「好感」を持てた数少ない、指折り数えられる中の一人であるマナが、
蟷螂の斧で使徒に挑発行動をしようというのを傍観する、という
行為が心に及ぼすストレス。
それは彼の色の無かった心にまた一つ、小さな彩りを加えていた。
＊
アスカと綾波さんとボクは、保安部の人達に守られて
第一発令所に到着することができた。
途中、結局、幸いなことに何もなかったけど、ミサトさん達の
姿を見たときは、体中から重りが外れたような気がした。
「３人ともよく来てくれたわ。
特に何もなかった？」
「はい」
「済まないけど、今から３人にはすぐにエヴァにエントリーして欲しいの。
使徒が来ているらしいけど、今は停電中なせいで、全然、情報がない。
だから、シンちゃんの初号機で探って欲しいのよ。
…いい？」
「「「はい」」」
ケイジまでのルートはもう安全だから普通に歩いていけるって
言われて、アスカは肩にかけていた銃を外すと、ガードの
一人に近づいていった。
「護ってくれてありがと。これ、もういらないから返すわ」
「…そうだな」
アスカが両手で差し出した銃をガードの男の人は片手で受け取る。
「今度は私が護って…ねぇ、ちょっと、屈んで」
あまりにも自然な言葉に僅かにガードの人が屈んでしまったところで
かけていたサングラスを、アスカがひょいっ、と取っちゃった。
「へぇ〜、こんな顔してたんだ」
サングラスを外したガードの男の人は、いつものイメージと違って
なんだか、普通のお父さんって感じがした。
「何をする…返せ」
ガードの人は渡されたサングラスを受け取るとすぐにつけ直した。
どうしてかな？ なぜか慌ててる。
「顔も知らない人を護るっていうの、なんかイメージしずらいなって思ったの。
さ、シンリ、レイ、 今度は私達が護る番よ！」
アスカはというと、いつものように腰に手を当てて、胸を張って
自信一杯に、想いを言葉に乗せて送る。
その態度が、アスカの気持ちを表しているような気がして、
見ているととっても心が温かくなってきた。
「わかったわ」
「あ、待ってよ、アスカ」
言いたいことをパッパッと言って、そのまま歩いていくアスカに
遅れないように、急いで追いかけた。
部屋を出る時、ちらっと室内を見たら、ミサトさんが、なぜかとっても
楽しそうな顔をしてて、他の人の視線がガードの人達に集まってる。
…ガードの人達は居心地が悪そうに見えた。
＊
時速５０ｋｍで使徒の周囲をホバリングしたまま、３次元映像を採取。
その後、マナは、”雷電”の機体重量を軽くするために、調査を兼ねて
正面と直上から１発ずつ、３００ｍ地下までも完全に破壊する地表貫通ミサイルを
叩き込む。
しかし、正面から突入したミサイルは失速して墜落。
上から重力加速を上乗せして急速落下したはずのミサイルは、かなりの
速さで激突するのを「肉眼で視認」できてしまった。
ドゴォォォォン
本来ならあり得ない状況。
上から超音速で突入したミサイルを視認するなど不可能なのだ。
せいぜい、一瞬で通過した姿を残像混じりに一筋の光として
見るのがやっとのはず。…なのに認識できた。
極限まで追い詰められた人間が見せる瞬間的な集中力によって
見えたのではない。
流れるような操作で、”雷電”に先ほどの映像を表示させるが、
最終速度は１００ｍ／ｓ。
それでは、４秒ほど自由落下したモノと変わらない。
理由は不明だが、使徒の近くでは速度が殺される…のだけは
間違いなさそうだった。
１発が使徒の上で、１発が地面上で爆発して爆圧を叩き込むが
使徒の動きはまるで揺るがない。
更に４発叩き込む。工学的に脆そうな膝の部分に全部集中して。
ドコーン、ドコーン、ドコーン、ドコーン
今度は若干の速度低下だけで、膝の部分にイメージホーミングで
正確にミサイルが連続で叩き込まれた。
…しかし、エヴァにも匹敵するほどの太さがある足は
かなり頑丈なようで、やはり、まったく損害は出ていないようだ。
「手持ちの最大火力で一番脆そうなところに攻撃しても
全然、効果がない〜。これじゃ勝負が始まらない、っと」
手持ちのミサイルランチャーは両方とも撃ち切っていた。
後は、機体上面に装備されている殲滅攻撃用大型ミサイル４発と
