Ｍｉｓｓｉｏｎ：２１「Ｒｅｌｉｃ」

そこは、最早工場とは呼べない程に破壊されていた。

「……本社に現れたのは、多数のＭＴだった。すぐにガードや、シティに雇われたレイヴン達が来たんで、たいした事も無く終わった…………だが、ほぼ同時に襲われたこっちはシティから離れている事もあり、ＡＣが相手だったせいで………この有様だ。」

「被害は？」

経緯なんてどうでもいい………知りたいのは、どうなったか、だ。

「見ての通り施設は全壊、燃料や弾薬に引火したからな……生き残ったやつは少なくない。多かれ少なかれ、怪我はしてるが…………」

顔見知りの整備士はそこで言葉を詰まらせる。

「……死んだのは何人？」

「大体３０人くらい………大半が、アイツに関わってた技術部の連中だ。」

そう言って、私が乗ってきたブラッドウィドウに不快そうな視線を一瞬向ける。
………何故、直ぐに思いつかなかったんだろう…………私が居た第２工場の襲撃すら、陽動であった、と。
『彼等』なら、私が何処にいるかも………ナインボールの１機くらい撃破する事も計算のうちだったろう。
どっちが重要か………既にかなりの実践を潜った試作機と、そのデータを基にして更に発展した試験機と………どちらを消した方が都合がいいか…………

「………試験機も全損したわけね……」

「ああ………と言うより、そっちの方があのＡＣにとってはターゲットだったみたいだな。」

「………ここが潰れて、会社は大丈夫なの？」

「襲われたのは新製品を開発するところで、既存の部品を作るところや本来の整備関連施設は無事だからな………業務縮小はやむを得ないとしても、やってけない事は無いらしい。」

「………そう。」

まだ薬品が変質した臭いが漂ってる。
壁の跡や熔け折れた柱、あちこちに転がる、何かの部品だったと思われる残骸。
そして………微かに分かる血の臭い。

「見ても構わない？」

「……ガードの調査も終わったし、あんたは関係者だからいいんじゃないか？」

「ありがと。」

まだここが健在だったころを思い出しながら歩く。
自然に、あのだだっ広い試験場に足が向く。


途中で歩いていけない状態になっていたため、引き返してウィドウで降りてきた。
歩いたら１時間ちょっとの距離も、ＡＣの移動力ならほんの十数分………辿り着いたのは………初めてこの子と出遭った試験場。
天井が落ち、一際残骸が多いこの場所…………ウィドウから降りて足で確かめる。
………あれから数ヶ月………いや、そろそろ１年になるのか。
最初は美味しい仕事だな、くらいのつもりだった。
でも、私はこの環境をとても居心地の良い物だと感じるようになっていた。

カツン……

爪先が何か軽い物を蹴った………何気無く視線を落として………見なければ良かったと後悔した。
それは…………眼鏡だった………彼は、普段は掛けてないけど、細かい調書とかデータとか見る時にシャツから出してたのを覚えてる。
そっと拾い上げようとして手を触れると、フレームが折れる……片方のレンズに罅が入り、赤黒い染みが幾つかこびり付いている。
それでも、私はそれを拾い上げると大事にポケットにしまった。

「…………」

視線を上げて、周りを見渡す。
…………もう、ここはただの廃墟だ。何も無い…………
そして、失われた命………彼等の声を聞くことも、その顔を見ることも、もう出来ない。

「………ジェフ、もう、行くね。」

私は踵を返してウィドウに向かう。


「………残っているのは第２工場に置いてあった試作２号機およびＡ、Ｂ、Ｄの脚部パーツ１組分です。」

ユーリは、戻ってきた私に何も聞かなかった。
淡々と、現在の状況を語るその顔は、表情の変化すら感じ取れない………堪えてはいるのだろう……それを表に出さないように無理してるだけだ。

