ふみゅぅぅぅぅぅぅぅん、今一つ調子が出ないよぅ。誰だ、地底湖なんて選んだヤツは！
特別試合とかで直前までＭＡＰ隠しやがって、おかげで機体の組み立てが中途半端じゃんかよぅ。
まあ、エーアストの旦那も、肩のグレネード（ＷＣ−ＧＮ２３０）も特殊ミサイル（ＷＭ−Ｘ２０１）も使い難そうだし、
その辺りはよしとするか。二脚限定対戦とかいって、結局重装二脚形態で出てきたけど、
肩の垂直ミサイル（ＷＭ−ＳＭＳＳ２４）が泣いちゃうぞ。
お互い肩武器が有効じゃないんで、手持ち武器の勝負になるんだけど、これはこっちが有利。
何せ、いつものＰＰｋ（ＷＧ−ＸＦｗＰＰｋ）。重装型なので、若干余裕が出来てるからだ。
あちらさんは１０００発マシンガン（ＷＧ−ＡＲ１０００）だもんねぇ。当たるけど火力の低いマシンガンと、
１発がでかいけど当たりにくいレーザーライフルか。まさか、この結果を予測してここにしたとか？
予言者でもいるのかねぇ、アリーナの事務局にはさ。
やっぱり、企画モノとはいえ、トップだけのことはある。あのアンファングって機体はバランス的にいい出来だよ。
腕も機体も悪くないんじゃ強い筈よねぇ。でも、こんな情報が制限されてる状況で、似たような機体での勝負なら
こっちが上だ。伊達にレイヴンになる前に………って、こんな事今思い出しても仕方がない。それより、集中しなきゃ。
また、ＰＰｋの光が闇に吸い込まれ…………おや、ヒットしたか。
そういえば、さっきから攻撃の手が緩くなってきたな、とは思ってたけど。ジェネレータが赤くなったか、
マシンガンの残弾がかなりヤバいか。何にせよ、今がチャンス！
攪乱の意味でＰＰｋを４発ほど乱射すると、ブースターを噴かす。肉眼で見えなかろうが何だろうが、
ロックオンサイトだけはごまかせない。近い！タイミングを合わせてブレードを振る。ヒット！！
よし、側面から入れた。このまま振り返らせてはいけない！絶対に対処できないタイミングでさらに斬りつける！
ムーンライト（ＬＳ−９９−ＭＯＯＮＬＩＧＨＴ）よりは劣るけど、今のＬＳ−３３０３も決して弱いブレードじゃない。
「悪いけどっ！そろそろ寝てちょうだいっ！」
『クッ！』
ブレード一閃、完璧に捉えた！動力系のラインにクリーン・ヒット！黒煙が上がる。
次の一撃を繰り出そうと構えた時、モニタ上に『ＷＩＮ』の文字が現れ、全てのトリガーがロックされる。
アリーナでは、基本的に既定の耐久ポイントを削り合うシステムになっており、片方がそのポイントを失った時、
双方の戦闘システムに中断用のトリガーロック信号が流されるんだった。
でも、ロックされたって事は…………終わった？勝ったみたい………実感が無いや………
「よう、今回は上手くいったじゃないか。」
控室に戻ると、そんな声をかける奴がいた。
「ハーイ、Ｌ・Ｄ。久しぶり、元気してた？」
顔見知りのレイヴンだ。こっちも久方ぶりの大きい勝利で気分がいい。軽い挨拶を返した。
「これで、景品の新型二脚パーツも持って帰るのか？」
「欲しいんなら、特別に格安で譲ってあげてもいいけど。」
「いらんね、俺は今の状態に結構満足してるんだ。」
まあ、彼、Ｌ・Ｄに限らず、大半のレイヴンは自分で組んだ機体に自信と愛着を持っている。
頭部や武器は必要に応じて替えざるを得ない時があるが、他はまず変わらない。
その為、今の私はかなり変わったタイプに見られてるわけだ。
出撃や試合の度に結構シルエットの違う機体に乗っているのだから、とーぜんか。
私自身は別に気にしないけどね。
「おめでとうございます、マリィさん。」
「んー、何が？」
ユーリが次のテストの検案書を持って家に来ていた。まぁ、家とは言っても、中流の集合住宅の一つだけど。
しかし、何が言いたいんだ、この女。
「何って、今日の特別試合のことですよ。開発室のみんなで見てたんですから。」
おい、そんなんで仕事は大丈夫なんかい？アンタ等。
「………………そりゃ、どーも。」
「でも、マリィさんって、ホントに結構強かったんですね。」
どーゆー感想じゃそりは。ケンカ売ってるの、お嬢さん？
「もう用はないでしょ。だったら、その書類置いて、とっとと帰りなさい。」
「ええ、もう用事も仕事もないですし、明日はお休みですし、折角だからお祝いしましょうよ。
とりあえず飲みましょう。」