リニアＣＩＷＳ、それと主砲の大出力レールガンだけ。
他にデコイユニット等もあるがこの際、それは関係ない。
これならペイント弾で表面に落書きでもしたほうが
マシかもしんない…そんな気がした。
＊
「神の意志に逆らう輩めぇぇぇぇぇ」
キン、キン、キン、キン
闇の中を複数の作業者風の服装をした者達が走りながら拳銃を撃ち、
追いかけてくるグラシャラボラスの丸い機動ユニット達を止めようとする。
だが、聞こえるのは跳弾して壁に当たる乾いた音だけ。
どんどんと数を増してくる勢いは些かも衰えることがない。
肉体が限界に悲鳴をあげても鬼の形相でそれを無視して懸命に走る。
だが、曲がり角の向こう側を見た先頭にいた者が恐怖に歪んだ表情のまま、
叫び声のような警告の言葉を発した。
「駄、駄目だぁ！！！！」
彼らの前に、更に多くの機動ユニット達が待ち受け、中央の４．７２ｍｍ
ミニガンの銃口が何の前触れもなく、一斉に火を吹いた。
ズガガガガガガガガガガガガン
狭い通路、逃げ場なく撃ち込まれた４．７２ｍｍの鉛弾。
それは、信念を持って現世にしがみ付く邪悪な輩に死の安らぎを
与えようと画策していた彼らを、物言わぬ肉塊へ還す。
驚愕に歪んだ顔の断片が飛び散り、壁に張り付いている。
千載一遇のチャンス…彼らを動かした誘いの言葉。
…それは甘く耐え難い魅力を含んだ猛毒。
言葉の意味を理解したつもりになっていた者達がその言葉に踊らされ、
ジオフロントの各所で新鮮な肉塊を提供することになった。
…扇動者の思惑通りに。
ＮＥＲＶの内情を暴こうと…隠されれば暴きたくなる、
危険であるがゆえに勝ち取った情報に価値が生まれると
信じる報道関係者達。
世界中の富を集めて神に逆らう愚か者に神罰を与えようとする
新興宗教関係者達。
ＮＥＲＶ本部の秘密主義に苛立ち派遣された各国諜報部員達。
掴まっても未成年だから大丈夫などと唆され、
アルバイト感覚で話に乗った第二東京の若者達。
広大なジオフロントに一体、どれだけの招かれざる者達が
招待されていた、というのだろう。
彼らは自らの信念ゆえに、理想ゆえに、無知ゆえに、悪魔達の
甘い言葉に耳を傾けてしまった。
木を隠すなら森の中…１本の木を隠すために森を作るような行為。
哀れな供物としての役割を担っているなどとは、彼らは気付かなかった。
生きることに必死だったから。
…それが死を先延ばしにするだけの作業と悟っていても。
＊
ズシィィィン、ズシィィィン
マトリエルは長大な足をゆっくりと動かして、１歩ずつ着実に歩く。
足を動かして、地面すれすれの胴体部分をスイングさせるように。
蜘蛛のように…というよりは、試作品の出来の悪いロボットの
ようにたどたどしい歩みだった。
「…ん？」
山々の起伏があるのに、マトリエルは胴体を高い位置にして
乗り越えていくのではなく、起伏に沿って滑るように
４本の足を動かして、第三新東京市を目指している。
あれだけ足が長いのに、どーして胴体位置を高くしないの？
したほうが山越えは楽…ってことはしたくてもできない？
そう考えた瞬間、思わずニパッと笑ってしまった。
同時に、アスカに以前、「マナって陰険だからそーいうこと、
ぽんぽん思いつくのよ」とからかわれたことまで思い出して。
「もぅ、私は別に”陰険”じゃないもん」
誰も聞いてはいないのだが、つい、自己弁護の言葉なんぞを
口にしたりしてから、両手に持っていた大型ミサイルが入ってた
ランチャーユニットを２つ、マトリエルの進路方向…
胴体が通過する位置に放り投げた。
ズシィィィン、ズシィィィン、ガリガリガリ
マトリエルが胴体を移動させると、地面との間にランチャーが
挟まって、ほんの僅か…そう、本当に僅かに移動が阻害された。
苛
「…残念。嫌がらせにもならな…いぃ！？」
ジュルジュルジュルジュル
マトリエルは何か思うところがあったのだろうか。
地面に埋まったマナが投げたランチャーの上に胴体を移動し、
下部の目から涙…のように見える黄色い液体をどんどん
溢れさせて、ランチャーをあっという間に溶かしてしまった。
「…？」
ランチャーが溶かされ、なくなってしまうとマトリエルは