「…………試験機および今後の資料に関しては全て失われました。新型ＡＣのプロジェクトは、本日をもって解散します。」

………まあ、そうでしょうね。
ここに集まったのは、この第２工場に居たスタッフと第１工場の生き残りのうち、比較的怪我が軽くてここに来れた者……全体のほぼ半数に至る。
ユーリより上の人間は皆、最後の追い込みとか言って第１工場に詰めていた………全員が死んだわけではないが、主だったものは死に、生きている者も瀕死の重傷を負っている………狙ってやったんだろう。考え方は分かるから。
まぁ、そんな訳で、今はユーリが一番上の人間として話を進めている。

「解散に伴い、特別手当が全員に支給されます。条件は、このプロジェクトに関して一切口外しないこと、です。皆さん、今までご苦労様でした。」

ユーリは深く頭を下げる。そこに居た人達は誰一人口を開かない。
やがて、一人、また一人、席を立ちこの場を去る。
今や、残っているのは頭を上げないユーリと、壁に寄りかかって一部始終を見ていた私だけになった。
フッと顔を上げるユーリ…………その顔はなんとなく気が抜けたように見えた。
何もかも失った者の顔………昔の私がよく見た事のある顔だった。
と、何気無く視線を動かして私を見ると、ユーリは無理矢理笑みを浮かべて近付いてきた。

「マリィさん……今まで本当にありがとうございました。」

「ん………」

「あの機体を使われるのでしたら、今後もメンテナンスに関してはうちの会社で引き受けます。ただ、幾つか条件がありますが………」

「口外無用、でしょ？分かってるわ、そのくらい。」

「話が早くて助かります……あと、今までのようにこちらで色々とお手伝いのようなことをする事は出来なくなってしまいますけど……」

「別に、気にしてない……私こそ、今までありがとうね。」

ポンと軽くユーリの肩を叩いて、笑顔ですれ違いドアをくぐる。
少しだけ進んでから、何となく気になって部屋を覗く………
ユーリは、黙って俯いていた。多分、泣いているんだろう……今まで我慢してたわけだ。けじめとして、解散を告げるまでは。