お、おい、また、あの地獄を繰り広げる気か、アンタは？と、止めないとマズい……………
っておい、こら、人の家の冷蔵庫を勝手に漁るな！
「うーん、やっぱりビールしか無いですね。まぁいいか。飲みましょ♪」
こ、この娘は……………なんて、マイペースな…………
「…………ん、う〜ん、もぉ、飲めまひぇ〜ん……………」
またか、またテーブルに突っ伏して寝るのかアンタは。もういいや、今回は放っておこう。
私はベッドに潜り込んだ。心地よい眠気が襲ってくる。今日は疲れたからなぁ。
じゃ、お休み………………………………
……ん、ん〜。アルコールの入った状態で寝たので、ちょっち気怠い。寝ぼけ眼を擦りながら、
テーブルの上の物体を確認する。まったく、気持ちよさそうに眠ってるよ、この人は。
ベッドに載っけて、毛布を掛けてやると、こっちは気分を変えるためにシャワーを浴びにいった。
「ふぅ、気持ちいい。」
寝汗を流して気分をリフレッシュすると、とりあえずメールの確認だ。
ネストから依頼の斡旋が来てる。なになに……………『施設内調査』？何だろ、これ？
『施設内調査』。依頼主は…………クローム！？あんな大きなとこが一体何を？うーん、先を読もう。
当社と提携中の企業、ケミカル・ダイン社所有の共同開発施設内に置いて異常が発生した模様。
セキュリティシステムが正常に作動しない為、内部への潜入は非常に困難を極める。内部に突入し、
異常の原因を突き止め、可能ならばその原因を排除して貰いたい、か。
えーっと、何々、施設内に研究員が残っている可能性も否定できない為、生存者の確認も頼みたい、ねぇ。
結構身勝手な話だ。まず、自分とこでやってから依頼しなさいってーの。
で、報酬は…３００００Ｃか、うーん。生存者が居て、出撃が遅れたせいで
助からなかった、ってのは後味悪いよねぇ、知っちゃった以上は。日程は…………３日以内か。
仕方ない、受けておこう。今日にでも行けるかな？
「………そう言うわけで、機体の組み替え頼みたいんだけど。」
『はぁ、大変ですね、レイヴンのお仕事も。別に構いませんよ、補修のついでですし。
それで、どの様な構成ですか？』
「うん、それなんだけど、生存者の確認が出来る方法って無いかな？」
『うーん、そうですね。それでしたら、ここにあるテスト用のＨＤ−ＯＮＥに搭載されている
生体センサーを改造して、反応レベルを上げておきましょう。』
「すぐ出来るの？」
あんまり時間が掛かる様なら、悪いけどパスだ。
『ええ、それ程掛からないですよ。元々、その改造センサーの実験を知人から頼まれてましたので。』
ふぅん、そんなもんなんだ。いやー、ジェフが居てくれて良かった。じゃあ、構成は……………
頭部はそのＨＤ−ＯＮＥにするとして、腕は変わらず、ＡＮ−２５。
頭部を変更しても、それ程重量の差が大きくない。それなら腕武器はＰＰｋとムーンライトにしてもよさそうだ。
問題は肩装備だけど、今回はレーダーも使わないし、右肩に小型ミサイル（ＷＭ−Ｓ６０／４）、
左肩にはレーザーキャノン（ＷＣ−０１ＱＬ）といきましょうか。しかし、依頼でミサイル使うのも久しぶりか。
ブラッドウィドウに乗ってからは、あまりミサイルって使ってなかったからなぁ。
「……ってとこでお願いするわ。」
『分かりました。テストの日程は延ばしておきますよ。出来上がりは１５時ですかね。
それはそうと、ユーリ君知りませんか？』
「…………ここで寝てる。」
『…………そうですか。』
まったく、ホントに幸せそうに寝てるし。とりあえず放っとくしかないか。お疲れさん。
「結局、ユーリ君置いてきたんですか。」
うーん、ジェフの今の顔って、どう見ても呆れてるんだよね、これは。
「うん、そう。下手に起こすのも………ね。」
別に何かある訳じゃないけど、苦笑してしまう。
「では、気を付けて下さい。」
「はい、了解。」
そんなことは置いといて、さぁて、出発しようかね。
『それではお願いします、レイヴン。』
クロームのオペレータは落ち着いたものだ。ま、そんなことを気にしてもしょうがない。さっさと始めよう。
研究施設が見える。あの中に入って、異常の原因を調査、及び生存者の確認を行う、か。
やってみましょう。四輪の駆動音を立てながら、機体を走らせた。