何事も無かったかのように、ゆっくりと移動を再開し始めた。
「…なるほど」
マナはペロリ、と舌を出して乾いた唇を舐めて笑みを浮かべる。
初めて自分の行為で、使徒から反応を引き出したのだから。
しかも、求めていた行動停止、というバッチリなモノを。
ディスプレイを操作し、使徒の侵攻方向と、戦自が集めた
ＮＥＲＶの設備の配備状況を見て、次の作戦を思いつく。
一緒に、レイの「劣った戦力で戦うために戦術を工夫するのは
正しい選択よ」というフォローの言葉も記憶から引っ張りだして。
「うん、うん。まともに戦える戦力をくれないのがいけないんだから。
…わたしだって好きでやってる訳じゃない♪」
エヴァと戦うたびにいろいろ戦術を工夫すると、
アスカから「陰険」とか「せこい」とか文句を言われたのだが
そのたびに自分を正当化しようと反論したものだった。
でも、ちょっとだけ…かなり…”雷電”の戦闘力不足が
寂しかったのも事実。
…どうもアスカの言葉はグサグサとマナの繊細な心を
傷つけていたようだった。
＊
「一体、何体いるの、こいつら！」
ダーン…ボンッ
別のところでウェートレスの格好をした女性が手に持った拳銃から、
対物徹甲弾を撃ち放って、近寄ってきた機動ユニットの
一つを粉砕し、強制的に停止させる。
「知るか！ ちぃ！ また隔壁だ！」
コックの男が道を閉鎖している隔壁を前に絶望の声をあげる。
…彼らはＣランクのＮＥＲＶ職員だった。
知っていたのは自分達が移動を許可されるエリアがどこか、ということと
ＭＡＧＩの管理下において隔壁閉鎖がされた場合の退避方法など。
だが、停電時に自分達が許可されていないエリアを移動する際のルートは
確認していたものの、まさか、電力が切断された状態で隔壁が閉まるとは
考えていなかった。
…時田が命じて極秘に設置させた停電時における隔壁閉鎖機能は
一部のＡランク職員以外は知らず、下位の職員が自分の担当エリア外を
移動していることは通常はあり得ないことから問題なし、とされた
ものだった。
知らなかったから、彼らはこんな状況に陥ることは想像できなかった。
…しかし、途中にあった退避ルームに入って復電を待つわけにはいかない。
自分達が許可エリアを抜け出したことがバレれば、内通者として
処理されるのは確実だからだ。ＮＥＲＶがそういう面で厳格なことは
彼らは当然だが良く知っていた。
「早く開けてよ！！！ あぁっもうっ！」
ぽーん、ころころころ、ドゴォォォォン
数少ない対物手榴弾を投げて、集結し始めていた機動ユニット達を
薙ぎ払う。重心が低く装甲が厚いため、それでも止められないが、
誤射を防ぐために、爆風が収まるまで認識機能が働かず、攻撃を
抑止できる。
ガン、ガン、ガン、ガン
残り少ない対物徹甲弾で１台ずつ破壊し、なんとかこの場の
安全を維持する。
ギリギリギリギリギリ、ガッゴーン
「開いたぞ…」
男が疲れた様子で隔壁の向こうを見る。
そこには見慣れた文字がある。「Ｄ５−５地区」
ここが地上から５層目にある地区の一つであることを示す標識だ。
普段なら地上まで３分とかからない場所。
…だが、彼らは勤務していたＤ６−２地区からここまで
移動するのに、対物手榴弾を３つ、対物徹甲弾を２４発使っていた。
…互いの残弾数を確認し合う。
ウェートレスの女性が持つ拳銃が残り３発、コックの男が持つＳＭＧが
残り１４発、対物手榴弾は残り２発だけだった。
通常の対人用の弾ならあるが、それはこの場では何の役にも立たない。
本来ならとうの昔にこんな場所は通過していたはず。
余裕をもって地上に出るだけの装備を準備した…はずだった。
隔壁が閉まっていさえしなければ。
「「…」」
チュイン
遠くから微かに集まり始めるグラシャラボラスの機動ユニット群の
移動音を聞いて、２人の心が絶望の色に染め上げられていく。
残酷でシンプルな計算式が導き出す未来の確実な死。
…動けないまま、彼らは少しずつ心が壊れていくのを自覚していた。
＊
「一般に火薬の中でも威力が高いＣ４の類は雷管による点火以外では
直接、火の中に放り込んでも爆発はしない〜、でも…」
リニアＣＩＷＳ、全弾、集中射撃。
ズバババババン
