『……ですからね、エヴァそのものがあること自体に問題があるのでは、と、
今我々は考えているわけです。』
『なるほど、しかし、あまりにも情報を公表しなさ過ぎる今の軍隊の組織システムにも
問題がありそうですね……そこで、次の映像をご覧ください。』
ショッピングビル街にある、大きなモニター付きのビル。初老の男と
アナウンサーらしき色白の男が、そのような話をしていたと思うと、
次に、日本で撮られたのであろう初号機の映像が映った。
「
「相変わらずだなー。」
何気に足を止めて見ていたケリーが、そう言った。
民間テレビ局の番組の中には、このようなエヴァ批判をする番組がいくつかあった。
視聴者の評判は悪くないらしい。
「まったく、何でこんな事言うんですかね。」
隣にいるニナがぼやく。
「そりゃあ、あれだろ、視聴率が取れるからなんじゃないの？」
「そうかもしれませんけど、それでも、これって言いすぎですよ。」
「だから、その方が視聴率が稼げるんだって、きっと。」
さらりとそう言い、さらに続ける。
「それに、言われるだけのことはやってんぜ。口外されて無い情報もかなりあるだろ。」
そこまで言われ、ニナは思わず、ため息をつき。
「あーあ、もう少し、この仕事に自信がもてたらなー。」
「そう言うなって。とりあえず、飲みに行こうぜ。」
そう言うと、二人は夕闇の町の中に消えていった。
教会のドアの脇に座り、あさっての方を見ている。
目を突く夕日は、今のシローにはまぶしすぎた。
無人の教会は手入れが行き届いておらず、ひび割れたコンクリートの隙間から
雑草が生えてきている。
強くありたい……
シローの頭にそんな言葉がよぎる。
でも、ここは逃げ場だろう……
同じように、その言葉が頭に続く。
なぜ、自分がここにきたのか解らない。ここには何もない事は解っていたはずだ。
逃げるためにここにきたというのだろうか。
「違う……」
シローがつぶやく。
でも、こうしてここにいる。逃げ出した自分が……
逃げてきた自分、強くなれない自分。
急に、吐き気がした。
シローはその場から立ち上がり、帰っていく。
ここにいても、癒される事は無いのだから。
「そうか、貴重な情報をすまないな。」
人ごみにまぎれながら、アデルは携帯電話で話をしていた。
「君にはいつも世話になってばかりで悪いとは思ってるんだが、なにせ
頼れる人間は君一人だからね。パートナーとしても、友人としても。」
相手の返事を聞いているのだろう、しばらく間をおき。
「他の友人？恋人？いないよ。これでも、仕事一筋に生きてきたものでね
……そういえば、君は日本に、別れた恋人がいたそうじゃないか。
そっちへ行ってしばらく経つけど、その人とは会ったのかい？」
また、しばらくの間、して。
「そうか、縒りが戻ったのか。よかったじゃないか。だが、せいぜい傷を
なめあう存在にはなるなよ。つくツケは痛いぜ。」
そう言い、小さく笑うと。
「じゃあな。お互い、せいぜい気をつけよう。所詮は手の中で
泳がされている存在なのだからな。」
アデルは、携帯を切った。
そして、ふと電気店に置かれたテレビに目がいった。
そこには、例のエヴァ批判の番組が流れている。
アデルは鼻で笑うとこう呟いた。
「言いたければ、言うがいいさ。どうせ、それだけでは何も変わらん。」
そして、背を向き去っていった。
シローが、自宅から最寄りの駅につく頃には、もう日は完全に沈んでしまっていた。
ラッシュ時は当に過ぎ、何人かのサラリーマンがいっしょに降りる程度だった。
うつむきながら帰ろうとすると。
「今日も遅かったんだね。」
その声に、はっとして顔を上げる。
そこには、いつものようにリンがいる。
「遅くなってきたし、そろそろ帰ろうかと思ったんだけど、次の電車でこなかったら帰ろう。
次の電車まで……ってやってたらこんな時間になっちゃった。」
本当にいつものように振る舞っている。
「でも、今日、学校にも来なかったし、なんか余程の事してたの？」
「いや、今日は、ネルフは行ってない。」
こちらは、そういう風には振る舞えない。
「え？じゃあ、どこに行ってたの？」
「ちょっとな……」
そう言うと、リンをおいて歩き出した。
リンはそれについて行く。
夜道を帰る中、リンはシローの隣で、常に話を絶やさないようにしている。
考えてみれば、リンはいつでもそうだったような気がする。
「おまえは、強いな。」
思わずそんな言葉が漏れた。
「へ？」
「なんでもないよ。」
（オレは何を求めているんだろう。）
そんなことを思いながら、帰路につく。
今のシローには、彼女の存在は重すぎた。
度重なるエヴァの実験。無力な自分。
それが、シローを追い詰めていくと言うのか……
次回『見えない自分、揺れて』
次回も fair des gentillisses aupres de
【あとがき】
？？：ピピ ワタシハ ASI４８星雲 カラ 来タ 宇宙人 デアル
大人：……あとがきの新キャラ？
？？：ピピ しんきゃら デハ ナイ 宇宙人 ダ
大人：まあ、いいけど、今回は、そんな小ネタで和んでる暇はねえの。
？？：小ねた デハ ナイ 宇宙人 ダ
大人：あっそ、えーっと、読者の皆さん……って、いるのかな？解んないけど、
とにかく、大人です。
？？：ワタシ ハ ASI４８星人 ダ
大人：今まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
？？：宇宙 ノ チカラ てれぱしー ヒトノ ココロ ヲ ヨメル
大人：私、大人。今までは出来る限り急いで執筆、更新をしてきましたが。
？？：ワタシ ハ 今 地球人 ト 交信 シテイル
大人：私用により、一時的な執筆の中断を余儀なくされてしまいました。
？？：ピピ シッピツ チュウダン……って、ええーっす！！
大人：出来りうる限り、早く更新をしようと思うのですが、今のところ、どうなるかわかりません。
？？：マジっすかっす？ホントなんすかっす？
大人：な？和んでる暇なんてなかったろ？
アシ：ホントっす。一大事っす。
大人：幸い、エリスの部屋には、質、量ともに優れた二次小説が置いてあり、私が執筆中断
したと言っても、皆様を満足させられる事は請負ですが、私の小説を楽しく読んで
くださった方々には本当に申し訳なく思っとります。
アシ：えらいこっちゃっす。えらいこっちゃっす。
大人：本当に出来る限り急ぐつもりなので、見捨てないでやってください。
アシ：えらいこっちゃっすー！
大人：うるさい！
バキ！！
大人
シンリ 「余裕がないと、好意すら重荷になるんですね・・・。」
ＹＯＫＯ「ま、誰だって自分に不安を持つことはあるってことだね。」
シンリ 「なかなかリンちゃんの努力が実らないですけど、
めげずにがんばって欲しいです。」
ＹＯＫＯ「大人の支援は期待できないようだから、二人で関係を
改善していくしかないんだろうけど・・・。」
シンリ 「次、どうなるか楽しみですね、ってぇ、中断宣言。
残念ですね。」
ＹＯＫＯ「しばらくの間は、メール送受信もできなくなるそうなので、
再開までの間は私がメールを保管しておくから。」
シンリ 「大人さん、早く戻ってきてくださいね。」