正面入り口から入り込むと、とりあえず１階の捜索を開始する。生体センサーをレーダーと
連動するスイッチをオンにして、部屋の一つ一つに対してチェックする。
全く反応がない…………ガードロボットも機能してないの？おかしい……
なにか、とんでもない事態が起きているんじゃ…………
だめだ…………全く反応が無い。地上はパスか……………
「施設の地上部に反応が無いんで、地下に潜ります。」
『了解しました。』
とりあえず、近くに待機しているクロームのスタッフに連絡を入れると、
地下部に移動するためのエレベータに向かった。しかし、相手が大企業だと、
オペレータさんにも気を遣っちゃうね。まぁ、いい顔しといて損は無いか。
「ま、予想通りというか何というか。」
エレベーターの扉は開かなかった。電気の供給は続いているのだから、
配線か管理システムがいかれているようだ。
エレベーターの扉をブレードで斬り裂くと、モード変更、Ｃｒａｗｌｅｒ−Ｍｏｄｅにして、
エレベーターシャフトの壁面を下りることにした。うーん、アクロバティック。
１フロア分下りて、扉を破壊、壁を伝って通路に入り込む。ん？レーダーに点が浮かんだ。
何かいる！通路に眼を向けるが、照明は非常用のモノだけで、あまり遠くまで見えない。
行かなきゃ分かんない、か。また後でエレベーターを通らないとダメだろうし、このままで行くか。
「人ならいいんだけど、ね………………」
機体を走らせる。光点は、ＭＡＰと照らし合わせると大きな部屋のような……………
実験用の部屋かな？その中に二つだけ点がある。とにかく、中を確認しよう。
ドアが開かない。まぁ、エレベーターも動かなかったし、当然か。開閉用のロック装置を斬って壊す。
ドアを開けると、中の様子を確認する。
パッと見た感じ、研究施設とは思えない。でも、それ以上見てる暇は無くなった。
レーザー？二条の光線が走る。外れはしたが、明らかにこっちを狙ってる。やばい、反撃しなきゃ。
慌てて銃をかまえる。あれ？レーダーに反応があるのにロックオン出来ない。何で？
っと、考えてる余裕はない！機体を横に動かし、連続で狙われるのを避ける。でも、どうゆう事？
レーザーを撃つってことは、ロボットか何かだろうに。
普通ならロックオンサイトに捉えられるハズなのに、どうして？
いや、ここで悩んでてもしょうがない、一旦部屋を出よう。
どうやら部屋の外までは追ってこないようだ。一息付く。
でも、どうして？何でサイトに捉えられないの？レーダーには反応してるのに、そんなこと……………
逆はあるのに。ステルス（Ｐ７７−ＳＴ）を付ければレーダーは無効でサイト、つまりＦＣＳにだけ捉えられる。
でも………その逆ってのは…………
ん？まてよ？今、この機体のレーダーは普通のモノとは違う。生体センサーを連動させて、
通常のレーダーより反応する対象を増やしているんだけど、まさか…………
連動スイッチをオフにしてレーダーを見ると、さっきまで映っていた光点が消失する。
じゃあ、さっき攻撃してきたのは生物ってこと？
ってことは………………
再び部屋に入る。今度はレーダーにもサイトにも捉えられる。冷静にサイトを見つめながら、距離を詰める。
機体を左右に振れば、光線には当たらない。あちらさんの攻撃があまりにも散発的だからだ。
距離を詰めて相手を視認する。
けど、何これ？外見は蟻か白蟻、発達した牙に２対４本の脚、膨らんで巨大な腹部。
典型的な地下で生活する群体型の虫の姿だ。非常用の光源の元で僅かに
反射する表面の甲殻もそれを現してる。
おっと、冷静に観察してる場合じゃないね。接近した個体にブレードを奔らせると、
まるで破裂したように息絶える。光条に振り返り様、もう１体にＰＰｋを１発撃ち込んで沈黙させる。
「ふぅ…………」
思わず、溜息をついちゃった。部屋を改めて見回してみる。壁の至る所に粘液のようなモノが付着して、
僅かながら光を発していた。本来はコンピュータ・ルームじゃないかと思える。
けど、機械の残骸と赤黒い染みで、そんな雰囲気は払拭されていた。………気分悪い。
しかし、あまり嬉しくない結果だ。レーダーとＦＣＳの双方に生体センサーを連動させる事によって、
ようやくロックオン出来た。人間に誤射するのを避けるためにＦＣＳの連動を切っていたんだけど、
この敵も生物みたいだし、視認するまでは射撃は出来ないから、この後はブレード主体だね。