第三新東京市の外輪山のカモフラージュをされている１２００ｍｍ
ロケット砲群の外装の一部をリニアＣＩＷＳから放たれた飛礫が
剥ぎ取り、内部にある大量のロケット弾と発射装置を露にする。
ズシィィィン、ズシィィィン
マトリエルが歩くのを慎重に見極める。
長い足を動かし、ゆっくりと、１歩ずつ。
次の１歩が先ほど、外装の一部に穴を開けた偽装山へと近づく…
その瞬間を待って。
今だ！
「主砲発射ぁ！」
ズキュゥゥゥゥゥゥゥン
”雷電”の放った主砲…大出力レールガンが放った砲弾…
大出力の電磁力によって帯電した砲弾が先ほど、開けた穴の中に
飛び込み、ロケット弾を次々に貫通し、更にあまりの高速に
衝突した瞬間、熱エネルギーへと変換され、ロケット砲群が
一気に高温に包まれる。
しかも、帯電した砲弾は雷管の役割を担い、ロケット弾の
爆薬であるＣ４を無理やり、起爆させてしまう。
ドゴォォォォォォォォォォォォン
ロケット弾が次々に連鎖爆発し、外装どころか埋め込まれた山ごと、
吹き飛び、高さ１ｋｍにも達する巨大な噴煙を吹き上げた。
ズシィィィン、ズ…へこっ
マトリエルが足を下ろすはずだった山がなくなってしまい、
長大な足が何も無い空間を踏み外して、全体の体勢まで僅かに崩れる。
苛
「あぁ、なんという不運♪ あれほどの爆発ならば使徒も
損傷を受けたかもしれなかったのに〜」
心にもないことを口にしたまま、無様に足を踏み外したマトリエルの
動向に全神経を集中する。…冷や汗が背筋に流れる。
挑発…だがそれを、世界で一番危険な相手にやっていることを
自覚しているからだろう。
少しでも心を軽くしようとしていないと恐怖に心が潰れてしまう。
次の瞬間に、放たれた加粒子砲で消滅するかもしれない。
その可能性は決して低くなかった。
溶
マトリエルの下部の目から少し、先ほどの黄色い溶解液が零れ落ちる。
…だが、それが滴り落ちようとした時、僅かに空間が蜃気楼を
起したかのように歪むのを見て、マナは”雷電”を非常用スラスターを
使って、機体をスライド機動させる。
火器管制装置も、操縦支援装置も何も警告していないが嫌な予感があった。
ヒュ〜ン、ジュァァァァァァ
溶解液の雫が前触れなく、”雷電”のいた位置に向かって放たれ、
亜音速で飛翔したそれが、背後の山に着弾し、一瞬で山に数百メートルの
大穴を穿った。
「溶解」という概念自体を笑い飛ばすような現象。
着弾した場所も、ＮＥＲＶの偽装された兵器群だったのだが
その痕跡すら見つけるのが困難なほど、完膚なきまでに
溶かされていた。
苛
モニターを見ると、タイマーカウンターは残り１５分。
作戦オーバーまでの時間はまだまだ長かった。
「…さぁ…使徒さん。私にあと１５分、付き合ってね」
軽口を叩くが、表情からは笑みは消えている。
加粒子砲でなかった、という偶然は幸運の極みだったが、マトリエルが
放った溶解液の雫とて、被弾すれば一瞬で雷電は文字通り、消滅してしまう。
レーダーに映らない以上、全ては勘で避けるしかない。
ステップを間違えれば確実な死が待つ”雷電”とマトリエルが踊る輪舞曲。
この世で最も危険なダンスが始まった。
＊
カツーン、、カツーン、カツーン、カツーン
「…ふん、馬鹿どもめ」
静かに垂直シャフトを登り続ける人々。
遠くから反響して聞こえてくる機動ユニット群のミニガンを連射する音、
悲鳴、空気に混じって漂ってくる血の匂いに気分が滅入る。
だが、彼らは機動ユニットから攻撃されることなく、安全に
脱出経路を移動していた。
…というのも、グラシャラボラスの機動ユニットには避けようのない
欠点が存在しており、その情報を彼らは知っていたからだった。
それは、「ＭＡＧＩの回線網に向かって攻撃はしない」ということ。
侵入者を撃破するのに、ＭＡＧＩの監視網を破壊しては本末転倒。
それに集中コントロールせず、各ユニットが個別判断して動く以上、
複雑な指示など出来るわけもない。
だから、ＭＡＧＩの通信ケーブルが走っているラインは攻撃対象から
外すしかなかったのである。
「あと１階層で地上−」
どすん
「おい、イキナリ止まるんじゃねー」
通路に降りた先頭の男が突然、立ち止まったせいで、後ろを