「ねぇ、ちょっといいかな？」

「ま、マリィさん……」

出てくるまでユーリを待っていた……その間、およそ３０分。

「あ、あの……何でしょうか？」

「あのさ、飲みに行きたいんだけど、一人じゃ淋しいのよね。」

「一緒に行かないか、と？」

「そ。」

申し訳なさそうな顔で、こっちに目を向けるユーリ……ま、予想通りよね。

「申し訳ないんですけど、そんな気分じゃ………」

「こんな時に行かないで何時行くってのよ？せめて私達くらいでも、ジェフの事偲んであげましょうよ。」

「………分かりました。」

そう言うと、ユーリは歩き出した。
その肩を抱くようにして、私も一緒に歩き出す。


ユーリを連れて来たのは、ジェフとよく一緒に来た、ちょっと小洒落たお店。

「カウンター、いい？」

「どうぞ。」

すっかり馴染みになったバーテンさんに声を掛けて、ユーリと並んでカウンター席に座る。

「最初の一杯は私が選んでいいかな？」

「はぁ………いいですけど………」

不思議そうに私を見るユーリ……でも、今日最初に飲みたいものは決まってたんだ。

「サラトガ・クーラー２つ。」

「……はい。」

バーテンさんの作る様子を見ながら、何気無い振りでユーリに話しかける。

「ここ、ジェフとよく来たんだ。」

「へぇ、そうなんですか？」

軽い調子で返してくるユーリ。って言うか、ハッキリ言って上の空って感じね。

「そ。それも、大抵が遅い時間。」

「……でも、お二人にそんな感じは…………」

「別に付き合ってたわけじゃないし、今あなたが想像したような関係でも無かったわ……ただ、飲みたい時にフッと一緒に来るだけ………あくまでも友達として。」

そのとき、グラスに沢山の氷とレモンスライス、ストローの刺さったカクテルがスッと出された。

「で、ジェフが頼むのがコレ……と言っても、教えたのは私なんだけどね。」

一つを手に取る。
ホントはやっちゃいけないんだけど、ユーリがグラスに手を掛けたところで軽く打ち合わせる。
で、飲むのをちょっと黙ってみてる。

「………これ、アルコールが……」

「うん、そう。ジェフがアルコールは苦手だって言ってたからノンアルコールカクテルを教えたの。少なくとも、雰囲気は壊さないからね。」

ちょっと微笑んでみる……

「………マリィさんらしいですね。」

「どこが？」

「………なんだかんだ言っても、優しいんですよね………今日だってそう。私の事、慰めてくれるつもりなんですよね。」

「………それも無いわけじゃないけど、やっぱ一番は……」

正直、自分らしくないような気はしてる………でも、このくらいはしてあげたかった。

「………結構美味しいですね。サッパリして、でも仄かに甘くって……」

「イケるでしょ？たまにはこんなのもいいんじゃない？」

「はい。」

ストローから喉に流し込んだジュースは、酸味が強くその中に甘味があって、アルコール好きの私でも美味しく飲める。
ただ、コレに限らず、クーラーのような氷を多く使うカクテルはさっさと飲むに限る……一気飲みは論外だが。


「……辞めちゃおうかな………」

何杯目かのカクテルを口にしている中で、ユーリがポツリと漏らす。

「何を？」

「今の仕事………私、続けてく自信、無くなっちゃいました。」

そりゃ、分からなくも無い…………でも…………

「私は、辞めない方がいいと思うな……なりたくてなったんじゃないの？」

「……そうですけど、ね。」

「だったら………続けた方がいい。私みたいにやりたくなくても他の事出来ないより、何倍もマシだよ。」

「やりたく、ない？」

ユーリが聞き返してきた。
ホントは言いたくない事なんだけど………

「ＡＣを動かすのは嫌いじゃない。でも、少なくとも、私は人の命を奪うのは好きじゃない……でも、レイヴンである以上、避けては通れないんだよね。」

「マリィさん………」

「殺したくなくても、そうしなきゃ仕事は終わらない……何度も、夢に見たよ………みんな、私を恨んでた。」

「…………」

「私は、何かを奪い、何かを壊す事でしか生きられない………でも、ユーリは違うでしょ？何かを生み出すことが出来る………正直、とても羨ましい。」

前に、ジェフともこんな話したような気がする……

「私の我儘で身勝手な押し付けかもしれない……でも、続けてほしい………その代わり、私の壊す力は、そんな大事な人達の為にこそ使っていく………自己満足でしかないけど、そう自慢させてほしいの………志半ばでこの世を去ってしまった人達の為にも………」

「……少し、考えさせて下さい……」

「…………そうね。あなたの人生だもの、あなたの意思で選ぶべきよね………ゴメン、さっきの忘れて。」

そう言って、グラスに残っていた分を喉に流し込む。
ユーリも同じように、飲みかけのカクテルを飲み干した。


それから、数杯のカクテルを飲んだ後、目が据わりかけたユーリを連れて帰ってきた。

「ほら、靴は脱ぐ。あ、こら、上着脱がないと皺になるよ。」

「ふぁ〜い………お休みなさぁい。」

パサッと上着を脱ぎ落とすと、ユーリはベッドに倒れこむ。

「もぅ、しょうがないわねぇ……」

なんて言いながらユーリの上着をハンガーに掛けてやるなんて、我ながら面倒見がいいって言うか、世話焼きって言うか………
取り敢えず部屋着に着替えると、メールをチェックするために端末を立ち上げる……ここ数日、泊り込んでたからなぁ、結構溜まってるんだろうなぁ。
しばらく仕事なんてする気にならないし、締め切りの近い依頼なら断っておかないとね。
メールボックスを開くと、おお、あるある……どれもこれもそれほど重要じゃないけど、人の繋がりってやっぱり強いんだね。
コレはいらない。で、コレとコレも、消去っと……あれ？これって…………