個人的には、あまり得意じゃないんだけど。
そんなことを考えていても仕方ない………作業を続行しよう。
あの後、いくつかの部屋や廊下で数体の虫もどきと戦った。１匹２匹なら大した敵じゃないが、
あの光線や牙は当たればそれなりに痛そうだ。接近戦は避けるべき相手のようだけど、
生存者の確認が必要である以上近付かないといけない。面倒だなぁ。
うーん、地下を３フロアまでチェックしたけど、この虫と虫が壊した機械の残骸………
そして、人間だったモノの痕跡………おそらく、生存者はいないだろう。やりきれない。
いったい、この虫は何なの？ここで、何を研究していたって言うの？
ここが地下３Ｆの最後の部屋だ………あまりにも巨大な空間だ。薬品の実験に使うにしては
尋常じゃない広さがある。いったい何のためのスペースだろう？疑問は膨らむ一方だけど、
この中の桁違いに多い生体反応は考える気力を奪ってく。はぁ。
「これが、虫じゃなければいいんだけど、ね。」
ドアを調べる。あれ？開きそうだ。
中にはいると、今までの反応と違う。人？いた？人間が！？
『もしかして、レイヴンなのか？』
拡声器越しの声。間違いない、人間だ。
「ええ、そうよ、生存者の探索に来たの。」
応答すると、歓声が聞こえる。こっちもとりあえず嬉しい。しかし、何人くらいいるんだろ。
『どうやって、ここまで来た？』
「普通に…………じゃないか。エレベーターシャフトを下りてきたの。」
『い、いや、そうじゃなくて…………バグ、いや実験体は……いなかったのか？』
「ん？途中で遭遇したのはとりあえず撃破してきたけど。」
あれ、何か話し合ってるぞ。どうしたんだろう？ま、いいか。
「地上の部隊に連絡するけど、何か言いたいこととかある？」
『そうだな、とりあえず、全員を脱出させる準備をしてもらおう。』
どっちにしろ、私の機体だけではここにいる全員を運ぶには時間が掛かりすぎる。当然の話だ。
通信を終えた私に、代表者みたいな人が声をかけてきた。
『頼みがある、いいだろうか？』
「内容によるけど？」
よほどの事じゃなければ、何とかしましょう。
『エレベーターシャフトの先に、おそらく巣があるはずだ。其処にいる一際大きなバグ…………
センチュリオン・バグと言うのだが、それを始末してくれないか？此奴が女王の役目を果たし、
繁殖を続ける。此奴がいる限り、バグは決して滅びない。これは存在してはいけない代物だ。
この世から消し去ってくれ！頼む………』
「まぁ、いいけどね。」
『ありがとう。バグは実体弾に対しては結構頑丈だが、エネルギー兵器にはあまり強くない。
それでも、センチュリオン・バグは十数発は当てないと死なないだろう。注意してくれ。』
「ＯＫ、アドバイスありがと。」
ふーん、そうか。折角の頼みだ、まあ行ってみましょうかね。
エレベーターを斬り落とし、シャフトを自由落下する。後で修理するの大変そうだなぁ。
ま、帰っちゃえばもう関係ないけど。お、横穴だ。底に到着する直前に見つけたので、
そこに入りましょうか。
う〜みゅ、やっぱり蟻の巣みたいに中が複雑だ。これを虱潰しにしていくのは大変だねぇ。
でも、あの鬱陶しい虫………バグはもう見たくないからね。出会う度に撃ち、斬り、バグ共を
次から次へと始末する。それにしても、数が多い。何か、しばらくは夢に見そうだ。
複雑極まりない穴の中を、もう、数時間うろついている。ヘッドパーツのＭＡＰを見ても、
複雑でよく分かんない。それでも、探索を続けるうち、段々穴が大きくなっていく。
出来る限り消耗を減らし、穴の奥へ突き進んだ。巨大な空洞が見える。この中か？
中はほのかに明るくなっていた。壁中に塗りたくられた粘液が発光している。
そして、今までのバグとは違う、二回りほど大きな個体。３対６本の脚、腹部から伸びる二本の器官、
さらにせり上がった頭部。間違いない、こいつがセンチュリオン・バグ………『女王』だ。
こいつを潰せばいいのか。しかし、周りにあるのは卵？これも全部壊さないとならないか。
まぁいい、動かないのは後回しでしょ。
ビュゥゥン！
腹部の器官が発光、光線を放つ。それを避けつつ機体をスライドさせると、肩のキャノンを発射準備。
さらに大きく移動すると、相手は体をこちらへ向けるのに手こずってるようだ。相手が動いてる最中に、