歩いていた者達が、衝突してしまう。
だが、先頭の男は文句に応えず、譫言のように「嘘だ…」と
言うだけ。
通路から出てきた男達が前方…彼らが目指す最後の垂直シャフトが
ある廊下のほうを見て…心が凍り付いた。
暗い通路に立つ黒塗りの装甲強化服を着た者達。
威圧効果を目的とした赤く輝く赤外線暗視装置付きのバイザー。
生物・化学兵器の使用下でも活動可能な呼吸機器。
両手で構えている重機関銃。
歴史の闇に消えたはずの地獄の番犬達だった。
「…貴様らは、旧東京と共に消えたはずだ！！！」
ダァーン…キィン
一人が放った銃弾が装甲強化服の胸の装甲に当たって跳ねる。
…だが、装甲には傷すら付いていない。
彼らからゆっくりと…忘れようとしても忘れることができない…
抑揚の消された個性のない機械変調された声が響く。
「治安維持法第１条ニ基ヅキ、コレヨリ暴徒ヲ殲滅スル」
ジャキ
装甲強化服を着た者達が一斉に手に持っていた重機関銃を構える。
セカンドインパクト後の食料が枯渇し、海外への移動手段も全滅した
世界最大の都市、東京…。今では旧東京とだけ呼ばれる場所では
多数の暴徒がその日を生きるためだけのために、食料を求めて暴走し、
既存の警察組織では治安維持すら不可能な事態に陥った。
そこで、当時の内閣は、治安維持法を復活させ、全身を装甲強化服で
固めた特別部隊を結成、各地の暴徒を鎮圧させたのである。
だが、食料の絶対数が１／１００程度しかない状況、しかもいずれ
食料が増産されるか、海外から入ってくる、という見込みもない中では
一時的に暴走を鎮圧しても意味がない。
…そこで、行われたのは暴徒の永久的な排除だった。
装甲強化服を着た特殊警察官と言っても彼らとて栄養状態は劣悪であり、
仕事がないときはタダの市民と変わらない。
全身をくまなく覆う姿は、人物を特定されないための措置でもあった。
…永久的な排除。
それは一方的だった。
人相手に対装甲車用の１２．７ｍｍ重機関銃で掃射を行い、集団でいることで
気が大きくなって暴走していた人々は、集団でいたが故に、紙を千枚通しで
貫くように呆気なく体に大穴を穿たれ、逃げることもできずにバラバラに吹き飛ばされた。
命中せずに近くを弾が通過しても衝撃波で肉が抉られ血が噴き出す。
区画単位で暴徒は永久的に鎮圧された。
政府による意図的な人口調整は、食料供給量と、人口のバランスが
取れるまで…結局、終わることはなかった。
だが、そのおぞましい血の歴史は、旧東京に正体不明機による
新型爆弾と当時は呼ばれたＮ２爆弾の投下によって、幕を下ろした。
一説には、治安が乱れ過ぎて手に負えなくなった日本政府による
自作自演とも言われたが真相は定かではない。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ」
ズガガガガガガガガガガガガン
侵入者達は恐怖を振り払おうと懸命に手に持っていた銃を撃つ。
だが、装甲に当たって鈍い跳弾の音を出すだけで何の効果もない。
そして、重機関銃の列が一斉に火を噴き、彼らは肉片に変わった。
余りにも呆気ない圧倒的な虐殺だった。
…動く者は一人とて残っていない。
しかし、彼らは重機関銃を構えたまま、前方を見たまま警戒態勢を解かない。
真ん中の一人が、前方を指差し、再び言葉を発する。
「コイツラハ囮ダッタヨウダナ…クルゾ」
カサッ
微かな音が遠くから聞こえる。
背景に溶け込み、己が身を闇と一体と化して迫る疾風。
液晶迷彩服を着た侵入者達だった。
ズガガガガガガガガガガガン
重機関銃が再び火を噴くが、銃自体の重さ故に、取り回しの速度が遅く、
端で構えた者の射線が効果的でなかった、という問題もあって、半数以上が
人間ではあり得ない動きで床を蹴り、壁を蹴り、天井を蹴って、彼らへと
殺到する。
交差しようとする直前に腕の先から伸びた高周波ナイフの輝き。
液晶迷彩服を着た者達…薬物強化され、人を越えた身体能力を持つ
…彼らは、自分達の勝機を確信した。
いくら装甲が強固であっても、高周波ナイフの切断力に耐えられるはずがない。
ナイフの形状をしていても、３０ｍｍの鉄板すら切り裂く能力があるのだから。