銀行の貸金庫からディスクを取り出すと、トム爺の所で端末を借りて中を見る。

「何で自宅で見ないんじゃ？」

「ここの端末ならハッキングとかされることは無いからね……する側なんだから。」

嫌味ったらしく言うトム爺に皮肉で答え、一所懸命複雑に組まれたプロテクトを解いていく。

「……惜しいのぅ……それだけの腕なら、本気でどんなコンピュータ相手でも情報を引き出せるだろうに……儂の代わりに情報屋やってくれんかのぅ。」

「向いてないわよ、性格的に、ね…………よし、これで、オッケー！」

１５６もの様々なプロテクトを解いて出てきたのは、地図だった。

「トム爺、これ何処だか分かる？」

「１００００……冗談じゃ。もう年なんじゃからこき使うな………ふん、アイザック＝シティの郊外じゃろ。この辺りは企業の手が及んどらん地域じゃ。」

「……具体的な位置、分かるかしら？」

「…………そこに出とるじゃろ。」

トム爺がパイプで指した部分には、緯度と経度で座標が指定してあった。ううっ、見落とした………恥ずかしいなぁ。

「端末、ありがと。」

「…………生きて帰ってくるんじゃろうな？ツケ、踏み倒すなよ。」

トム爺、それは無いでしょ？


ウィドウのＭＡＰ表示に映し出された地形は、間違いなく、あのディスクのものと同じだ。
すでに機能を失ったはずの研究所………ここに何があるって言うの、ジェフ……
メールに残されたのは、銀行名と貸金庫の暗証番号、それに鍵のありか………意味深なメッセージ、「お礼です」の１文…………
ウィドウを廃墟の中に進ませる。
何があると言うの？それだけが謎になって心に蟠る。

「………実は生きていた、なんて言うんだったら嬉しいんだけどね………」

ありもしない事を口にする………ＤＮＡ鑑定、歯科医の記録、その他、考えられる手段の全てが、彼の死を証明していた。
…………止めろ、無駄な事を考えるな…………ただ、確認に来ただけだろう。私は………

ピッ………ピッ………

「………ん？何、この反応………」

レーダーには何も映ってないけど、ＭＡＰに反応があった……何かある！
光点を目指して、残骸を切り開きつつ突き進む！


ゴォン！

最後に倒したのはかなり肉厚の金属の壁………その先は…………

「広い………整備施設？」

そこだけは、ほぼ最新と言ってもいいくらいの様子……まさに、整備工場であった。

「何でこんなもんがこんなとこに………」

ウィドウのカメラが、ある物を捉えた。
紅く塗られた、見たことも無い機械……多分、カスタムメイドのＡＣ。

「………新型？」

稼動してないからレーダーには映らない。けど、整備機械の電源までは切られてなかったからか、ＭＡＰには反応したわけだ。
………ユーリが言ってた試験機とも違う………まさか、ビックリさせるって………
ウィドウを降りて、その機体に駆け寄る。
ウィドウに似てるけど、細かい部分が違う………ハッチ、開くかな？
手を掛けると、割とスムーズに開いた。
コクピット周りは……ウィドウと大差ない。
シートの上に、データディスクが乗っかってる………これって………

「そこまでだ………悪いが、そいつから離れてもらおうか………」

両手を挙げつつ、ゆっくりと振り返る………２、いや、３人か。
手に拳銃を握ってる。

「………付けられてた、か。私もヤキが回ったわね。」

「……死にたくなければ、大人しく従ってもらうぞ。」

リーダー格の男が拳銃をピッタリマークしながら言う……後の２人も、ポイントしたまま、か……いい訓練受けてるわね。

「で、何が目的？そのくらい教えてくれてもいいでしょ？」

コクピットから離れながら、ゆっくりとＡＣの足元に下りる。

「……そのＡＣを破壊する……それだけだ。」

「そう？じゃ………生きて帰すわけに行かなくなっちゃったわね！」

ＡＣの後ろに飛び込みながら、それだけ言い放つ。
撃たれた弾は、１発だけ、軽く肩を掠めた………殺されるつもりも無いし、このＡＣを壊させる気も無い。
気は進まないけど………ね。