反対側へ移動しながら正面を過ぎたところで発射！光弾が軽い爆発を起こすと、
バグはまたこっちへ回頭しなおす。
そのまま、一度取った側面をキープしながら射撃。器官の発光を確認する度に
大きくブースターで移動し、放たれる光線を交わしてはこっちの射撃を放つ。
「まだっ！？まだ死なないの！？」
しぶといっ！十数発どころか、３０発は叩き込んでるってのに、応えてないのかこの化物は！
こうなりゃ……………
決意を固めると、ブースターを噴かし、一気に後ろへ回り込む。開いた距離をＰＰｋを撃ちながら詰める！
このデカブツがこっちを向く前に、このブレードで叩き斬る！それ以外の方法はもう思いつかない。
今持ってる武器では、このムーンライトが最強なのだから。
「くたばれ！」
２発、３発、向き直られる前に仕留める！その思いだけでブレードを振るう。もう間に合わないか、
と思った時、ふいに動きが止まった…………終わった、のか。
完全に動きが無くなった怪物の死骸に一瞥をくれると、レーザーキャノンを撃ちまくる。
光の矢が死体に、卵に吸い込まれ………爆発を起こす！
爆煙を見ながらふと、あの研究者が言っていた『これは存在してはいけない』と言う言葉を思い出した。
それなら、たとえそれが歪んだ生命であっても、それを奪う私は、果たして存在を許されていいのか…………
アハハ、馬鹿みたい。死ななきゃならない時がくれば、イヤでも死ぬんだから。
まだ生きてるって事は、まだ、私にはやるべき事があるって事だもんね。帰ろう。
エレベーターシャフトに戻ると、ＰＰｋとレーザーキャノンを残弾を全て横穴の入り口に撃って完全に塞ぐ。
今出来る最善の行動だと思うよ、これが、ね。
シャフトを１階までよじ登り、外に出る。１階の廊下を走り抜け、施設の外へ出て、空を見上げた。
ようやく、今回の仕事から解放される。おっと、通信だ。
『レイヴン、ご苦労様でした。事情は救出された研究者から伺っております。お約束した分に加えて、
特別追加報酬もお支払いします。ご確認下さい。』
５００００Ｃか、口止め料も含んでるな、これ。別に口外するつもりもないけどね。
まあ、下さるんだったら頂いときましょう。
人の気配は無い。ユーリも今回は帰ったみたいだ。暗い部屋に戻ると、服を脱ぐのももどかしく、
シャワーを浴びに浴室へ入った。体の上を熱いお湯が流れていくのが心地よい。
今日は何も考えずに、眠ってしまおう……………………
どうも、またまた、お邪魔いたします。今回は、普通の敵ではありません。
まず、いつもの鬱陶しい章題のお話から。今回の「Ｑｕｅｅｎ」、ズバリ女王を意味しています。
ＡＣで女王と言えば、バグ。と言うわけで、今回はバグ退治です。
ここで、ゲームのアーマード・コアをよく知る人なら、「それじゃ、この作品の時系列はどうなってるの？」と
思われますでしょうが、作者自身は、３作品共にほとんど時間的なズレは無いのではないかと思っていまして、
この作品もそのつもりで書かれています。
ですから、この後もバグの話は出るかも知れません。特に、「生体兵器解放」なんて、やるかも知れません。
反対派でも、彼女はレイヴンですから。依頼に特に問題がない限り、受けるのが彼女の姿勢です。
もちろん、必要なら人の命を奪うことも厭わないでしょう。
そのうち、彼女の過去なども書いてみたいのですが、展開次第ですかね。
またその内お会いしましょう。それでは皆様、ご機嫌よう。
バグ退治・・・燃えましたよね〜。
ひたすら斬りまくると、いつのまにやらレイヴンの評価が凄まじい数値に
あがって、どう足掻いてもナインボールなど、格下にしか見えないほど
評価があがる、不思議なシナリオ♪
大量の資金を稼ぐのにも都合がよかったですよね。無限に出て来るし。
それにしてもセンチュリオンバグ、随分強いですね。
月光剣なら一撃で倒せる程度だった気がしたのですが。
こんなのが大群で着たら洒落にならない被害になること間違いなし。
なんとも困った研究をしていた人々ですね。
なんにしても、生体兵器の暴走も止め、無事帰還できたよかった、よかった。
冒頭で二脚限定アリーナにも勝利しているし、少しずつ有名になって
きているのでしょうか？
さ、続きが読みたいと思った人は感想メールで催促しましょう♪