…だが、彼らの予想は現実とはならなかった。
装甲強化服を着た者達の一人が手に持っていたスイッチを点火したせいで。
装甲強化服を着た者達の前方、真横、後方、そして、天井にまで設置されていた
小さな丸い筒状の機械。…彼らが設置しておいた対物手榴弾が一斉に
起爆した。
ドゴォォォォォォォォォォン
通路上にいる全てを巻き込んで爆発が起こり、装甲車すら撃ち抜く破片が
乱舞する地獄が出現した。
咄嗟に装甲強化服を着た者を壁として利用しようとした液晶迷彩服を着た
侵入者も、四方から襲い掛かる破片の嵐の前には身を守れるはずもなかった。
…３分後…破片地獄が収まった後に動く液晶迷彩服を着た者は
一人も残っていなかった。
ガシャッ
装甲強化服を着た者達がゆっくりと起きあがり始める。
破片が食い込むのは防げても爆圧までは完全に中和できなかったのか、
全員、動きが鈍い。
他の装甲強化服の者より技量が低いのか、射撃が僅かに遅れた者に
全員の視線が集まり…周囲の中の一人が、近づいて指を胸に突きつけた。
「新入リ、撃ツコトヲ躊躇スルナ。
…貴様ハ闇ノ住人ダ。過去ハ忘レロ。
互イニ命ヲ賭ケタ戦イニ感傷ナド不要ダ」
抑揚を消された無個性な声。
非難しているのか、注意しているのか、抑揚が消された声からは
それを知ることはできない。
赤く威圧光を放つ暗視装置付きの装甲ヘルメット…。
言葉を浴びせられた者の視線が僅かに揺れる。
視線の先にあったのは侵入者の一人がもっていたらしい
血塗れになったデジタルカメラ。
…そこに何を見たのか。
僅かに逡巡した後、静かにそれを手にとった。
ギギギギギ、バキィィィィ
「…了解」
握り締め、そのまま潰し、返答の言葉を返す。
彼らは装備を担ぎ上げると重機関銃を抱え歩き始めた。
新たな”処理”を行うために…。
＊
非常用のディーゼルでエントリーを完了し、初号機とのシンクロを開始。
ケイジに入ってきたとき、父さん、作業員の人達と一緒に太いワイヤーを
引っ張って、手作業でエントリープラグをセットしてた。
「シンリくん、エヴァを起動して使徒の意識を探ってみて」
リツコさんに言われて、「でも電気が落ちて…」と聞くと、
「碇司令が準備してくれたわ。アナタ達がくることを信じて
手作業で、ね」って教えてくれた。
父さん達は、今は弐号機のエントリープラグのセットを始めてる。
…ボクが見ているのに気がついたと思ったら、ふいっ、と
視線を外して額に汗を流しながら、ワイヤーを引っ張る作業だけに
意識を戻しちゃった。
「ほら、シンリ！ 眺めてないでとっととエントリーしなさいよ！
碇司令の作業が終わったら、私とレイもエントリーするから」
…アスカが呆れた顔でボクを急かす。
そう。父さんも作業員の人達もリツコさんもボク達のことを
信じてエントリー作業を進めてくれていたんだから、
ボクもそれに応えないと。
心を静めて、エヴァと心を通わせる。
『…シンちゃん、今度の使徒はどんな感じ？』
外部を探る監視網が動いてないから、使徒のことを知る手段は
ボクと初号機が使徒と意識を触れさせることで、相手のことを
知る以外に方法がない。
ミサトさんの声も少し緊張気味に聞こえる。
意識を外に向ける。
ジオフロントが停電しているせいか、いつもより少しだけ
使徒の意識がはっきりと感じ取れる…。
…けど、これって…
『シンリくん！？』
”いろいろ働きかけてみたんですけど…この分だと駄目っぽいです。”
３分くらい、意識を触れ合わせて、語りかけてみたけど、
まるで反応してくれない。
『どういうこと？ イスラフェルの時のように、相手にして
貰えないのかしら？』
”なんか…そう、定年間近の”自分が法律”な警察官って感じで…。”
『…もう少し、分かり易く説明して貰える？』
うーん。分かり易い例えのつもりだったけど、
ミサトさん、リツコさんの表情を見る限り、よくなかったみたい。
”何かあっても自分の認識以外は認めなくて、前向きに何かをしようって
気が全然なくて、自分の認識が１００％間違ってるって証明されても
渋々としか動く気配を見せなくて、結局、何もしない…って感じですけど。”
…ボクの説明、悪かったのかな？