「止むを得ん……処分する。」

リーダーからの命令により、２人が移動開始………私の事は知らされていない様だ。
……懐の重みを手に持ち、弾数を数える……チェンバーに１発、カートリッジに６発、か。

「…………ちょっとキツイな……ま、いいか。」

ＡＣの影から駆け出し、１人に向けて３発………スイカを割ったように赤く砕ける……目で見る必要すら、もう無い。
見なけりゃいけないのは銃口のみ………来る、ここで、向きを強引に変える！
すでにトリガーを引いているから、その弾は真っ直ぐにしか飛ばない……その銃口から逃れられれば、決して急所には当たらない。
むろん、普通の人間には出来ない話だ………出来るようになるには、銃器に関するかなり深い知識と、常人離れした運動能力がいる。
嬉しくないことに、私は両方とも備えているんだな、これが。
スッと銃口をもう１人に向けなおし、残り全弾叩き込む………まぁ、多分１発目で頭を吹き飛ばしてるんだろうけどね、念のためって言うか、複数発打ち込むの、もう癖になってるんだよね。
もう１度、ＡＣの陰に隠れる。

「………さぁて、どうやるかね。」

まあ、何とかなるでしょ………所詮、普通の訓練しか受けてないみたいだし、手は幾らでもあるわよね。

「……出て来い。貴様の持ってる銃は６発。予備装填の１発もすべて撃ち尽くしているはずだ。」

「……素直に出て行ったら撃たれるだけでしょ。なんで、素直には行かないわ。」

とはいえ、殺気がキッチリとこっちに向いている。

「予備のカートリッジが無いとでも思ってた？」

なんて、持っちゃいないけどブラフ………警戒してくれると良いけどね。
わざとカートリッジを外して、手の中で軽く数回遊ばせてから音がするように入れなおす。
気配が変わった………かかったね。
パッと身を翻すようにポイントしつつ姿を見せる。

「………随分と思い切った手に出たな………弾なぞ入ってないだろう。」

「そう思うんなら、撃てば？ただし、入ってたら、私も撃つ。私は、何があろうと、この距離なら外さない。そっちはどう？」

………肩に少しだけ力が入った。撃つ！
狙いが精確過ぎ。身を低くして突っ込みながら、手にした銃を相手の膝に叩きつけるように投げる。

「くっ！」

痛みに耐えるように、もう一度私を狙う……だろう。でも、遅い。
右手を床に着いて、体を回すようにして足を払う。
崩れた姿勢の相手に、もう１回転して体を蹴る。

「……ッガッ！」

倒れたのを確認する前に右手の力だけで身を起こして、今度は左手も着いて両手のバネで軽く体を浮かす。
落ちるのは、相手の上。

「………で、終わり。」

体重を掛けた蹴りを首に入れてやる。ほとんどアクロバットの様な動きなんだけど、紅虎程ではないが、私も体術は得意なんでね。
動きを止めた連中を見渡す。
うん、完全制圧完了。

「………悪いけど、手加減どころじゃなかったわね。」

一言言い捨てると、落ち着いて、ＡＣのコクピットに戻りデータディスクを手に入れる。
ウィドウに戻り、即座に再生………ウィドウは試験用の試作機だから、映像ディスクの読み込みと再生は簡単だ。

『えー、マリィさん……本当にお世話になってます。先日お約束した、マリィさんでも驚くような機体を作ってみました……試験機のプロトです。コンピュータに蓄積はありませんが、ウィドウ……試作機のメモリを移せるので、癖とかもちゃんと覚えさせられますよ。』

試験機のプロトタイプ………

『……ですが、コレは他の試験機と違って、通常では考えられないような機能を持たせました………』

映像の中のジェフは、いつものような自慢げな表情だ………言ってる事の非常識さもだけど。
………私が、今、コレを貰ったんなら、やる事は一つだ………
奴等に文句の一つも言わないわけにはいかない。
待ってろ、『管理者』………何番か知らないけど、必ず潰してやるからな。

ご無沙汰でした、ＡＢＣです。
最終章中篇、「Ｒｅｌｉｃ」をお届けします。
「Ｒｅｌｉｃ」……遺産、遺物。
ジェフが遺した、完全なカスタムＡＣ。
最終章後編は、そのＡＣと、「あのＡＣ」とのバトルです。

次回、「Ｆｉｎａｌｅ」でお会いしましょう。

血と硝煙が支配するレイヴンの世界。
けれど、それだけで終わらない何かがある。
管理者…そして、「あのＡＣ」・・・？　楽しみにですね♪

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