二人とも、なんだか、複雑な表情をしてる。
”…あ…あと、なんだか、ちょっと苛々しているみたいです。
こう…目の前を飛んでる羽虫を手で追い払おうとするのに、
旨く追い払えないって感じ…”
別に放置しておいても関係ないんだけど、いるととっても目障り。
当たれば呆気なく叩き落せる手をぶんぶん振り回しているのに、
ひょろひょろと、避けられて、どーしても当たらない…。
使徒のストレスメーターがぐんぐん上昇してくのがわかる。
『どういうこと？』
『あと５分でリニアカタパルトと、上の兵装ビルの一部との通信回線が
復旧できるわ。…多分、誰かが…ＵＮ軍か、戦自が
攻撃を加えているんじゃないかしら？』
『うちが依頼してないのに？
…まぁ、今、とやかく言っても仕方がないわ。
交渉の余地はまったくなさそうな以上、殺るしかない。
３機とも、できるだけの武器と盾を持って地上に射出。
シンちゃんは相手の攻撃のタイミングを見切って。
レイは射撃で援護、アスカはソニックグレイブ類を投擲して
使徒を攻撃すること。
近接戦闘は避けて、加粒子砲の類で撃たれることを考慮して
装甲ビル、兵装ビルを旨く使って。
バッテリーの残量は合計２０分。
使徒の攻撃パターンによっては撤退を指示するから、
リニアカタパルトの位置は覚えておくのよ』
”了解。”『『了解』』
油圧ロックボルトを、斧で壊して作業員の人達が外し、
後はエヴァの力で強引に拘束装置を外す。
後は、開かない武器庫の扉を引き千切って、中から
盾と射撃武器類、それとプログナイフを持つ。
零号機と弐号機もそれぞれで準備して、リニアカタパルトに
機体をロックして射出されるのを待つ…。
懸命に電源ケーブルの接続作業を続ける人達を見て、
急ぐ気持ちを落ち着ける…。
苛々してる使徒の意志を感じるほど、早く地上に行かなくては、と
思ってしまう。焦ってはいけないのに、なぜかその思いは
どんどん大きくなっていた。
＊
「クリスマスの時、ワインは主の血、なんて言われて、
初めて飲んでちょっと苦くて、思わず吹き出しちゃいました。
パンは主の肉、とか言われて、人肉嗜好な怪しい宗教とか
内心、思っちゃったけど、一緒に食べたケーキは美味しくて
感謝の気持ちはちゃんと持ちましたー！」
チョコチョコとマトリエルが動くたびに近くにあるＮＥＲＶの
偽装された兵器群を誘爆させて動きを邪魔し、次々に放たれる
致命的な威力を秘めた溶解液の雫を機動回避し続ける。
軽口をわざわざ口に出すマナの表情は、言葉とは裏腹に
余裕が感じられない。
「神社にはお正月しか行ったことがないけど、
お願いごとはしたけど、今年は奮発してお賽銭は
ちょっとだけ多めに入れましたー！」
ヒューン、ジュワァァァァァ
困った時の神頼み、といったところだろうか。
だんだん、正確さを増してくるマトリエルが放つ雫を、どんどん
ミサイルを放って機体を軽くすることで機動力を増して、
なんとか避け続けるが、そのたびに宗教関係者だったら
思わず眉を顰めるよーな言葉をぽんぽん、と口にする。
「誰も引き取ってくれなくて、忘れられて戦自に強引に採用されてぇ、
全然、いーことなかった気がしたけど、生きているのは先祖様の
おかげ、と思って、合同墓地に１回だけだけど、お参りにも
私、行きましたー！」
ズキュゥゥゥゥゥン…ドゴォォォォン
マトリエルの下に位置していた中距離戦略ミサイルのサイロに
主砲を撃ち込んで誘爆させて、マトリエルを炎で包む。
ダメージはまったくないが、多少なりとも挑発行為の足しになったのか、
返答の雫は、機動回避先を読んで放たれ、強引にホバーの出力を
引き上げることで辛うじて回避に成功する。
「もぅ、世界が滅んだら信仰する人、いなくなるんだから、
世界中の神様、孤軍奮闘、健気に戦ってる一人の少女に、
真面目に助力して！！！」
少しずつ、少しずつ余裕がなくなって行く回避行動。
マトリエルを引き摺り回し、第三新東京市周辺の偽装山の兵器類を
利用しての挑発行動も、あらかた破壊してしまったせいで
もう、品切れに近い。
稼動限界を示すタイマーが残り１分を切るが、まだ第三新東京市に
動きはない。アンコールに応えなくちゃ駄目かも…なんて考えて、
信仰心が全然ない典型的な日本人であることに、ちょっとだけ
後悔の念が浮かぶ。
でも、神の御使いであるはずの「使徒」と戦ってるわけで、
「神様」から助力が得られるか、といえば、かなり疑問だらけ。
こんな差し迫った状況なのに、そんなことを
思いつく自分を感じて、なんとなく…根拠はないけど、
死なないような気がした。
＊
「リニアカタパルト、電源復旧しました！
兵装ビルとの回線も一部、使えるはずです！！」
ケイジ内に技術者達の声が響く。
同時に作戦部のメンバー達が光ファイバーケーブルを使って
接続された兵装ビルを特定し、僅かに生きている外部カメラと
集音マイクを使って、状況の確認する。
「なんだぁ！？ Ｎ２爆弾でも炸裂したのか！？
そこら中、火の海だ！」
「いや、あそこ！ 戦自の陸上軽巡だ！ 使徒と戦ってる！」
「なんですって！？」
部下達の報告の声にミサトが驚きの声をあげる。
ノートパソコンに映る外部映像は、一面火の海と化して、
黒煙が立ち上り、まるでコンビナートが爆発したかのような
惨状を呈していた。
「リツコ！ 使徒の分析用設備、すぐに直らない！？」
『無茶言わないで！ あと何時間かは無理よ』
応えるリツコの声も緊迫している。
まさか、マナが戦っているなどとは想像していなかった。
使徒相手に勝てない、と連日、エヴァとのシミュレートで
教えてきたつもりだったから。
「３人とも、今からリニアカタパルトで地上に射出するわ。
射出と同時に全力で攻撃を開始して。
いいわね！」
「「「はい！」」」
零号機、初号機、弐号機がリニアカタパルトに乗り、
電磁力の力で轟音と共に地上へと射出される。
武器を握る手に力が入った。
＊
苛
マトリエルの周囲の大気がそれまでとは比較にならないほど歪み、
マナは、非常用リミッターを全て解除して、全力機動を行った。
シュパパパパパパパパパパパパパ
大量に生み出された黄色い雫が”雷電”のいる方向へと降り注ぎ、
限界を超える１５Ｇの高機動を行った雷電のリアエンジンに１発が
着弾し、瞬時にその部分が解けてなくなってしまった。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！」
ゴゴゴゴゴゴォォォォォォン
空中でバランスを崩した”雷電”が自動安定装置の奮闘も空しく、
融解した大地へと落下し、機体をバラバラにしながら滑り続けて、
地面を大きく抉って動きが止まった。
く…ぅ…
全身がバラバラになりそうな衝撃に顔を顰めながらも、
ディスプレイの表示を切り替えて、”雷電”を動かそうとする。
しかし、メインエンジン停止、ホバーユニット全壊、搭載ミサイルなし、
主砲の加速レールに捻れが発生し発射不能、緊急脱出装置すら
機体が歪んだことで作動不能になってしまっていた。
「…もう動かないのね…」
それでも、使徒を映すモニターだけは生きているのは皮肉だろうか。
次に放たれるだろう溶解液の雫が襲い掛かってくるとわかっていたのに
なぜか、目を剃らす気にはなれなかった。
「…」
しかし、先ほどまでの間隔ならとっくに放たれているはずなのに
攻撃は襲い掛かってこなかった。
「…どうして…？」
マナの呟きに応えるように青いカラーリングの零号機がライフルを撃ち込み、
弐号機が両腕に構えたバズーカから立て続けに大型弾頭が叩き込まれる。
そして、盾を構えた紫色の機体、初号機が強引に接近して、
マトリエルが放つ溶解液の雫を旨く別方向に反らしている姿が見えた。
モニターの隅を見ると、作戦開始から既に３５分が経過している。
「もう…５分の遅刻だぞ、シンリくん」
マナは役目を無事終えて、達成感に満ちた清々しい表情を向けた。
かくして、マナｖｓマトリエル、終了です。（＾＾）
いやぁ、近代兵器、弱い、弱い。（笑）
それでも、幸運と偶然に助けられまくったとはいえ、
使徒を３０分以上も止めたのは立派だったでしょう。
まぁ…被害は使徒が普通に暴れた時並か、それ以上ですが。
次回は、マトリエルｖｓエヴァ 前編ですのでお楽しみに♪
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